退屈な僕と面倒な国家-1章-
退屈シリーズ一話です。
推敲うまくいってないかも…
◆退屈な毎日から楽を込めて
今、考えている?
今、準備している?
何を無駄な事をしているの?どうせ完璧に行動は起こせないのに。
考えて、準備して、それを完璧に行動できる人はよほどの暇人だね。
時間はいくらあっても足りないのだよ?
「東王学園の全校生徒千二百八十三名並びに、東王学園の敷地は、この腐れた国、日本国から、独立し、新たな国として、生まれ変わることを此処に宣言する!そして我々は自立し、特立するのだ!」
全世界のネットワークを借り、この光景は世界中に飛び回った。それが今から二ヶ月前の四月一日。何だエイプリールフールか、と思うかもしれないが、嘘のような本当の話で此処、東王学園―正式名称イーストワン独立国。通称ストワン―は、日本国から独立した。
ちなみに、このいろいろな文化の言葉を取り入れて、完全に失敗している国名は、その方がカッコいいだろ!何か東で一番っぽいからOK!OK!ガハハハハ――となんともふざけた理由で、この国の王兼東王学園生徒会会長並びに、政経部部長の九桜偉繰〈十七歳〉が決めた。
今僕がいる此処は、その政経部の部室だ。ちなみに僕は政経部の副部長である・・・政経部とはこの国にある一つの部活のことである。この国は元々学校なので国の大事な機関が部活として扱われているのだ。だから政経部とは、国の政治と経済を司るって訳。だから、その部活で副部長をしている僕は意外に偉いのだ。えっへん!
後、政経部はほとんどの国民にマイミルクと呼ばれている。なぜマイミルクかというとメンバーのイニシャルから来ている。
・・・・・・まぁそのあたりはもういいとして、今この部室に僕以外で居るのは、二人。人間かどうかも疑いたくなる美女と、一人のハイテンション美少女だけだ。
人間かどうか疑いたくなる美女というのは、「完全なる地獄」利捨雷三〈十六歳〉という奴だ。彼女はボーイッシュな顔立ちの美人である。彼女の異常は「以心伝心」(デビルアンドヒアトーク)。人の心を読むだけではなく、遠くの人とも会話が出来るという変態だ。後、当たり前だが会話するために相手に思念も送れる。着ている服はなぜか特攻服。背中には〈世界平和〉という刺繍がされている。しかし髪が長すぎるせいで〈和〉しか見えない。
あいつのどこら辺が〈和〉なんだ?まったくもって変態だ。しかし、やはり顔はものすごく良い美人である。
人々は言う、「あいつに触ったら死にたくなるぜ」・・・・・・と。
もう一人の女の子は、雷三と違い幼稚な顔立ち、いわゆるロリ系の顔をしている美少女、平常時がハイテンションでみんなの元気の源である「奇想な美少女」遣奇妹六〈十七歳〉。彼女の異常は、「幽体化」(ゲットファントム)。その名の通り幽体離脱が出来る異常である。そして、彼女の服も雷三同様変わっている。上から見ていくと髪形はポニーテール。いたって普通。むしろポニー萌えの僕にはうれしい限りだ。次に上半身と下半身を同時に見てみよう。えっと・・・・・・クマさんのプリントが愛らしいパジャマ。いや~、かわいいね。うん。ちなみに断っておくが今は昼だ。
人々は言う、「元気に走り回っているところが萌える」・・・・・・と。
此処で皆さんは気になる言葉を見つけたな?見つけてない奴は馬鹿だ。
異常。これは今の時代、何十万人に一人の人間が手にしてしまった、特殊能力。普通の人間は持っていない病気のようなもの、異常な特異体質、ということで異常と呼ばれている。現代科学では解明できないこの病気のようなものは、死ぬまでその能力が消えることは無いといわれている。
この学園に居る全ての人間は、この異常を保持している。異常保有者の戦闘能力は一般人とかけ離れており、またその能力は持たざるものからは畏怖の念を持たれる。だからただの教育機関が、国になることができた訳である。
「あぁ~、超疲れた~」
「あっ、いっく~ん!おつかれぇ!」
ノックもせずにドアを開けて入ってきた、妹六にいっくんと呼ばれた男。そう、この男がストワンの王である「果て無き暴君」、九桜偉繰である。彼は僕の幼馴染。異常は「超越者」で全ての身体能力が大幅に強化される。前に紹介した二人と同じでこいつの服装も変だ。なんていったってマントにTシャツ。何処の演劇部ですか?って感じだ。
人々は言う「こいつにだけは逆らうな。関わるな」・・・・・・と。
それにしても妹六のハイテンションはどうにかならんのかな・・・・・・
玉座に座った偉繰に雷三が喋りかけた。
「おいリー、それで日本との話し合いは終わったのか?」
「まぁ一応。あいつらは異常が怖いから、あまり強く発言をしてこないしな」
やっぱり僕たちは化け物扱いのようだな・・・・・・
「ん、そういえば、党夜の奴はどうした?一緒に行ったんだろ?」
「あぁ、党夜はまだ外交中だ。めんどうくさいからって、逃げてきたのは俺様だけだからな」
「・・・・・・本当にお前は王をやる気あるのか?」
「はぁ、何言ってんだ?おいイッコク、俺様の他に俺様ほど王が似合う奴なんて居ないだろ?」
・・・・・・こいつ目がマジだ・・・・・・・・・
「どっからその自信がくるんだよ?」
「それは俺様が強いからだ!」
言い切りやがった・・・・・・強いだけで王になれるのか。初耳だ。
「なんだ?文句あんのか?別にいいだろ。この俺様が王になったんだから」
「まぁ・・・・・・文句はないけどね」
きっとこの国を偉繰が創ると言い出したときに、止められなかった僕が悪いのだろう。
そんな話をしているとすごい勢いでドアが開いた。
お願いだからノックしてほしい。ノックは文化的なマナーだろ?
