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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その四百九


―――大陸南西部へと、向かう羽目になる。

帝都を攻めるためにも、背後から大軍に襲われてはたまらないからね。

ゼファーがいる『パンジャール猟兵団』なら、打ってつけの作戦もある。

荒くれたならず者と帝国に滅ぼされた小国の残党が跋扈する土地は、猟兵向きだ……。




―――ゾロ島のキケからは、多くの情報が期待できるだろう。

荒くれた漁師たちには、暴力的な交友関係もあるからね。

海を伝って、西から逃げてきた者だっているはずだ。

ルルーシロアが稼いでくれる時間的な猶予を使い、西に妨害工作を施したい……。




―――軍隊を派遣するほどの余力は、現状こちらにはないからこそ。

猟兵が働くべき仕事になるし、おそらくソルジェも喜ぶだろう。

我らが師でもある、前団長ガルフ・コルテスも旅した土地だ。

それにね、コルテス姓の多い土地でもあるんだよ……。




―――ガルフがどこの生まれなのかは、把握しちゃいない。

本人も明かしたことはないけれど、西のどこかにガルフの故郷があるかもね。

『最強の戦士』だけで構成された傭兵団を作りたい、などと考える人物だ。

ずいぶんと個性的な血筋の果てに生まれた、傑物かもしれない……。




―――もしかしたら、コルテスの一族と出会えるかも。

そんな奇跡にも期待するよ、ガルフの一族が健在だったとすれば。

この乱世に必ず参加すると思うんだよね、ある意味ソルジェより戦闘狂の人物の血だ。

西にいる帝国軍の動きも、今のところ静かなままなのも興味深い……。




―――レヴェータが死亡したことに対して、西に派遣された侵略師団の長は何を思うのか。

帝都から離れれば離れるほど、ユアンダートの求心力も失われるはずだ。

あらゆる組織に言えることだが、いつまでも一枚岩であるとも限らない。

負け続きの十大師団のなかに、野心が芽吹いてくれればありがたくもある……。




―――とてつもなく、理想的な願望ではあるけれど。

西の帝国軍が、ユアンダートに反乱でも起こしてくれれば最高なんだけれどね。

マルケス・アインウルフに続いて、こちら側への寝返りが起きれば幸いだ。

それらの政治的願望も、ボクやクラリスにはありもする……。




―――軍を派遣する力がないのが、悔やまれるけれど。

ゼファーのアドバンテージを、活かしてみたいところだよね。

ああ、戦について考えると楽しくなってしょうがない。

ボクもルードの狐である前に、やっぱり猟兵でもあるからだ……。




―――乱世を生きている戦士としては、これが正しくもある。

戦いや争いに対して、無条件にワクワクしてしまうんだよ。

それが時として、危険を呼び込むかもしれない。

しかしあらゆる歴史書が肯定するように、ヒトは戦を起こすものだ……。




―――良き形の『未来』のために、力尽くに世界をねじ負ける。

ユアンダートがしたように、こっちもしなくちゃならない。

女神イースによる亜人種への致命的な打撃は、回避された。

ゾロ島のキケが期待するように、『ルファード』が革命的な変化の記念碑になるかも……。




―――だが、それはあくまでボクたち『自由同盟』の力が支配する土地においてだ。

帝国軍占領下にある地域では、人間族第一主義は元気に機能している。

人間族も、亜人種が力をつけつつある状況を好むとは限らない。

ガルーナやルード、北方諸国の一部の口が『例外的』なんだよ……。




―――女神イースが期待したとおりに、世界を変えなくてはならない。

千一年目の世界のためには、徹底的な暴力で融和を強いることも必要だ。

ごくありふれたプロセスを、我々は突き進めなければならない。

敵を黙らせて、こちらの『正義』に世界を従わせる……。




―――亜人種解放の象徴である『ルファード』とか、『狭間』であるビビアナ。

そういった融和のシンボルのような場所や人物が、健在であれば必要な暴力も減るよ。

権威があれば、こちらに従ってくれる者も増えていく。

あらゆる種族が生きられる場所に、政治的な権威を与えたいんだ……。




―――あんなにやさしい女神イースさえ、絶望させるような現実を変えられたら。

『自由同盟』の願いに、共鳴してくれる者は増えてくれるだろう。

正念場は、続くよ。

乱世で休めるのは、圧倒的な勝者のみということさ……。




―――もちろん、ボクとクラリスも遊んでいるわけじゃない。

いくつもの交渉を、水面下で行っている。

我が姉も、北方に構築した情報網を使ってある人物に書状を送れた。

ソルジェとは因縁深い、旧バルモア連邦領にいる人物にね……。




―――帝国最大の火種は、そこにあるのだから。

ルードの狐とすれば、もちろん使いたくなるよ。

ソルジェが喜ぶか否かはともかく、必要な交渉だ。

ガルーナ王になる男に、関わらせてはいけない準備もある……。




―――ボクたちは、常にソルジェの仲間だよ。

だからこそ、この配慮もしておくべきなのさ。

どうにも歴史的な罪科となる場合も多いのが政治だから、背負う罪は少ない方がいい。

秘密を抱えた友情も、許容できる器があれば長続きすると信じている……。




―――ユアンダートの『東征』を、今このタイミングでさせる気はないからね。

最悪の場合は、ボクの友情を犠牲にしたっていいよ。

祖国のためじゃなく、親友のためにも死ねるのがルードの狐だ。

いずれにせよ、上手く運べば帝国の動きを封じられる……。




―――上手く運ばなかったときは、それまでだ。

より見境のない戦術を採りながら、戦い抜くだけ。

なんであれ、次にソルジェが向かうべき方向は定まった。

狐は東に竜は西に、大陸の覇権の命運をかけての任務をこなそうじゃないか……。





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