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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その百七十六


―――ミアの宣告を受けて、巫女戦士は必死になる。


ミアにすがりつきたくて、しょうがない気持ちなんだよ。


自分の命を握っているミアの信頼を、失いたくなかった。


だからね、とても素直になる考えることなく答えたよ……。




「レナスとは、もう合流している予定だった!朝陽が、上るよりも先に……そのタイミングで、私も、ここに来る予定だった……」


「だよね。あまり早く、ここに来ていたら、お兄ちゃんやジャンに見つかっていたかもしれない。良かったね。二人は、私よりも怒りっぽいかもしれないよ」


「え、ええ。あなたに……あえて、良かったですっ」


「うん。私も、素直なお姉さんに会えて、嬉しいよ。それで、レナスと合流したら、どうするつもりだったのかな?」




「れ、レナスは……『ルファード』の『人買い』の娘を、誘拐してくる予定だった」


「ビビのことだね。どうやって運ぶつもりだったの?」


「そ、それは。あれは……『何』なのか、私も、教えてもらってはいない。ただ、率直な感想に過ぎないものだけど……バケモノ」


「バケモノで、運ぶ。うん。こちらの情報と、ちゃんと一致しているね。そのバケモノは、一体、何なの?知っているコトだけでもいいから、教えて」




「ご、『ゴルメゾア』。それが名前……聖なる獣よ、イース教の……」


「獣を、呪術で動かしているんだね」


「……獣……獣というか、あれは……」


「……『寄生虫』かな?『ルファード』や、『オルテガ』で暴れていた、『蟲の教団』の遺産」




「異教活動については、私の知識は、乏しいの。詳細は、理解していない。でも……リュドミナ・フェーレンさまは…………」


「―――考えないで、教えてね」




「は、はいっ!!その、きっと……禁忌に、手を染めておられるように思います!れ、レナスもそうです。詠唱長と、『彼』は……何か、『カール・メアー』の禁忌を犯しているように思えてならない」


「『彼』って、どういうコト?『カール・メアー』には、女しかいないんだよね?」


「レナス・アップルは……説明しにくいけど。端的に、言えば、去勢された、元・男なの」


「去勢って……あれを、あれする、あれ……」




「え、ええ。その、そういうのよ……残酷な、暴力の被害者なの」


「『カール・メアー』が、しちゃったの?」


「ち、違うわ!!そんな真似を、私たちはしない。亜人種や、『狭間』に対しての処刑だって、そんな苦しみを与えはしないわ」


「素直だね。いいよ、今は、素直であることを許してあげる。レナスについて、教えて。そいつは、どうして去勢されたの?」




「レナスは……歌い手だった。とても素晴らしい才能の。それに、目をつけた『人買い』に誘拐されて、男だったから去勢されたの。そ、その……そうすると、美しい声が、保たれるらしいから」


「『人買い』か。奴隷商人は、好きじゃない」


「……でも、メダルド・ジーは……その『人買い』」


「ジーの一族は、反省したよ。だから、見逃せる」




「そんなに、甘いものかしらね。レナスは……きっと、許さない」


「『人買い』って、おっちゃんたちじゃないでしょ。ジーの一族は、そこまでしない」


「……ジーの一族に、去勢されたわけじゃない。でも、レナスからすれば、似たようなものに見えていたかもしれない……『彼』の、心を私は、理解できない。性別も違うし、そもそも、距離があった」


「そいつ、『カール・メアー』からも嫌われていたんだ」




「……嫌う、というか。扱い方が、本当に分からない。『カール・メアー』は、女所帯なの。レナスは、やっぱり……素直に女性だとも思えなくて……分かる、でしょ?」


「さあ。そいつを知らないと、何とも言えない。でも、悲惨な人生だったのは、分かるよ」


「……それは、そうだとしても。なかなか、複雑な『男』なのよ、レナスは」


「レナスは、『人買い』を憎んでいたから、ビビを誘拐したの?」




「……誘拐を、指示したのは、リュドミナ・フェーレンさま」


「そいつの目的を、教えて」


「し、知っているなら、教えられる。でも、そうじゃない。命令されているだけ。私は……レナスは……違うかも。もっと、リュドミナさまに、近いから」


「仲良しなんだ、そいつら」




「へ、変な意味に、捉えてはいけないわ。二人とも、僧侶だ」


「どういう関係なの?具体的に、教えて」


「……た、たぶん。師弟関係という形だと、思うわ。レナスの、美しい歌声に、詠唱長として、興味を持ったんじゃないかしら。聖歌の指導も、する方だし」


「歌の先生が、どうして戦場に出て来ているの?」




「か、かなり偉い方なの。自分で、作戦を立案したり、直接指揮したりもする。『プレイレス』に……来られていたから。この地域で、活動しているのかも……」


「お姉さんは、下っ端なんだ。フリジアより、数段弱いもの」


「……わ、私は……戦闘よりも、連絡とかが専門なの。巫女戦士といっても、果たすべき仕事は、さまざまあるの!」


「連絡係ね。じゃあ、他に拠点がある」




「……っ。は、はいっ」


「複数の拠点が、近くにあるなら、レナスが『ここ』に現れないときは、他の拠点に向かう可能性があるよね。お姉さんは、知っているはず。連絡係って、複数の拠点のあいだを行き来する仕事だもん」


「そ、そうね」


「教えて。『ここ』にレナスが来ないときの、次の候補。それと、リュドミナ・フェーレンが、拠点として使っていそうなトコロもね。はい、二秒以内で」




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