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遊園地の怪人(地下室)


  都市伝説5 ドリームキャッスルの拷問部屋


 何かがドスンと私にぶつかった。倒れそうになった私が、顔をしかめながら、あたりを見回すと、うちの学校の不良の男子生徒数人が、知らんぷりで歩き去ってゆく後ろ姿が見えた。

 ムッとした私は、つい、彼らを怒鳴りつけようとしたが、一緒にいた友人がそれを制止した。

「ダメよ。関わらない方がいいわ」友人は心配そうに言った。

 あの不良男子たちは、うちの学校の嫌われ者なのである。彼らの傍若無人ぶりには、生徒全員が腹を立てていたのだが、学校や先生は、体罰教師だの校則学校だのと世間に言い広められてしまうのが怖くて、彼らの事をろくに指導もできないでいた。結局、我慢させられるのは、いつも、私たち善良な生徒なのである。その事に調子に乗って、この不良男子たちの横暴はますます酷くなるし、被害者も増えていく一方なのだった。

 そんな学校での不満を忘れる為にも、私たちは、今日の休日は、この裏野ドリームランドに遊びに来ていたのだが、ここでも、連中と会ってしまうとは、ちっともストレス発散にならないのであった。

 それでも、私たちは、ムシャクシャしながらも、園内を眺め回り続けた。やがて、このドリームランドのシンボルであるドリームキャッスルの中を見物する事にしたのである。

 キャッスルの中には、その名に恥じない、夢のような楽しい仕掛けが施された部屋がいっぱい有った。そのうち、友人は、この城の地下へと向かう階段も発見したのである。

「行ってみましょうよ」と、彼女は、楽しそうに言った。

 城内のこれまでの場所とは違って、どこか暗くて不気味な感じのする階段を、私たちは、どんどん、下へと降りていった。

 こうして、たどり着いたのが、何とも陰惨な雰囲気に包まれた小部屋だったのである。刃物や鎖のついた、おどろおどろしい道具がたくさん並んでいて、奥の方には牢屋もあった。ここは、拷問部屋なのだ。

 確かに、本当の中世のお城ならば、拷問部屋だって作られていたはずであろうが、よく、こんなものまで、アトラクションとして採用したものなのである。しかも、この部屋には、先客が来ていたのだった。

 あの我が校の不良男子たちである。彼らは、各々が拷問台にと縛り付けられていて、すでに、そのプレイを味わっている最中だったのだ。

 顔をマスクで隠した刑吏たちは、容赦なく、不良男子たちに、様々な呵責をくわえていた。不良男子たちも、鬼気迫る表情で、痛がり、苦しみ悶えているのだ。

「ひえー、やめてくれえ!」「ゆ、許してえ!」「助けてくれー!」連中は、口々に泣き叫んでいた。

 彼らに対して、水責め、焼きごて、ムチ打ち、八つ裂きなどの拷問が、次々に襲いかかった。

 彼らに日頃から恨みを抱いていた私たちは、その悲惨な様子を、目を輝かせて、楽しませてもらったのだ。よく辺りを見回すと、見物人は私たちだけではなかった。他にも、休日でこの遊園地に遊びに来ていた我が校の生徒たちが多数いたようで、彼らも、不良男子たちの拷問台を取り囲んで、嬉々として眺めていたのだ。

 実に、スッキリする見世物であった。十分に堪能すると、私と友人は、先に、この拷問部屋を後にしたのである。拷問ショーは、まだまだ、続いているようであった。

 私は、遊園地のパンフレットを、あらためて読み直してみた。しかし、そこには、拷問イベントのことは一言も書かれてはいなかったのである。

 のちに、私は、あの不良男子たちが行方不明になってしまった事を知った。でも、ドリームランドの拷問部屋で彼らの姿を見かけた事は、私は誰にも話さなかったのである。恐らく、私だけではなく、あの場で一緒に見物していた生徒たちは、誰一人として、この事を口にはしなかったであろう。

 私たちは、うっすらと分かっていたのだ。あの城の拷問部屋が、現実に存在するものではなく、私たちの願望が生み出した妄想であった事を。あの悪質な不良男子たちを憎む生徒一同の心が、あの幻の拷問部屋をこの世に呼び出して、不良男子たちを、その中に閉じ込めてしまったのだ。学校では、他人に迷惑をかけ、好き放題にやってきた彼らは、その代償として、きっと、この先は、永遠に、あの拷問部屋で罰せられ続ける事になるのである。


      了


ナカムラ警部のコメント

「遊園地のお城の中に、存在してないはずの地下室があったとは。ついに、ニジュウ面相の隠れ家の正確な場所も判明したようだな。その地下室で拷問を受けていた人たちと言うのは、うっかり、ニジュウ面相の秘密のアジトに迷い込んでしまったばかりに、その事を誰にも喋らないように、暴力で脅迫されていたのかもしれない。待ってろよ、今、助け出してやるからな!」

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