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第二の人生は異世界にて  作者: りょーが
第1章 一応生き返ったけど正直生きた心地がしない
13/14

第13話 欲望で動くと道に迷う。これ世の常識。

「はい!到着しました!」


割と長い道のりを経てついに浩人とフィアは街に到着した。


門をくぐるとその先は、浩人の予想をはるかに上回る規模だった。


中世ヨーロッパの風景をそのままコピペしたような感じだ。修学旅行やプライベートでの旅行は遠くても国内しか行ったことのない浩人にとっては、初めての国外旅行のようだった。異世界だけれども。


「門をくぐるちょっと前あたりから道が石で舗装されてたからもしかしてと思ったけど…中はやっぱり石造りなんだな」


足元は石畳、道を挟むように並ぶ家々はレンガでできていた。少し奥のほうには川が見える。


「これはすごいなぁ…この街はなんていう名前なんだろ」


「この町はプロスペランテって言うんだよ!鶏肉がおいしいって有名だよ!」


「フィアはほんとに食いしん坊だな…少し見て回ったら飯にしようか」


「やったー!ごはん!」


相当お腹がすいているのだろう、フィアは浩人の言葉に飛び跳ねて喜ぶ。


「まずは先に仕事を探そう。安心しないとろくに飯も食えないしな…」


浩人はまず、この世界の職業安定所を探すことにした。


「あ、そういえばフィアはこの街に来たことあるんだよな?もしかしてこの街の案内とかできる?」


「案内?ごはん食べるとこなら!」


「ですよね期待してなかった!」


一本道ですら迷うフィアに期待できることではなかった。


「じゃあこの街に詳しい人を探さないとな…それなら答えは一つ!」


浩人は門の近くにいる守備兵に話しかけることにした。


「あの、聞きたいことがあるんですけど…」


「ん、どうしたのかね?このあたりで見たことない顔だが…服装も珍しい恰好をしているな」


「それは…はは。遠くの村から出てきたもので」


「それはご苦労だったな。この街は他の街と比べて平和だからゆっくりするといい。それで、聞きたいこととは?」


「実は村から出稼ぎで出てきまして…それで就職先を探してるんですが、この街では勇者を募集してると聞いたのでどこにいけばいいのか教えて欲しいなと…」


「勇者とな?…ふむ。なら、この先をまっすぐ進んだところに業務所という施設がある。そこに行くといいだろう」


衛兵はまっすぐ伸びる道の先を指差す。


「ありがとうございます!」


浩人が衛兵にお礼のお辞儀をすると、「がんばれよ」と言われた。


優しい雰囲気を見るに、本当に治安がいいようだ。


「場所聞いてきたぞー。この先を行けば職安につくらしい」


「しょくあん?ご飯食べるところ?」


「そんなに腹減ってるのか?」


浩人がフィアに問うと、


ぐぅぅぅ~…


フィアの腹鳴りがそのまま答えになった。


「うむむ…先に要件を終わらせたいんだが…どうしても食べたいか?」


「そんなに欲張りじゃないよ!我慢できるもん」


「よだれよだれ。垂れてるぞ?」


「…ハッ!」


フィアはよだれを隠すように袖でごしごしとぬぐった。


「…先に飯食べにいくかぁ。かくいう俺も腹減ったし」


そういうと、呼応したかのように浩人の腹も唸った。


「やった!ごはん!」


ぴょんぴょん!と飛び跳ねるフィア。


「こっち!おいしいお店知ってるよ!」


フィアが突然浩人を引っ張りはじめる。


「おい、ちょっと待てって!」


抵抗する浩人に反して、フィアはその体からは想像できない力でずるずると自分の進む方向へ引浩人っ張っていく。


「腹減ってるんじゃないのかよ!」


「お腹空いた!」


「わかったから!自分で歩くから!服破れる!」


そういうと、フィアは引っ張るのをやめた。


「こっちの道を進むと私がいつも言ってる店に着くよ!」


「まあ…直線だけならここに戻って来れるかな」


はじめてきた場所でも、極度の方向音痴でなければ元の場所に戻ってくることができる。そう浩人が思っていた。


それが間違いだった。




「迷った…」


