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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その百九十九


「『猟兵というのは、賢いのですね。貴方は、まだまだ子供なのに』」

「13才だよ。でも、私より幼い年で戦ってる子たちもいる。こないだ、ぶっ倒した子も、たぶんそうだった」

「『ぶっ倒した子、ですか』」

「エルフの子だよ。盗賊に入っていて、意地悪な兄貴分の手下だったの。殺さなかったけど、ぶちのめした。邪魔をしたからね。今は、きっと『ルファード』だと思う」




「『どこもかしこも、戦いばかりですね』」

「帝国が、この戦いを作ったの。だから、それを私たちが終わらせるために戦う」

「『帝国と戦うどころか、亜人種同士でも戦ったのでしょう?』」

「必要なら、そうするよ。でもね、きっと、今はあの子も私たちと合流する。あの兄貴分は意地悪だったんだけど、最期は仲間のために戦えたから」




「『亡くなったのですね。『カール・メアー』の教義からすれば、それは救いです』」

「あなたたちの考えは、本当によく分からない。ヒトが死んじゃうことは、どう転んだって救いにならないよ」

「『ただ一つの種族だけになった方が、戦いも争いも、今よりずっと少なくなります』」

「減りはするかもしれないけど、人間族同士でも争い合ってはいるでしょう?」




「『人種のあいだの闘争がなくなるだけでも、違いますよ』」

「そうかな。私はヒトが戦うのは本能みたいなものだから、そうはならないと思う」

「『では、戦いを減らすには……?』」

「信頼できる大きな同盟があること。それが、いちばんいい解決策だと思うよ。皆の力をひとつに集めておくの。その中でね、モノを売り買いしておくといい」




「『子供らしくありませんね。誰かの受け売りということでしょうか?』」

「おじいちゃんが昔言っていたの。それと、最近はロロカと詩人さんもね。でも、それが正しそうだってコトは、私にも分かるよ。信じられるもん。力と欲望は、大勢を一つにする」

「『……13才の言葉じゃ、ありませんね。それだけ、多くを見て来たのかしら』」

「あなたは、どうしたら世界が平和になると思う?平和にしたいんだよね?どうやって、人間族だけの世界を作ろうとしているの?」




「『……教えてあげたくなっちゃいますね、幼いからでしょうか』」

「教えてくれてもいいじゃない。こっちも、少し自分を伝えたんだよ?」

「『そう、ですね』」

「信頼をね、大きくしようよ」




「『……女神イースを再臨させれば、本当の慈悲がこの大陸を包むでしょう。女神が不在のままだから、今このような混沌が起きる』」

「女神がいたぐらいで、大陸が平和になるの?神さまをね、私たちは何人か倒してるけど。神さまがいただけで、平和なんて作れそうになかった」

「『女神イースは、絶対の神となられる。多神教の神さまとは、違うのです。あらゆる人々を統べて、女神イースによる直接の統治があれば……人々の心は愛と平和に満たされるでしょう』」

「あなたは、それを信じているんだね」




「『ええ。平和が欲しいのです。あまりにも血が多く流れる世界に、女神の導きが欲しい。だからこそ、多くの孤児たちが……この啓示に参加してくれたんです』」

「けいじ……って、何?」

「『ときどき、13才ですね』」

「うん。私はあまり賢くない方だから。教えて」




―――教えを乞う姿勢は、詠唱長を口説くには適していたよ。

ミアのそれは演技というよりも、本心からの好奇心だからね。

ミアは知りたいんだよ、いつだって敵の心も探りたい。

子供だから純粋で、純粋だから求めるし周りも与えたくなるものだよ……。




「『啓示というのは、女神イースから与えられた使命のことです。女神に肉体を戻す。それこそが、私たちが与えられた使命なのです』」

「おっちゃんの『心臓』で、それがやれるんだ」

「『はい。私たちは聴いたのです。女神から、肉体を産み出せと。レナスこそが、あの悲しい『彼女』こそが、母体として適していたのに……』」

「女神の、お母さんになるつもりだったんだ。あなたも、そうなんだね」




「『ええ。この体は、それに相応しくはありませんが……』」

「『本体』で、お母さんになりたいの?」

「『……詳しくは、教えてあげません』」

「お兄ちゃんたちに、殺されるかもしれないのに。ガンコだね」




「『殺されても、最悪のシナリオは回避できるからですよ』」

「なるほどね。何か、大事なコトを教えてくれた気がする」

「『賢い子ですね。でも、私が真実以外も口にするかもしれないと、考えるべきです』」

「そっか。そうだね。私を嘘で操りたいのかもしれない。でも、今の言葉は信じるよ」




「『あら。どうしてですか?』」

「必死なカンジがしたからだよ。嘘っぽくは、ない」

「『やはり、13才らしからぬ洞察ですね』」

「リュドミナは、そういえば何才なの?それぐらいなら、教えてくれるよね?」




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