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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その百七十八


―――ミアの読みは正しいものだよ、賢いロロカは連絡要員を派遣していた。


『ユニコーン』の速度は、並みの馬の三倍以上はあるからね。


ルクレツィアの作ってくれた錬金薬も使えば、その速度はさらに上がる。


直接的な戦闘だけを行うのが、戦争じゃない……。




「見つけた!おーい!!」




―――ミアの大声に、『ストラウス商会』のユニコーン騎兵が反応する。


『水晶の角』を持つディアロスは、聴覚だけじゃなく角でも空気の震えを知覚した。


空中から飛来するミアの動きにも、すぐに気が付けるよ。


当然ながら、驚いてしまってはいたけれどね……。




「ちゃーくちっ!!ふう、良かった。思っていたよりも、ずっと早くに見つかった!」


「あ、貴方は!?え、えーと。もしかして、ミアさんでしょうか!?」


「うん。ミア・マルー・ストラウスだよ。お姉さんは、私のコト、知ってるんだ?」


「え、ええ。その、初対面ではありますが、お噂はかねがね!」




「そっか。『パンジャール猟兵団』を知っていてくれるんだね?」


「それはもちろんですよ!社長も、副社長も尊敬していますのでっ!!あ。もちろん、ミアさんもです!!」


「ありがとう。それで、いきなりで悪いんだけど。お願いがあるの」


「何なりと、お申し付けください!!千の敵に対しても、突撃してみせます!!」




「敵軍に突っ込む仕事じゃないけれど、戦略的に大切な仕事があるの」


「そ、そうですか。私、少しばかり不器用な者でして。知恵を使うより、体力を使う方が向いているのですが……」


「問題はないよ。複雑な仕事じゃない。『オルテガ』の北にある港……その近くにある放棄された灯台。そこに行きたいんだ」


「運ぶだけなら、お任せください!!そういう任務には、適した性格をしております!!」




―――栗毛の乙女は、鼻息をフーっと吐き出しながら胸を叩いた。


愛馬である『ユニコーン』も、彼女に同調して鼻息を合わせる。


ミアは、うなずいた。


この仕事に適した人材と、『ユニコーン』に出会えたのさ……。




「乗せてもらっていい?とっても、急いでいるんだよ」


「分かりました!このパロムと『曙』にお任せください!!」


『ヒヒイン!!ブルルルルウ!!』


「ありがとう。急ごう、パロム、『曙』!!」




―――瞬間移動でもしたかのような速さで、ミアは『曙』の背に乗った。


パロムはその動きだけでも驚き、感動する。


副社長であるロロカを、崇拝している者はディアロスには多い。


このパロムも、その一人に他ならない……。




「さすがは、副社長の義妹さまですっ!!このパロム、深く感動しました、その敏捷性に!!」


「褒めてくれるのは嬉しいけど、急ごう」


「は、はい!!」


『ひ、ヒヒイン!!』




―――お調子者なコンビだと、ミアの知性は適切に見抜いていたよ。


パロムも愛馬に乗り、ミアに「抱き着いていてください」と語った。


ちいさな腕で、パロムの背中に固定する。


『ユニコーン』の速さは、『白夜』で知っているから油断はできない……。




―――とくに、ロロカや『白夜』と比べて賢くなさそうなコンビはね。


見境を知らない暴れ馬という生き物は、よくヒトを死に至らせるものだ。


さすがに『白夜』ほどではなかったけれど、『曙』も素晴らしいユニコーンだった。


恐ろしい急加速が行われ、街中だというのにまたたく間に疾風よりも速くなる……。




「どいてくださあああああい!!『パンジャール猟兵団』からの、ご依頼ですうううううう!!」


「そうだよ。警告しながら、走ってね。じゃないと、みんなを巻き込んでしまうから」


「はいいいいいい!!そうならないように、叫びますううううううううう!!!」


『ヒヒイン!!ヒヒヒヒヒイイイイイイイイイイイイイイイイイインンン!!!』




―――恐ろしい速度ではあるが、そこは人馬一体が究極に成された者たちだよ。


『水晶の角』がつなぐ、心と心のおかげでね。


荒々しいコーナリングでも、転倒せずに街道を駆け抜けられた。


『オルテガ』の東側に集まっていた戦士たちは、驚いて飛び退く者が相次いだが……。




―――今は、緊急事態だからしょうがない。


ビビアナとフリジアは、ミアにとっては親友であるし。


戦略的にもレナス・アップルを放置するなんて、ありえない。


仕留めておかねばならない敵だ、『ルファード』を襲撃できる戦力だからね……。




―――『オルテガ』を攻撃されれば、もうすぐ始まる戦いに悪影響だ。


街道を走りながらでも、戦士たちの疲弊は明確に分かってしまう。


深夜から早朝にかけて、城塞を突貫工事で復旧していたわけだからね。


誰もが長丁場の戦いと労働に、くらくらしそうなほど汗をかいている……。




「海が近くて、良かったよ。みんな、塩にはそれほど困らないだろうから」


「そのようですよおおおおおお!!『ストラウス商会』も、塩を運ばなくてすみましたので、楽でしたあああああ!!」


『ヒヒイン!!ヒヒヒヒヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンンンン!!』


「塩は、貴重な軍事物資だからね。とくに、夏は」




―――ヒトもそうだが、馬も汗をかいてしまう。


堅調な進軍を行うためには、塩は必要不可欠な物資だよ。


それが不要だということは、『オルテガ』の塩の蓄えは十分そうだ。


『曙』の爆走も、汗をともなってはいるが首元に塩袋を下げているから大丈夫さ……。




「どいてくださあああああい!!そこを、通りますよおおお!!」


「お、おお!!」


「なんだ、なんだ!?あ、危なっかしいなあ!!」


「ごめんね、皆!!急いでいるの、はねられないように注意してね!!」




―――『曙』の突撃するような爆走から、城門の修復作業をしていた者たちが飛び退いた。


ひかれる者がいなかったのは、幸いだったね。


パロムの大声のおかげだよ、そこには慣れを感じられる。


極北の寒さが走る大地とは違って、大陸の街道は全体的に狭苦しい……。




「おお!無事に、外に出られましたよ!!これは、成長ですね、『曙』!!」


『ヒヒイン!!ブルルルウ!!』


「……何度か、事故ったコトがあるみたいだね」


「数回です、数回。それほど、気に留めるほどの数ではございませんとも!!」




「そっか。気にしない。これだけ急いでくれるなら、私にはとてもありがたいよ」


「北に、向かえば良いのですね?」


「そう。北だよ。北にある、放棄された灯台。そこに、私の親友たちと、親友たちを誘拐したヤツがいる」


「倒しましょう!!正義を、成し遂げるのです!!」




「うん。殺すよ。レナス・アップル。貴方が、不幸でも……女神イースの加護があったとしても。私の親友たちを苦しめた罰からは、逃れられない。私は、とっても怒っているの」





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