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神とは人が勝手に付けた名である  作者: やまのほとり
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9.他人の思考は不明である



「神様聞いてください、あの自称神が何度も俺の所に来ては特別に信者になる事を許す!とか言ってきて鬱陶しいんですがどうにかなりませんか?」


相談があるので時間を頂けませんか?と優也くんに言われ、今に至る


あの休憩時からどうやら戸上くんは優也くんに会いに来ているらしい


「ふむ、気に入られたようじゃのう」


ほっほっほっと笑えば

笑い事ではありません!と怒られてしまったわい


「気に入られる要素が俺のどこにあったかわかりませんが、最近では俺が仕事を終わるのを待ってたりしやがりますしストーカーですかこの野郎って感じなんですよ?!」


「ほう、そこまで気に入られとるのか…」


やるな優也くん!

そのまま戸上くんを手懐けてくれんかの?


「このままじゃストレスでどうにかなりそうですよ!」


「そ、そうか、すまんのう、ワシから戸上くんに注意しておこう」


戸上くん、聞いてくれると良いんじゃが


「ありがとうございます!本当に鬱陶しいんです!ありがとうございます!」


お、おう

優也くんの気持ちはわかったから

そんな強調せんでも


でもまぁ戸上くんが優也くんに懐いた理由はおそらく…


「友達になりたかったのじゃな」


「え?」


「あ、いや、戸上くんは優也くんと友達になりたかったのではないかのう?」


「いやいやいや、信者になれとか言ってるんですよ?」


「戸上くんにとっての 友達になって が 信者になって なのじゃろう」


プライドが邪魔してそういう言い方になったんじゃろな


「…神様を侮辱するような態度をとる自称神とは友達になりたくないです」


はっきり言うのう


「そもそも、何故自分の事を神様だと言っているんですか?めちゃくちゃ偉そうに」


「いや〜思い込みの激しい子と言うか…何というか」


「思い込み?」


「色々あっての…優也くんが初めてここへ来た時にワシと面接みたいな事したじゃろ?」


「あ、はい」


「戸上くんの時も当然したんじゃが…ワシと中々話をしてくれんくての、何か聞いても首を振る動作しかしてくれんくて困ったもんじゃった」


「へぇ意外ですね、あの自称神が」


いや、うん

彼にも色々とあったんじゃよ

だがまぁ詳しい事情は流石に本人の許可なしに話せんからのう


「…それで全然進まなくてのう、仕方なく保留という形でワシが戸上くんを預かっていたんじゃが」


「えっ!保留とか出来るんですか?!」


しかも神様が預かってたってどういう事?!

とちょっと興奮し過ぎじゃ優也くんよ


「本来は保留などしてはおらんが、あまりにも戸上くんとのやりとりが進まなくてのう、仕方なくじゃ」


「そうなんですか」


「うむ、それで戸上くんと一緒に過ごすうちに徐々に話をしてくれるようになっての…ワシが…その………戸上くんに励ましの言葉などをかけた結果、今に至るというわけじゃ」


「………え?いやいや、励ましの言葉って…何言ったんですか神様」


そんな呆れたような目で見ないでほしいのう


「あまり詳しい内容は言えぬが…ネガティブな発言に対し、そんな事は無い、お主は素晴らしい子じゃというような事を言っただけなんじゃが…」


変な言葉は掛けておらんかったが

その励ましの言葉がいかんかったのか


「流石に戸上くんの思考回路までワシは理解しておらんかったんでの、そのまま言葉を掛けていたらいつの間にかあの状態に…」


「えー…励ましの言葉だけであーなります?」


「普通はならんじゃろな…普通は……」


「………」


「………」


2人して遠い目をする


「……そういえば、何故義政に相談しないんじゃ?」


「義政先輩に相談したら、今よりも悪化すると思ったからです」


「いや、悪化はせんじゃろ?」


「します、確実にします」


「そ、そうか…まぁとりあえず戸上くんに注意はしてみるが、聞いてくれるかはわからんからの?」


「えぇ、何かしてくれるだけでも助かります」


ワシと戸上くんとの話を聞いたからか、諦めの色が見えるのう


何かすまんの優也くん


いざとなったら百合子さんに押し付…あ、いやお願いするとしようかの























「私を呼び出すとは一体何の用だ?私も暇ではないのだ、さっさと言え!」


「…すまんのう、最近優也くんに頻繁に会いにいっておるみたいじゃが」


「彼奴が全然私のところへ来ないのでな!私から出向いてやってるのさ!」


「…優也くんも仕事がある身じゃ、そんな頻繁に来られたら迷惑するじゃろ?」


「私自ら会いに行ってやっているのに迷惑なわけ無いだろ?」


「いや、じゃから「そうか!」ワシの話聞いてくれんかの?」


「ふふふ、なんだヤキモチか!」


「……ん?」


「私の神という名を与えてやってるだけじゃ飽き足らず、私自身と一緒に過ごしたいというのだな!」


「い、いやいやいや!そんな事一言も言っとらんぞ?!」


「わかる、わかるぞ!私にはわかるのだ!」


「全然わかっておらんわい!ワシの話聞いて!」


「ははは!照れてるのか?仕方ないヤツだ!安心しろ!願いは叶えてやるぞ!何せ私は神だからな!今日から一緒に過ごしてやろうではないか!」


「ダメじゃ全然話聞いてくれん」






後日、戸上くんは優也くんのところへ行く頻度は減ったがワシのところへ来る頻度がめちゃくちゃ増え

百合子さんが鬼の形相で戸上くんに説教している光景も増えた事がここ最近の出来事である


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