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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その二百三十九


―――ギムリの叫びに、ルチアはうなずいていた。


彼女は迷わないよ、『ギルガレア』を倒す戦いに参加しているからだ。


神殺しの覚悟は、とっくに果たしている。


『神さまほどに正しい敵だって』、力尽くで倒して『未来』を勝ち取ると……。




「こいつらは、神さまに逃げたんだ!!ガンダラさん!!行こう!!」


「ええ!!全員で、あの『繭』に張り付いている者たちを排除しにかかる!!」




―――戦術は成っているよ、敵を分散して確保しているのだからね。


ギムリたちが『女の声の男たち』を確保したおかげで、『繭』の守りは手薄だった。


ルチア・クローナーが突撃していく、仲間のエルフたちを従えてね。


下がることで敵を誘導してくれた彼女たちは、今度は突撃していく……。




―――いい切り返しだった、ガンダラと人間族の戦士たちの突撃に追いつけた。


エルフの体格は取っ組み合いに向きはしないけれど、素早いからね。


人種の差がよく反映された戦術だったよ、ガンダラの指揮らしい『攻撃』連鎖だ。


戦士たちが『繭』に向かうと、『繭』の輝きは強さを増していく……。




「ひるまない!!矢を、撃ち込んでやる!!」


「分かっているでしょうが、人質には当てないように!!」


「もちろん!!ムダな血は、流したりはしない!!」


「オレたちも、撃つぞ!!」




―――『繭』に肉薄しながらだからね、『繭』に抱き着く者たちの腕や脚を縫うように。


ルチアたちエルフの矢が、精密な射撃を成功させていく。


金色にかがやく『繭』に、矢が突き刺さった。


手応えそのものはないが、『彼女』を焦らせるには十分だったよ……。




「『守れ!!そいつらを、薙ぎ払うんだ!!』」


「『どうして、分からない!!分かってくれない!!』」


「『何で、こんなに苦しくて孤独な世界に執着する!!』」


「『許さない!!やはり、人種を越えようとする者たちは、猛毒だ!!』」




―――『繭』の護衛をしていた『女の声の男たち』が、ガンダラたちに向かう。


挑発は成功したよ、これでますます楽になる。


『彼女』もやはり『面影』の一種らしい、本物の『彼女』なら戦術音痴のはずもない。


ゆっくりと魂まで崩れながらも、残っている意志もあるが知性は完璧じゃない……。




―――レイチェルがこの場にいたなら、見破られたかもしれないね。


『彼女』が何処まで分解され過ぎて、本来のモノからかけ離れたかも悟った。


芸術家は真実を見抜くことには、優れているからね。


でも、ニセモノではある『彼女』にも真実はあるんだ……。




―――芸術的な真実とでも言うべきか、本人そのもの以上に凝縮した真実の化身だ。


亜人種や『狭間』がもたらす、軋轢が大嫌いで。


それがくり返される世界に、大きな絶望をしていて。


未来に生きる子供たちが、そんな苦しみにもがかないために滅ぼしたがっている……。




―――それらは、とてつもなく純度の高い真実だ。


『彼女』はニセモノではあるが、ニセモノだけにそれら強い感情の化身でいられる。


まあ、『彼女』らしさしかないってだけだよ。


戦士としての知識が欠落しているのは、おそらく『戦士よりも歌い手でいたい』から……。




―――ボクの分析が正しいかどうかは、問題じゃない。


これは戦いだからね、『繭』から突撃してきた敵を排除するべき時間だ。


『女の声の男たち』を、ガンダラや人間族の戦士やエルフの戦士たちが取り押さえる。


連携して動くのさ、人種の差などこの連携の何処にもなかったよ……。




「『違う、こんなのは、違う!!』」


「『お前たちだって、分かっているはずだ!!』」


「『人種の差をなくそう!!これからの千年も、苦しみたいのか!?』」


「『いやだ、いやだ!!やめろ、くるな!!女神イースに触れるな!!』」




「触れてやるわよ!!神殺しを、私たちがやる!!くたばれ、女神イース!!」




―――ルチアが選んだのは、槍だったよ。


矢筒と共に背負っていた槍を引き抜いて、勢いよく跳躍する。


『繭』に誰よりも近づいたルチアは、金色にかがやく繊維に向けて槍を叩き込んだ。


護衛の男たちが足りないせいで、槍は『繭』だけを貫けた……。




―――矢よりも深くに突き刺さっていくが、いきなり止まった。


ルチアの全身が、凍てついた瞬間でもある。


物理現象ではなくて、ただの心理的現象だよ。


槍を伝って、とんでもなく強い力に触れてはいたけどね……。




「こ、い、つか……ッ」




―――恐怖であり、畏怖も混じっている。


猟兵たちに比べれば、自分の力量は数段劣っているという自覚もあった。


最強の戦士だと、胸を張れるほどの実力はない。


それでも、『これほどの力の差がある』とは思ってもいなかった……。




―――『ギルガレア』よりも、強いかもしれない。


ルチアはそこまでは想像していなかったんだ、今このときまでね。


『ギルガレア』の力を転用して、神さまを『模造』したのなら。


昨夜の『ギルガレア』よりも、強いはずがないと信じていた……。




―――その確信は、もう跡形もなく消え去っている。


槍の先も、消え去っていた。


強力無比な力で、『握りつぶされた』のさ。


『繭』の奥底にいる、神さまは『ギルガレア』よりも剛力だった……。




―――その直後に行ったルチアの判断は、あまりにも正しい。


槍から手を離していたんだ、ただの恐怖に対しての反射じゃないよ。


女神イースが、自分に報復するかもしれないと。


読んだのさ、だってこの女神は亜人種が大嫌いなのだから……。




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