優也と義政の出会い
俺はどうやら死んでしまったらしい
そして神様に出会い、もしかして異世界ライフまっしぐら?!
と思いきや現実は甘くなかった
ファンタジーの世界は存在しないと教えられガッカリしたし
転生先が虫か人間と言われて
いや、なんでその2種なの?とか思ったけど
どうせ生まれ変われるならやっぱ人間だよなと、迷わず俺は人間を選択した
書類に記入し提出するという、なんともまあ役所のようなやり取りをし
審査待ちの間、これから俺が働く事になる場の先輩に仕事内容や此処の事などの説明を受ける事になった
なんで働かないといけないんだろう?
と疑問に思って神様に質問したら、それもこれから会う先輩に教えてもらいなさいと言われた
それで神様に言われた通りの道をまっすぐ進んでるんだが…
「進めど進めど何も無いし誰も居ないんだけど……」
おかしいなぁ
神様が言うにはある程度進めばその先輩が居るって聞いたのに
「もっと先なのかな?」
結構進んだんだけどな
ちょっと休憩して、それからまた進むか
と思い座りこみ休んでいると
こちらに来る人影が見えた
「おーい!君!もしかして審査待ちの子かい?」
「あ、はいそうです」
「良かった〜、あ、いやごめんね?遅れちゃって」
「いえ、大丈夫です」
この人が先輩?かな??
「神様から審査待ちの間、此処の事とか色々先輩に聞くように言われたのですが…」
「そうそう、俺になんでも聞いて〜なんでも答えるよ〜!あ、神様からの説明は他に何かあった?」
他にあるとすれば異世界は無いという話をされたが…コレは関係ないよな、うん
「い、いえ、特に無かったかと」
「ん〜?本当に?」
少し吃ってしまった為か、何か隠してると思われたらしい
いや、隠しては無いんだが
なんか恥ずかしいし、言わなくて良いような内容だ
「本当です、先輩に話を聞くように言われただけです」
「んー…神様と何かやり取りしたんじゃない?君が言わなくても良いって思っていても、君に色々説明しないといけない身としては二度手間にならないよう、神様とのやり取りで他に何かあるなら聞いておきたいんだけど…」
確実に何かあったと思われてる
話さないといけない雰囲気醸し出されてる
くそっ、仕方ない
俺は意を決して話す事にした
「へぇ、異世界ね〜うんうん、なるほどなるほど」
「いや、本当何というか…そういう話をよく聞いたというか読んだというか…あはは」
「そっかそっか〜」
「その漫画みたいな流れが現実にもあったんだ〜ってテンション上がっちゃいまして…まぁ違ってたんですけども」
先輩は普通に話を聞いてくれた
けども!俺は凄く恥ずかしい!
思わず言い訳だらだらだわ!
「異世界はあるんだよ?」
………ん?
「………は?」
何をいきなり…と思ったが
先輩は真面目な顔をして話しだした
「いいかい?ここだけの話…神様と使者しか知らない事なんだけど、神様が選んだ者だけが異世界に行く事が出来るんだ」
「えっ?どういう事ですか??それに、それをなんで先輩が…もしかして先輩がその使者?!」
いやいやいや、まさかね
「ふふふ、自己紹介がまだだったね!俺の名はミカエル、神様の側近さ!ミカエルもしくはミハイルと好きに呼んでね」
ミ、ミカエル?!って大天使の名前じゃん!
えっ本物?!
まじかよ!
「あ、お、俺は池橋 優也っていいます、ミカエル…様ってあのミカエル様ですか?!」
「そうそう、そのミカエル様だよ〜」
うぉぉぉぉ俺凄い人と会話してるぅぅぅ!
「あっでも此処ではただの先輩だから、気軽にミカエル先輩とかミハイル先輩って呼んでくれると嬉しいなぁ」
「は、はい!ではミカエル先輩と呼ばせて頂きます!」
「うん、じゃあ君の事は優也くんって呼ばせてもらうね」
「はい!宜しくお願いします!」
「うん、宜しくね!あ、それでね異世界の事だけど…選ばれなかった者は此処で働いてこちらの世界での転生を待つ事になっているんだよ」
「で、でも神様は異世界は無いって…」
「選ばれなかった者には、異世界の存在を隠しているんだ」
な、なんで??
「選ばれなかった者達は此処で働きながら転生できる日を待たなければならない、では選ばれた者はどうだと思う?」
「そりゃあ同じように働いて…」
いや、待てよ?
異世界転生する際に天国で働いてから転生するなんて話、聞いた事も見た事もない!
……漫画知識だけど
「もしかして、何もせずに転生出来る…とか?」
いやぁ〜まさかね!
「うん、正解」
えっ!そんなの不公平じゃん!
「選ばれた者と選ばれなかった者とで待遇が違う、となると選ばれなかった者達はどう思うだろうか」
「……怒る…と思います」
「そうだね、選ばれなかった者達は疑問を抱き、そして不満を持ち神様に怒りを覚える」
そりゃそうだ
「そこで神様はまず、1対1の面接型にする事により、選ばれなかった者達が異世界の存在を知る機会を無くした」
そうだったのか
通りで他に人が居ないと思った
あと、疑問だった事が…
「あの、選ばれる基準って何ですか?」
「……神様の好み…かな?」
「………へ?」
思わず素っ頓狂な声が出た
いや、だって好みって
「ごめんね、俺も詳しくはわからないんだ」
「そうですか…あとなんで異世界の話を俺にしてくれたんですか?」
「それはね、君が良い人だと思ったからだよ」
そう言い先輩は俺に背を向け
「俺はね、このままじゃダメだって…みんな平等じゃないと!って…それに嘘は良くない…たとえ神様だろうがね」
「ミカエル先輩……」
先輩は震えていた
もしかしたらこの不平等さに嘆き悲しみ、泣いているのかもしれない
俺は沸々と神様に怒りを覚えだした
このままではミカエル先輩だって可哀想だ!
それに嘘は良くない
うん、異世界が無いとか
俺の希望や夢を打ち砕いたその嘘は良くないよね!ね!
俺はその場から駆け出した
言わずもかな、神様のところへ
俺の気持ちをぶつけにさ!
「なーんちゃって!!……て、あれ?優也くん居ない?!」
そして、優也に呼び出されたミカエル…義政は神様にこっ酷く怒られる事に