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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その六百六


―――感傷的なガンダラとは、もっと飲んでみたいと友人として思うよ。

賢い彼の孤独や苦しみはね、ソルジェやボクみたいな者とは比べようがなく深刻だ。

人間族という種族が、巨人族という種族よりも恵まれている点は多い。

繫栄した種族という立場は、そうじゃない種族よりは気楽に生きられるものさ……。




―――そういう格差みたいなものを、否定したくもあるけれど。

あまり無責任な拒み方については、ボクみたいなヤツはやれないんだ。

ソルジェに任せるよ、そういう繊細さを彼は持っていないからね。

ボクがガンダラにすべきアドバイスは、「恋でもすればいい」だね……。




―――『パンジャール猟兵団』のナンバー2は、ガンダラかシアンだよ。

実力的にも精神的にも、そして政治的な実績としてもね。

多くの王国や土地で、ソルジェの官僚としての振る舞いもしているガンダラと。

ハイランド軍で左官級かつ、カリスマ軍人として暴れ回るシアン……。




―――この二人の序列をつけるのは、ちょっとボクにも困難なんだよね。

そして、その序列をつける必要も別になかったりする。

ふたりとも少しばかり、働きすぎなのが問題なんだ。

シアンには酒や睡眠や怠惰な骨抜きがあるけれど、ガンダラにはない……。




―――恋人でも見つければ、生きやすくなると思うんだけれどね。

ガンダラが恋人を作れば、おそらく兄へ対する家族性のコンプレックスは消えるかも。

巨人族という種族を背負うだとか、そんな大きすぎる概念より身近な愛が勝るかもね。

愛ってのは大きいじゃないか、個人を突き動かす最大のテーマでもある……。




―――公職の仕事が忙しすぎるガンダラは、もっと力を抜いて生きるべきかも。

マジメな性格だから、なかなか本人がそれを望めないだろうから。

ソルジェやボクやギンドウあたりが、すすめてみるべきものだね。

ジャンでは荷が重すぎるし、ジャンからの恋愛指導なんて腹が立ちそうだ……。




「……よう、ガンダラ殿」




―――美しくて若い女性が登場したよ、ロマンスが成り立てば面白いが。

さすがに、少しばかり『中身』に問題があるだろうね。

諸問題が起きるの考慮して、『カール・メアー』の尼僧服ではないけれど。

うつくしい尼僧戦士であり、『中身』はメダルド・ジーという中年男だ……。




「慣れませんな。メダルド・ジー殿」

「……当然だ。この体になってしまってから、まだ半日。違和感の大きいこと」

「私よりも、当人の方が大きいでしょう」

「……こんな状況は、さすがのオレも想定外だった」




「ええ。『神』と呼ばれる者は、不可思議な行いをするものですな」

「……ついていけない。オレを、救ってくれたのだろうが、この娘自身に悪い気がしてならないのだ」

「フリジア・ノーベルの宗教的な解釈で言えば、その体の主は幸せなのでしょう。女神イースの命令で、尼僧は身を差し出したのですからな」

「……だとしても、笑えん。この少女、コートニー・フレールの家族にも悪い。『カール・メアー』に寄贈したくなるぞ、大金をな」




「そちらの方が、笑えませんよ」

「……ああ。冗談ではある。『カール・メアー』は、なかなかに亜人種や『狭間』の敵ではあるのだから。だが……」

「だが、どうしました?」

「……潜在的には、おそらく、こんな状況を彼女らも望んではいまい」




「女神イースと、つながったから思うのですか?」

「……かもしれん。まさか、女神の『素材』にされる日がくるとは思わなかったが。そもそも、オレの本当の体は、とっくに消え失せて……心だけ、ここにあるような気もする」

「世界最高の錬金術師でも、貴方の診断には自信を持てないでしょうな」

「……おかしな立場ではあるが、『カール・メアー』が苛烈な選択をした理由は、世界の現状のせいにほかならん。宗教らしいロジックで、政治的な問題をも、解決しようとした。政教分離という古王朝的な哲学を、採用しなかったらしい」

「積極的に、世界に貢献したいと考えたのでしょうな」




「……世間知らずの尼僧たちには、現状の難しさは解決できんさ。祈りや願いそのものは、尊いのだが」

「見た目が若い娘なので、どうにも不釣り合いな知性というか」

「……賢い発言を、叩き込んでおきたい!彼女が、コートニー・フレールが自分を取り戻したとき、ちょっとは賢さをな!……オレが、してやれる数少ない償いのひとつ。気を使うぜ。若い娘の人生と体を、奪っているんだから」

「なかなかに、マジメな方ですな」




「……そいつは、きっと、アンタもだよ、ガンダラ殿。苦悶の表情してやがるぞ」

「多忙なもので、少々、疲れているのでしょう」

「……当然だよな。亜人種のアンタは、女神イースに魔力を吸われている。至近距離で戦いながら。その点、オレは、妙に体力がある。若い肉体に戻ったからかも。健康体というのは、いいもんだ。だから、仕事があれば手伝わせろ。酒を飲んで体を痛める気にもなれん。眠れなくて、暇なんだよ」

「なるほど。では、お言葉に甘えるとしましょうかな」





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