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もはや警察沙汰でした

この自作ゲームは、学校のグループで作った作品だ。

結はテストプレイヤーとしてバグのチェック等をしてくれていて、作品が完成されてからもずっと遊んでくれていた人物だった。

その結から今日届いたメールの文面は、こう書かれていた。



ゲームにログインしたら、ゲームにそっくりな世界に来てしまった。元の世界に帰れない。等々。



冗談でしょ、と笑いたくても。

学校まで来て結の情報を聞きに来ていた家族を見て、とてもじゃないがそんな気分にはなれなかった。


そんな中で帰宅した私を出迎えたのは、結の親戚だという一人の刑事だった。



「結は私の目の前で消えた。」


「えっ!」


「君のゲームにログインした途端に、だ。パソコン画面が変な光り方をしたかと思えば結の体が消えていて、そのパソコンは壊れてしまっていた。」



他の行方不明者のパソコンも同じように壊れていて、なかなか原因がわからないでいるらしい。

消える瞬間を見たという人も少なく、今のところは狂言扱いになってしまっていると聞いた。



「頼むから、何か知っていれば教えて欲しい。」


「....えっと。」



真実を話していいものだろうかと悩んでいると、目の前で銃を突き付けられていた。

ひっ、と小さな声が鳴る。



「信じられないなら、私の目の前でログインしてみてくれないか?君が突然休止させている、あのゲームに。」


「わかりましたわかりました!ちゃんと全部話しますから脅さないでくださいよっ。」



私は何も悪いことしてないんですけど!?と涙目になりながら、私の知っている限りのことを話した。

そりゃあ結が目の前で消えちゃって必死なのかも知れないけれど、ここまでする?

あ、私が元凶の可能性があったなら当然なのかな。

いやでも酷くない?



「とにかく私も困ってるんですよっ、どうしたらいいですか!?」



お互いに策を練りあって、今後の方針を決めていった。

まず、警察にはまだ秘密にすることになった。

こんな世迷いごとを話したところで、すぐに警察が動いてくれるはずがない。というか動きようがあるとも思えない。

誰かに話を広めることで世界に情報が漏れた時の危険性の方が高いと言われた。


次にゲーム世界とのやり取りについて。

転移してしまった彼らを少しでも生活をサポートできるように、ランダムに選んだ数名とだけ連絡を取り合うのが良いんじゃないかと提案されて、受け入れた。


そこでゲームの掲示板に、こう書き込んだ。


数が多すぎて対応できないため、初心者、上級者、女性、男性、子供、年配者…それぞれの代表者を連絡相手にさせていただきます。

早めにことを進める必要性があるため、ゲーム内で代表者が決まらなかったカテゴリーのからは管理者側からランダムで決定しようと思います。



「って、感じですかね。」


「性別とかはゲーム内での話か?違うなら補足しとけ。」


「うーん。どっちの場合も必要な気がしますけど、人数をこれ以上増やすのもちょっと問題ですよね。」


「まぁ、ゲーム内でのことにしておくか。後は向こうに任せるてみるとしよう。」



ゲーム内でもなんとかこの提案を受け入れてくれたらしく、次の日には数名の代表者が決定していた。

結には直接に通知をしておいて、女性カテゴリーの代表者になってもらった。

互いのことをよく知っているからこそ信用できる彼女との繋がりはどうしても必要だったし、刑事さんとのこともあるから非常に助かる…のだけれど。



「これから、どうなっちゃうんだろう。」



多くの人命が、私の手にかかっているだなんて。

消すに消せないゲーム画面を見つめながら、気が遠くなる。


元の世界に、戻ることはできるんだろうか…。

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