表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4137/5090

第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その八十九


 しばしの休憩時間は終わった。忙しい夜は続く。


 ゼファーに乗り、『オルテガ』の上空へと飛んだ。


 ガンダラやメダルドと合流することも大切ではあるがね、それよりも先に威圧と偵察をかけておくことにした。


 竜太刀を掲げ、その先に『炎』を呼ぶ。


 これで遠くからも目立てるわけだよ。『ルファード』軍には、オレたちの健在を伝えられるし、それ以上にしておきたいことは、帝国兵どもへの脅しだ。指揮系統が壊滅しているとは言っても、まだ戦える体力を残したままの兵力も『オルテガ』の内外にいる。


 捕虜となったはずだが、状況が変われば意識も変わるものだ。反乱を起こされてはたまらない。


 見せつけてやるのだよ。オレたちの勝利をね。


 ……『オルテガ』の外の闇に潜みながら、こちらを偵察しているはずの敵にもだ。


 こいつらの方が警戒すべき点がある。『オルテガ』に近づく敵戦力、空にいるオレたちに気づけば、目立たないように動こうとするだろうよ。


 『オルテガ』内外の敵に対して見せつけるために、ゼファーは目立つように旋回した。時間をかけても、かまわん。こちらも地上の状況を確認しておきたくもある。


 巨大なイバラが暴れ回ったおかげで、街並みはすっかりと崩壊していた。『ルファード』軍と帝国軍の戦闘によるダメージも、当然ながらある。これを確認して、可能な限り早く補修しておかなくてはらならん。


 上空から偵察することで、修理の優先順位を決められるわけだ。


「北東部の城塞が、やけに崩されているな」


「うん。帝国兵を逃がすために、包囲を緩めていたところだよね」


「逃げるときに、帝国兵が破壊工作をしていたってこと?」


「それもあるだろうが、それだけじゃない。見てみろ」


「……地面ごと、えぐられている。あのイバラの怪物どもが、地面の底から突き破ったのね……城塞近くまで」


「ゼベダイ・ジスの意志が反映していたのかもしれんな」


「帝国が『オルテガ』を再攻略しやすいように?」


「そのようにも見える。戦場には、偶然はない。合理的な悪意が支配しているものだ。腐っても、帝国軍人ではあったということだろう」


 軍人として最悪の裏切り者ではあったが、こういう置き土産も用意するのは、あの男らしくもある。


「想像していた以上に、破壊されていやがるぜ」


 『オルテガ』を守り切るためには、リスクとなる。修理し切らない限り、迷宮都市の頑強さは失われたままだ。


「ど、ドワーフたちを廃鉱から、た、助け出せたのは、ついていましたね。か、彼ら、『オルテガ』での作業にも、慣れているはずですしっ」


「ああ。彼らに工事の指揮を執ってもらうことになるかもな。彼らじゃなければ、『オルテガ』市民の大工だろう」


 『オルテガ』外周を旋回して、アタマのなかにある地図に被害状況を書き込んだ後で、街の中心をにらんだ。


「お兄ちゃん、何が気になっているの?」


「……『帝国軍のスパイ』どもの動向を、気にしておきたくてな」


「そっか。これだけの大きな事件だもん。あいつらも、動くよね」


「『寄生虫』の回収を狙うでしょう」


「間違いなくな。『寄生虫』は、『ゴルゴホの蟲』の原型だ」


 リヒトホーフェンは政治的にもユアンダートの敵だった。『カール・メアー』を派遣されるほどの異端者であるし、ライザ・ソナーズとも近しい。つまり、レヴェータ側についてもいた。


「調べていただろう。『カール・メアー』から情報を得ていたかもしれん……」


「リヒトホーフェンの拠点に、戦士を送ってもらいましょう」


「……ああ。それが一番だな」


「『ギルガレア』の指摘を気にし過ぎるのも考え物ですわ」


 さすがは、レイチェル・ミルラだった。オレは考え過ぎてしまっている。『ギルガレア』は教えてくれた。この魔眼のおかげで、神さまが敵に回りやすいのだと……。


「敵が『悪神にまつわる力』を『集めようとする』のであれば、『帝国軍のスパイ』は典型的な実働部隊ですものね」


「ああ。『ギルガレア』の指摘に、過敏になってもいるのかもしれない」


「ヒトには限界があるものです。リングマスター、もっと周りを頼ることにしましょう。先ほどの若者のように、貴方からの仕事を欲しがっている者も多いのですから」


「……ありがたいことにな」


「私も、命令してくれたら働くわよ?」


「ククク!……やる気のある若者だらけで、楽できそうで何よりだぜ。だが、まずは、補給するとしようか」


「……そうね。もう、射るための矢もないから」


『じゃあ、がんだらたちのところに、おりるね!!』


「おう。頼りになる副官殿にも、しっかりと頼るとしよう」


 空をゆっくりと旋回して、ゼファーは『仲間』たちの集まる場所へと降りた。多くの戦士たちが歓声を上げてくれたよ。


「ストラウス卿だああああああああ!!」


「『オルテガ』を守り切ったぞおおおおおお!!」


 歓声を浴びるゼファーは心地よさそうにニンマリと笑いながら、ガンダラとメダルドのもとまで歩いてくれた。


「お帰りなさい、団長。お疲れ様でした」


「ああ。そっちもな」


「……どんな敵にも勝てるってことかい。相変わらず頼りになるな、あんたは」


「猟兵は、最強なんだよ」


「……ハハハ。そうらしいぜ。全員、無事だな?……ルチアも……?」


「無事だ。ルチアも、ここにいる」


「……見つけてる。良かったよ、ルチア。君は、オレにとって親族の一人だからな」


「ええ。メダルド・ジー。あなたも、無事で良かった。体調は、大丈夫?」


「……ミスター・ガンダラにも心配されてね。さっき、『オルテガ』の医者にも診てもらったよ。心臓の具合も、良いらしい。案外、タフな男だったらしいぜ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