やはりフィアはフィアだった。


「あれぇ…おかしいなぁ…こっちのはずなんだけど」


「おかしいなぁ…じゃないだろ!どうするんだよもう!」


完全に迷ってしまっては元の場所に帰ることもできない。


「止めても先に行こうとするフィアが悪い」


「えー…そんなぁ」


浩人が何度かフィアに止まるよう言ったが、まるで聞く耳を持たなかった。


おかげで今はどこかもわからない、薄暗い路地の中にいる。


「これからどうするよ…腹も減ったしもうモチベーションが上がらない…」


おもわずその場に座り込んでしまう浩人。


「うぅ…ごめんね?」


「もういいよ…誰か道案内してくれる人いないかなぁ…」


「どうしたの?もしかして困ってる?」


途方に暮れてると、誰かが浩人に声をかけてきた。


「そうなんです。道に迷ってしまって…」


「あらあら、それは困ったわね。もしよかったら道案内しましょうか?」


「…え?いいんですか?」


希望の光がそこにはあった。


「おねがいします!助けてください!もう腹減ってやばいんです」


「そうなのね。…じゃあご飯が食べられるお店に連れていけばいいのかな?」


「やった!ごはん!」


「フィアのせいで…もういいや」


この際突っ込むのはやめようと、言いかけた悪口を飲み込んだ。


「ところで、救世主様のお名前はなんとおっしゃるのですか」


「救世主なんて大げさな…私はエリス・クロード。気軽にエリスって呼んでもらって構わないわ」


「エリス!早くご飯いこ!」


「そうね。行きましょう」


欲望に勝てないフィアに急かされて、3人は歩き出す。


「エリスさんは…この街の方ですよね?」


「そうよ。生まれも育ちもこの街。…あなた達は見たところこの街を知らないみたいだけど。どこから来たの?」


「少し遠いところなんですが、ドゥク村って知ってますか?そこから来たんです」


「あー…ドゥク村ね。物凄い名前だから一回聞くと忘れないわ。なんか刃物で体を刺されたような効果音がそのまま名前になったような名前よね」


なんて不吉な。でもわからないことはない。でも不吉だ。


「私も最近その村に来たばっかりなのであまり馴染みはないんですけど…村の人はみんないい人でしたよ」


「そうなんだね。じゃあ今度仕事がてら行ってみようかしら」


エリスがそういうと、浩人は 仕事 のワードが気になった。


「エリスさんはお仕事をなさってるんですね」


「そうよ。やっぱり自分の力で生きるためには働かないとね」


「ちなみに…どんな仕事をしてるんですか?」


「実はね…こう見えても、勇者なのです!」


「へぇ…勇者」


…ん?勇者?


「勇者なんですか?」


「そうよ。勇者」


浩人にとって予想外の回答だった。


「意外だった?」


浩人に笑いかけながらそう言うエリス。


「はい…まさかここで先輩に出会うとは。しかも女の方で勇者…」


「性別は関係ないわよ?私以外に結構勇者とかそういうパワージョブしてる人はいるもの」


「へぇ…そうなのか」


勇者は危険を伴うのでてっきりほとんど男だけで成り立ってるものだと思っていた。


しかし、この街に入る前にフィアの魔法を見たのを思い出し、なんとなく浩人の中で腑に落ちた気がした。


「それよりも。先輩ってことは…君も勇者なのかな?」


「勇者、というよりはこれからなる感じですかね。そのためにこの街に来ました。」


「そうなんだ。じゃあご飯食べ終わったらそのまま職案に行く感じかな?」


「そうです。よかったらそこも案内していただけると…」


「いいわよ。ちょうど用事で私もそこに行く予定だったから」


「やった!ありがとうございます!」


「未来の後輩君に優しくしておくといいことあるかもだからね。…これは借りだからね?」


「は、はい…頑張ります」


先輩勇者に大きな借りを作ってしまった浩人だった。


「ごっはんはまだかなっ」


「もう少しで着くわよ」


「やたーっ!」


ピョンピョン跳ねるフィアは喜ぶあまり、浩人と繋いだ手をぶんぶんと振っていた。

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