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退屈な僕と面倒な国家-エピローグ-

退屈シリーズ一話です。

推敲うまくいってないかも…

 エピローグ―退屈な真実


 真実なんて知りたくない。

 別に都合のいいことだけで良かったのに。

 だってこの世界は嘘ばっかり、非真実しかないから。

 けど、真実を知ると・・・・・・・・・ほっとする。


 後日―――というかレクリエーションが終わって明日後。空を曇天が埋め尽くすその下で、僕は授業中呼び出されて、渋々偉繰の部屋へと向かっていた。授業ぐらい受けさせて欲しい。まぁいつも寝ているんだが。

 一体何なんだろう。偉繰は今回のレクリエーションについてと言っていたが、正直まだ本調子ではないから、働くようなことだったらぜひ遠慮したい・・・・・・

 僕は偉繰の部屋、通称、王の間の唯一つのドアを開ける。

「おう、イッコクやっと来たか。待ちくたびれたぞ」

 中では偉繰がキングサイズのベッドに尊大に寝そべっていた。

 部屋の中は金色の家具がほとんどのスペースを埋め尽くしていた。しかもフローリングではなくて畳。匂いはいいのだが目には悪い部屋である。

「どうしてわざわざ授業中に呼んだんだ?」

「まぁ、単純にこの話はみんなに言う必要が無かっただけという事だな」

 そんなことかよ。というか言う必要が無いだけなら、別にみんなが居ても居なくても構わないと思うのだが・・・・・・まぁいい。本題にさっさと入ろう。

「それで?何のようだ?」

「イッコク、お前白雪姫の本当の物語を知っているか?」

「はぁ?」

 何を言っているんだこいつは。白雪姫?アレは確か、

「魔女の毒りんご食った娘を、王子様がキスで生き返らせるって話だろ?」

「それがまぁ普通の答えだな。だが、な。白雪姫の物語で娘さんは王子様のキスで目覚めてはいないんだよ。そんな愛の物語のように言われているが、実際の真相は王子様の家来が躓いてガラスの棺を落としたときの拍子で、娘さんは食べたりんごを吐き出したんだそうだ。まぁ他にも諸説あるみたいだがな」

 へ~そうなのか。へ~、へ~、へ~・・・・・・

「って、お前のムダ知識を言うためだけに僕を此処に呼んだのか?」

「そんなことでは呼んでないから安心しろ。俺様が言いたいのはそのように物事には真相、真実って物があるって事だ」

 まぁそりゃどこにでも知られざる真実みたいなことはあるだろう。

「それで、だ。イッコクにはぜひ知ってもらいたい真実がある」

「・・・・・・・・・なんだ?」

 偉繰はベッドから起き上がり、座って、話し始めた。

「おとといの、レクリエーション、アレは全部仕込みだ!」

 ・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?

「どういうことだ?」

「だからそのままの意味だ。あの反乱軍も、富幽の兄弟がやったことも、ぜーーーーんぶ、俺のシナリオだ」

 訳が解らない。というかこいつは今とんでもないことを言い出しやがったぞ。

「簡単に言うと、反乱軍なんかもともとないし、水戸や厳重郎もお前の放った仕掛け人ということなのか?」

「いや、正確には反乱軍は存在していたが、レクリエーションの前にこっちで全て解決した。水戸や厳重郎は、まぁアルバイトだな」

 ・・・・・・・・・陰謀だ。あの金がどうこうはこういうことだったのか。それに今考えると、レクリエーション中の枚狗先輩や党夜の言っていたこともこういう訳か。あいつらのリミットってやつも本当は、雇い主が来たら終わりってことだったのか。

 ん、まてよ。という事は、

「偉繰、雷三もこの件は承知済みなのか?」

「いや、オレは自分が気絶するなんて事は知らなかった。ただこれが仕込みだということは知っていたけどな。というか、全部のシナリオを知っていたのは偉繰とあの双子だけだぞ」

 なんてことだ。全ては釈迦の掌ならぬ、偉繰の掌の上か・・・・・・というか、雷三はいつの間にこの部屋に入ってきたんだよ。

「イッコクが来る前からこの部屋に居たぞ」

 金色のソファーに座っていた雷三がこっちを見て答える。

 くそ、党夜といい、雷三といい、何でこんなに気配を消すのが上手いんだ。

「じゃあ、僕は偉繰の駒となって動いてたってわけか・・・・・・:」

「いや、予想外のことが何度かあった。重要人物にしか伝えてなかったから、イッコクが襲われたのは予定外だし、雷三が倒されてまさかあそこまでイッコクが怒るとも思ってなかったしな」

 うっ・・・・・・人が恥ずかしがっているところを突いてきやがる。

 雷三も少し恥ずかしそうだ。

「ムカつくが、過去のことはもう変えれないし、諦めよう。許す。だが、なんでそんな事をしたんだ?」

 これは聞かなくてはならない。僕に言ってもよかったはずだ。

「それはな・・・・・・お前が退屈していたからだ!」

 えっ?

「だから、このレクリエーション全て、イッコクの退屈しのぎだよ。どうだ?少しは退屈しなかっただろ?」

 僕の退屈しのぎ?あれだけの規模のことが?

「・・・・・・偉繰、お前は馬鹿か?」

「馬鹿とは失礼だな。俺様はいつでも完璧だ」

 まさか、僕のためだけとは。ものすごく予想外だ。あぁ、そうか。だから偉繰はレクリエーション前に「今回のレクリエーションを楽しんでもらいたい」などと、僕に言ったのか。

 今の僕は、全ての謎が解けた気分だ。

「で、どうだったんだ?今回は退屈しなかったか?」

「・・・・・・正直、楽しんではいない。だけど、退屈を感じる暇が無かったといえば、無かったな」

「そうか!イッコクが退屈と感じなかったなら俺様は満足だ!ガハハハハ!」

 本当にうれしそうだ。まぁこいつはいつもこうだが。

 しかし、厳重郎が言った事はあながち間違えでは無いのかもしれない。

 僕は恵まれすぎらしい。

 僕は窓際に向かって歩き、金色のカーテンを開け、その奥の窓も開ける。少し、風で頭を冷やそう。

 そうか、あのレクリエーションは全て僕のためか。そう考えると、うれしさと、皆に対する申し訳なさでいっぱいだな。だけど、おかげで少しは退屈せずに済んだのは確かだ。

 不思議と、さっきまで偉繰に怒っていた心が晴れ渡っていく。

 隣に偉繰と雷三が立ってきた。空を見上げる。僕もつられて空を見上げる。

「今日はなんか曇っていて嫌な天気だな~」

「オレはそんなに嫌いじゃないけどな」

「・・・・・・僕にとっても、空の中で一番好きな天気だ」

「そうなのか?」

「あぁ、今はだけどな」

 党夜じゃないが、こいつと一緒に居るとやっぱり面白いな。

 腐れ縁の幼なじみ三人が見上げた空はさっき見た時と替わらず、僕の心とは正反対の、厚い雲に相変わらず覆われていた。


連載終了になってますが、あくまで一話が終了するだけです。今後二話、三話と投稿します。

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