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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その百四十二


―――変装だけじゃないよ、諜報の技巧はね。


『敵』はボーゾッドを通じて、セザル・メロから多くの情報を手に入れていた。


必要な『寄生虫』を回収するために、一つの謀略も使っている。


『メダルドを襲わせた』、その筋書きを本当に描いたのは『敵』だった……。




―――いくつかある『寄生虫』の種類から、必要なものを得るためにね。


メダルド・ジーは、その『寄生虫』の苗床として選ばれた。


『敵』からすれば彼じゃなくても良かったが、ボーゾッドを操るために都合が良かった。


ボーゾッドはビビアナを手に入れようと、暴走していたからね……。




―――メダルドの肉体を使い、『それ』を育てる必要があった。


『それ』は『敵』にとって貴重な『寄生虫』であり、『素材』だ。


『敵』が所属組織から『プレイレス』に派遣されていた理由は、諜報と研究でね。


『プレイレス』にいた、あの邪悪な天才呪術師を見張るためだった……。




―――そう、ソルジェに倒された皇太子レヴェータだよ。


ヤツの敵は多いけれど、『敵』とその所属組織もそうだった。


『敵』は『プレイレス』で、ソルジェたちと同じようにヤツを追いかけたんだよ。


そこで祭祀呪術の知識を得ることになる、『敵』からすれば思わぬ収穫だ……。




―――『古王朝』の祭祀呪術が、『エルトジャネハ』を再生させた瞬間に遭遇した。


『モロー』に、『敵』もいたんだよ。


ソルジェたちと同じとき、『エルトジャネハ』の最初の復活を目撃した。


そのあとで『トルス』にまで追いかけ、『エルトジャネハ』の消滅まで見ていた……。




―――アリーチェと赤い竜の幻視と遭遇し、怒り狂ったのもそのときだ。


はらわたが煮えくり返りながらも、『敵』は多くを学び得ていたらしい。


祭祀呪術が成し遂げた、いくつもの奇跡たち。


『エルトジャネハ/神』をヒトが『創り出せる』という、望ましい結果もね……。




―――そうだ、『レヴェータは神さまを創った』のさ。


『古王朝』の祭祀呪術は、それを可能にする。


それと似ている現象が、この土地でも起きているよね。


『ギルガレア』の片割れも、『蟲の教団』によって創り出されている……。




―――リヒトホーフェンらによって、それらは同調し融合した。


ソルジェたちに、ついさっき倒されてしまったけれどね。


『ギルガレア』の敗北は、『敵』にはどうだっていい。


『神さまを創るための手段』を、手に入れられれば満足なのさ……。




―――『素材』は、集まりつつある。


だからこそ、『最後の実験』に向けて『敵』は行動を開始した。


メダルド・ジーを手に入れるために、人質を取ろうとしている。


ビビアナを殺したいけれど、しばらくはガマンだ……。




「父は、殺人事件の調査を……状況の確認に動いているようです。私は、父の代わりとして、そのことを報告するために来たんです」


「そ、そうか。助かるよ。情報を、皆に共有しておこう」


「南の警戒に、人員をより割かなければならんな……」


「人手不足になるだろうから、私も……屋敷の護衛に回れと」




「それは、ありがたいハナシだが……」


「私も、父に剣術を習っていましたから。『ルファード』は、長らく帝国軍に支配されて、物騒でしたから」


「なるほど。たしかに、帝国兵に女性が襲われる事件もあった……」


「それに。今さら、一人で父の出かけた家に戻る方が怖いです。屋敷なら、周りに頼れる戦士さまたちが大勢いますもの。ここに、いさせて欲しいのです」




「……了解したよ。ロマの娘なら、問題はない。手を貸してくれるというのなら、願ったり叶ったりだ」


「ビビアナお嬢さまを守るために、何だっていたします」


「ああ。こっちに来てくれ。ビビアナさまに、報告もして欲しい」


「ええ。私も久しぶりに、ビビアナお嬢さまにお会いしたいです」




―――まるで本物のロマの娘のように、完璧な演技を『敵』はこなした。


『プレイレス』と『ルファード』、それに『オルテガ』まで。


この地域を行き来しながら、諜報と研究に従事した。


元より諜報員としての優れた能力が、経験により磨き上げられた結果だろうね……。




―――多くの顔や名前を使い分けながら生きていると、演技達者になるものさ。


『敵』は実にあっさりと、最大の警戒を突破してしまっていた。


屋敷のなかを進み、あの階段を上り。


ワインレッド色のテーブルが置かれた、作戦会議室まで向かう……。




―――『敵』は微笑みを絶やさない、屋敷のなかに大嫌いな亜人種がいてもね。


亜人種よりも大嫌いな『狭間』である、ビビアナを人質にしなくちゃならない。


『敵』は嫌悪感をガマンしながら、ロマの娘としての演技を継続した。


大勢いる警備をすり抜けて、ついにその部屋へとたどり着いてしまう……。




「ビビアナさま!ロマ・レーンの娘が来ました!何やら、トラブルが起きているようです!!」


「トラブル?……一体、何事よ。『オルテガ』から届いた、あのヘンテコな命令と何か関係があるの?」


「たしかに、ヘンテコだ!何という言いがかりなのか。私を拘束しろだと?この正義の巫女戦士である私を……っ。屈辱が過ぎるぞ!!」


「と、とにかく。君、説明を頼むよ―――――――」




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