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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千二十三


「ククク!呪術を、拡張するというような感覚か」

「イエス。団長の『ターゲッティング』を、私が薄めながら広げるであります。この眼下の戦場のすべてを、巻き込むようなサイズで」

「『ターゲッティング』で、ゼファーちゃんの『歌』を敵に注ぐんだね」

「そうすれば、かなりの敵に強烈な『影枷』の増大を……」




「私の表情筋が豊かであれば、きっとニッコリしているでしょう」

「じゃあ、私がキュレネイのお口のはしっこを、ぐいって持ち上げてあげるね」

「イエス。むぎゅ、う、であります」

「ほっぺた、ふんにふにー」




「イチャイチャし過ぎじゃないかな、この連中」

「うらやましいんだろ。そんな言葉を吐くなんてよ」

「うるさい。ソルジェ・ストラウス、アンタは奥さんがたくさんいるんだから、気をつけろよ?奥さんの群れに八つ裂きにされちまうぞ」

「我が家は、純愛と幸せに満ち溢れているんだぜ。あと、奥さんの群れという表現は、紳士的じゃない」




「左様。言い方には気を付けるべきだ。少年よ、人生は口で損することが多くある」

「分かったよ。んで。『ターゲッティング』とやらは、どんなものなんだ?」

「お兄ちゃんの『ターゲッティング』は、敵を呪うんだ。呪われた敵は、そこに必ず魔術が当たるようになるの。しかも、威力がすっごくパワーアップしているんだ」

「なんだ、それ。反則じゃねーか」

「竜呪術ですね。魔眼に由来するもの、模倣は確かに困難でありそうですが」




「私が融け合うようにひとつになって、編集を加えるであります。薄めて、広げる。そして、敵の傭兵どもに対してのみ呪術が届くようにするであります。『動き』で呪うように、変えればいい。背骨の動きが、呪いの標的であります。これで、単独の威力は弱くなるものの、多くを同時に呪える……現状では、これが精いっぱいそうであります」

「さすがはオレのキュレネイ・ザトーだよ。見事だ、しかし無理はするな」

「イエス。無理はしていないであります。この後も、戦いがあるから。だから、戦闘の難易度を下げてやるだけ。これで、数十人を呪術で……」

「ああ。無効化してやれそうだぜ。楽しみだな!」




「では、団長。やれそうであります」

「おう。術はオレが組むから、お前は拡げてくれ」

「イエス。つながる、であります」

「ああ、『ターゲッティング』……」




―――キュレネイは竜呪術と、融け合っていく。

完全模倣の達人にだけ許されたものだろう、『竜を模倣』するなんて。

竜騎士どころか、竜そのものなのさ。

ソルジェの左眼、アーレスの魔眼と同調するにはそれが必要だ……。




―――ミアはキュレネイの赤い瞳に、アーレスを気取ったらしい。

『灰色の血』というか、キュレネイだけに許された奥義だろう。

『竜を模倣』したことで、竜呪術の編集者としての地位を得られたようだ。

まったくもって規格外のセンスだよ、さすがはボクたちのキュレネイ……。




「見える、であります。いや、もっと、より概念的な把握。言語化するのが難しいでありますが、今の私は、竜呪術の質を変化させられる……」

「地上の敵を、全員、感じられる……いや、オレたちの呪術の内側に引きずり込む」

「イエス。やれているであります。敵の、動きそのものを、呪術の儀式に組み込む……それが、完了したであります」

「お兄ちゃん、長く集中させるとキュレネイが疲れちゃう。サクッと、やろう!!」



「おう!!ゼファーよ!!歌ええええええええええええええええええええええッッッ!!!」




『GHAAOOOOHHHHHOOOOOOOOOOOOOHHHHッッッ!!!』




―――空を仰いでいた傭兵どもの全員が、この歌声に呪われていく。

キュレネイの『拡散ターゲッティング』に、『声』の呪術が導かれた。

『影枷』をさらに強化するように、強く深く呪いが溜まった挙句。

ゼファーの歌の迫力に後ずさりした者どもは、『影枷』を発動する……。




「手足の筋肉が強烈な痙攣を始め、筋肉が自らの強さによって断たれていく……強制的な肉離れと、神経麻痺を同時に発生させる。戦闘能力は大きく下がるのだ。対処のレベルは、それぞれの傭兵自身のスキルセットに応じたものとなるでしょう。時間経過により、もちろん復帰してくる傭兵は増える。襲撃するなら、素早くというわけです」





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