遊園地の怪人(序章)
本作(「遊園地の怪人」)は、
「夏のホラー2017 悪夢の遊園地へようこそ!」のお題を使用して、
イベントとは関係なく、書かせていただきました。
警視庁本部庁舎の会議室には、特に腕利きの警官たちが10名ほど、ズラリと集められていた。彼らの正面に立っているのは、警視庁きっての鬼警部であるナカムラ警部だ。
「これより、ニジュウ面相アジト急襲作戦の全容を説明する!」と、ナカムラ警部は宣言した。
恐るべしニジュウ面相の名を耳にしても、どよめくような警官は一人もいなかった。彼らは、いずれも、百戦錬磨のつわものだったし、ナカムラ警部が、本庁内ではニジュウ面相事件の担当指揮官である事も知っていたからだ。
ナカムラ警部の声明に続いて、彼の隣にいた補佐官が、今回の作戦の内容を詳しく説明しだした。
「諸君もご存知のように、ニジュウ面相が我が警察の誇る最新タイプの刑務所を脱獄してから、もうかれこれ、1年が経とうとしています。これまでのパターンからも、皆が忘れた頃を狙って、そろそろ、また、ニジュウ面相が活動を再開するのではないかと考えられています。そこで、奴が行動し始める前に、奴のアジトを突き止めてしまい、先に逮捕してしまおうと言うのが、今回の一大作戦です」
補佐官の話を横で聞きながら、ナカムラ警部は、顔を憎々しげに歪めて、握った拳を小さく震わせていた。彼は、ニジュウ面相にまんまと脱獄されてしまったのが、今でも、悔しくて、仕方がなかったのである。
「捜査班のメンバーが、都内をくまなく調べた結果、ニジュウ面相が潜んでいるのではないかと目星をつけた場所は、現在は廃園となっている裏野ドリームランドです。我々は、これから、この廃園となった遊園地に乗り込み、総力を挙げて、ニジュウ面相の手掛かりを捜索したいと思います」
そこで、警官の一人が、手を上げて、質問した。
「裏野ドリームランドが、間違いなく、ニジュウ面相のアジトだと言う根拠はあるのですか?」
すると、その問いには、ナカムラ警部が答えたのだった。
「ニジュウ面相は、自分のアジトには不気味な噂話を流して、外部の人間を近づけさせないようにするのを、常套手段としている。この裏野ドリームランドには、ニジュウ面相が好みそうな噂話がいっぱい流れているのだよ。それこそ、それらの怪しい噂が原因で、この遊園地は廃園してしまったと言われているぐらいだ」
「でも、それだけでは、決め手としては弱いのではないのでしょうか」
「おいおい。噂話なんて、嘘っぱちなんだから、そう、一ヶ所にばかり、いくつも集中するもんじゃないだろう?これは、明らかに、人為的に広められた噂話だと考えられる。いや、ニジュウ面相自身の暗躍が原因となって、それらの噂話が発生する事になって、さらには、奴にとっては都合のいい事に、遊園地そのものが廃園してしまったのではないかとも推察されるのだ。補佐官。裏野ドリームランドに伝わっている噂の数々と言うのを、ここにいる一同にも教えてやってくれたまえ」
こうして、ナカムラ警部に命じられて、補佐官は、ソースもはっきりしていない裏野ドリームランドの都市伝説を、一つ一つ、原形のまま、紹介しだしたのだった。




