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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その百九十六


―――フリジアからの質問に、パロムは驚いてしまった。


そもそも『盗聴』という文化そのものが、ディアロスの戦士には馴染みが薄い。


それに加えて、パロム自身の単調さというものがある。


ディアロスの戦士は突撃こそが名誉だからね、搦め手のたぐいは好まない……。




―――だが、大陸を転戦しながらフリジアも学んだのさ。


戦いというものは単純じゃないことを、さっきのリュドミナの見せた戦いからも学ぶ。


リュドミナの戦い方は、あまりにも周りに経験値を与えてしまうんだよ。


詠唱長という教育的な立場ゆえに、意図せず帯びてしまった性質かもしれないね……。




「や、やれます!!やれますよ、盗聴……!!」


「そうか。ミアは、それをお前とあの馬に期待しているんだろう」


「馬じゃありません!!ユニコーンですからね、『曙』は!!」


「そ、そうか。失礼だったようだな。ユニコーンだ。覚えたぞ!」




「まったく!ディアロスとユニコーンについて、あまりにも大陸の皆さんは知らないようですね。『水晶の角』に触れることや、私たちへの侮辱の言葉は、すなわち決闘を申し込むのと同義なのですよ!」


「決闘など、している場合ではない。今は」


「はい。『盗聴』できるかどうかを、確かめないと……」


「頼む。きっと……やれるはずだ」




―――街道を走りながらも、パロムは『水晶の角』に魔力を集めていった。


集中することで、ユニコーンの額から生えた『水晶の角』とつながれるから。


心を一つに融け合わせていくと、『曙』が何処にいるかも分かるのさ。


心の声が、伝わってくる……。




―――『曙』もまた驚いていたよ、彼女にも『盗聴』なんて発想が無かったからだ。


ミアに対して驚いてもいる、どうして自分たちさえ気づかなかった戦術を使えるのか。


それはロロカと『白夜』のそばにいたからだし、猟兵だからだった。


『曙』は緊張もしたよ、自分が動揺してはリュドミナに気づかれると心配したのさ……。




「リュドミナという者は、賢いのですか!?」


「それは、私たちよりは賢いだろう」


「ユニコーンや、ディアロスについてもくわしいでしょうか!?」


「それは、どうだろう。少なくとも、私よりはずっと博識のはずだ。亜人種についての研究もしていたから。その……つまり……」




「……残酷な、ことですね。『カール・メアー』は、亜人種を殺す。『狭間』についても大きな憎しみを持っている……殺すために、研究もする」


「そういうことだ。私たちに、亜人種をこの世界から排除する『理由』を教えるのも、詠唱長の仕事の一つだった」


「……なんと、腹の立つことでしょうか」


「後で、いくらでも謝ってやる。だから、今は……協力し合おう。お前にとって、それは大きな苦痛かもしれないが。私たちの協力を、ミアは期待している。『仲良く』、『話し合う』んだ。お互いを知って、協力し合えば、ミアのやろうとしている戦術に貢献できるはずだ」




「わ、分かっていますよ。私だって、ムダに争いたいわけじゃありませんから。私は……今は、忘れます。憎しみを忘れるから、貴方とも協力できるんです」


「ありがとう。作戦を、考えよう。私もアタマが良い方じゃない」


「……わ、私もそうです。だから、こそでしょうね。協力し合えと……」


「まずは、あのユニコーン……」




「『曙』ですね、『曙』は……今、すごく慎重になろうとしています」




「自分の役目を理解したんだな。私たちに情報を伝える。それで正しい。冷静になるんだ。演技は、得意だろうか、『曙』は?」


「い、いやあ。そういうのはまったく……真っ直ぐなのです。私と『曙』は。ディアロスとユニコーンって、そうなんですよね……っ」




「うん。とっても正しい生き方だ。だから、今はその生き方を曲げたとしても……」


「は、はい。協力しますよ。バレないように、バレないように。『曙』……しっかりと、役目を果たしなさい。き、緊張は、しないように!ああ、返事もいりません!」


「……すごいな。この距離でも、通じ合えているのか……」


「え、ええ。普段、こんなにお互いから離れることがないので、自分たちも知りませんでしたが……かなりの距離でも、通じ合えているんですね……」




「……リュドミナは、おかしな様子はないか?」


「……ない、ようです。ただ静かに……呼吸を整えているようですね。体力が、かなり落ちてしまっている。ミアさんが、それを支えてあげているみたいですよ」


「ビビ……っ。かわいそうに。毒まで飲まされて、今度は……『蟲』がのどに……心まで、奪われて……っ」


「……本気で、心配するんですね」




「親友だからだ。親友に、なったんだ。それは、おかしなことか?『カール・メアー』だったが、私は……もう違う」


「……分かりました。疑いません。貴方は、とても必死ですから。ミアさんと同じように。それだけ、誰かを想えるのならば、私は貴方を仲間だと認めます」


「ありがとう。ビビを、助けるために協力してくれ。『カール・メアー』についての罰は、後でいくらでも受ける」


「そういうのは、あのリュドミナという者に支払わせたい……ですが、そうか。ビビさんという方に、寄生している……殴ったりは、できませんね」




「ああ。絶対に、そんなことはしないでくれ」


「了解しました!とにかく、今は……っ!!う、後ろを見て下さい!!」


「……ん。ああ。私たちはついている」


「馬車です。『オルテガ』に向かう、馬車!!これで、『曙』と離されずにすみます!!」




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