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プロローグ

 

 俺は、生まれてきてはいけなかったんだろうか。

 今日もまたそんな事を考える。


 クソババア、もとい母はいつもいつも俺に言う。

 何であんたみたいなのが生まれてきたんだ。

 さっさと死ね。

 罵詈雑言を浴びせながら俺をストレス発散の為の玩具の様に扱う。殴る蹴るの暴行なんて当たり前、髪を引きちぎったり煙草の火を押し付けられたこともあった。ヤバかったのは

 金属バットで頭を殴られた時と包丁で腹を刺された時だろうか。


 今ではもう慣れたもので、痛みすらも感じはしないが日に日にストレスが溜まっていく。


 クソジジイ、もとい父は碌に家には帰らずパチンコと風俗通い。

 更にはいつのまにか闇金まで借りていやがった。

 うちは元々金がない。

 借りた金を返すあてなんてまるでないし、父は仕事もしていない。

 母はパートをしているが、態度が悪いからなのかすぐにクビになって長くは続かない。


 いまは、生活保護を受けてなんとか生きていけている状況だ。


 そして、ジジイが借りた金の返済分をどしたのかという話になるが、これがまた頭のおかしい話で俺を一発殴るらせるごとに千円分返済されるということで話がついたらしい。


 ジジイの借りた金は全部で約百五十万。

 つまり俺は千五百発殴られなければいけないわけだ。ふざけんな。


 しかも相手はゴリラみたいな筋肉のとても堅気とは思えない様な奴らだった。

 なんでもここら辺の超武闘派のマフィアの構成員らしい。


 あいつらが家に入り込んできたときは思わずビビってしまった。


 初日は大体二十発も殴られると気を失ってしまった。


 だが、これも慣れればなんということもなくなって一週間もすれば五十は耐えられる様になり、一月経つ頃には一日百発殴られても気絶しない様になった。


 これが毎日の様に続けられ、5ヶ月もしないで全額を返済しきった。


 この時俺は、常人じゃない程の頑丈さを手に入れた。


 しかし、体は頑丈になってもストレスと恨み憎しみは増していくばかり。


 更に俺は周りへの体裁のためと、高校に行かされた。


 勿論、金のかかる私立なんてものじゃあないし頭のいいところでもない。


 所謂、馬鹿ばかりが集まる底辺高校だった。

 何がカッコいいのかわからないが、制服を着崩したり、無駄に派手に改造したり、髪を金髪に染めてみたり、ピアスをつけたり刺青を入れたり、ヤンキーが多かった。


 女子もいるにはいたが、大体が頭の悪そうなギャルだった。


 ここでも俺のストレスの増加は加速されていった。


 何を思ったのか入学早々にヤンキー数人が俺を取り囲んで金を巻き上げようとしやがった。

 財布を取られたが大した額も持っていないため痛くも痒くもなかった。

 因みに取られたのも五百円くらいだ。

 まあ、それも昔に自販機の下に落ちてたのを拾ったやつなんだけど。


 それからヤンキーどもは抵抗も何もしない俺をみて、調子に乗ったのか金をせびる事は無くなったが、かわりに暴力が増えた。


 これは昔からされていた事だし、大した痛みも感じないからさしたる事もないが、最悪なのが俺の数少ない私物をゴミ箱に捨てたり、燃やしたり、トイレに流したりされた事だ。


 でも、我慢した。


 俺は弱いから。

 社会的にも肉体的にも。


 抵抗する術が無かった。

 思いつかなかった。


 ――俺はこの時、どうすれば良かったのだろうか?





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