「王。また異常国家反対派の者共が暴れております。今把握できている情報によりますと、学生寮のA棟、D棟、L棟の一部が破損。生徒約二十三名が軽傷を負っております。また、現在奴らはA棟で暴れております」
「またか・・・・・・面倒くさい奴らだ。おい妹六、行ってできるだけ説得してこい。何なら殴ってもよし」
「は~い!」
幽体化した妹六が飛んでいった。足が速いからな・・・・・・壁抜けられるし。それにしてもまた暴れてるのか、反対派は。こりない奴らだ。
「よしじゃあ雷三、どんな様子か随時連絡を頼む。そしてイッコク。行くぞ」
「何で僕が行かないといけないんだ。面倒くさいからできれば行きたくないんだが」
「何言ってんだ。お前が行かないと誰かが死んじまうじゃねーか」
まぁそうだが・・・・・・僕にとって自分と自分の大切な人以外の命なんて別にどうでもいいんだけど・・・・・・・・・他に重要視しているのは退屈からどう逃れるかだけだ。
「そのお前が大切に思っている俺様の大切なものだ。つべこべ言わずに働け」
おい、どっからその自信が出てくるんだ?
「イッコクのことは何でも解ってるからな」
・・・・・・こいつの自信は神よりすごいんじゃないか?
「よし、じゃあ行くか。近頃運動不足だったし体動かさないとな」
僕はこいつを止める自信はないぞ。というメッセージを込めて雷三をみてみた。
あ、首振りやがった。しょうがない。後始末は党夜がするだろう・・・
「イッコク、時間をくったな。さっさといくぞ。妹六に任せとくと人命が危ない」
へいへい。こいつが行っても人命の面では余り変わらないがな。
そういって走っていく偉繰に付いて行く。
「それにしても暴れるなら日本でやってくれ、って感じだ。正直僕にとっては邪魔なんだよな~。やっぱ反対派なんて助けなくて良いんじゃないか」
「おいイッコク。俺様はお前みたいな特例を除いて、反対派だろうと何だろうと、どの国民も差別はしない」
「僕は特例・・・・・・幼馴染だからか?」
「おう。まぁそれは置いといて、その国民に対して邪魔とは言うな」
「だけど実際、あいつらは邪魔なんだ」
「あいつらは本来邪魔じゃない」
「どういうことだ?」
「邪魔なものってのはな、普通は邪魔じゃないものを、邪魔になる場所に存在させるから邪魔になるんだよ」
「ふ~ん・・・・・・」
まぁなるほどだな。しかし、もう少し目的地までかかるのに、このままだと会話が終わってしまうな・・・・・・
「どこで暴れてるんだ?」
適当にきり出してみた。
「雷三が言うには妹六のおかげで、A棟で食い止めているらしい。外で戦闘中だ」
「何人だ?」
「十二人だ」
「・・・・・・多いな」
「しょうがないな。こういうことをすれば敵はできるさ。何人かにとっちゃ自分たちの平穏を捕られたようなものだからな」
「異常所有者に平穏なんてあるのかね?」
「それは知らんが、イッコクの場合は平穏がなくても楽しければいいだろ?」
「・・・・・・まぁな」
やばい。会話のキャッチボール終了。グローブが古くて破けちゃったんだね。
「そうだ。これが終わったらイッコクにして欲しいことがあるんだが」
お、新しいグローブで会話再開。
「面倒くさいなら嫌だぞ」
「なーに、ちょっとしたお遣いみたいなもんだ。ただ院長に今から言う事を、今暴れてる奴らに質問をして欲しい、ということを伝えに言って欲しいだけだ」
「面倒くさいな。僕に利益はあるのか?」
「まぁ、後々な。話を聞けば分かるさ」
「よし、聞こう」
「素直だな・・・・・・・・・(ゴニョゴニョゴニョ)・・・・・・・・・な、お前にも利益があるだろ?」
「ん~、解った。やってやろう」
「おっ、イッコク今日は本当に素直だな。サンキュー」
「僕はいつも素直だし良い奴だ」
「ガハハ、確かに。イッコクは良い奴だな」
「当たり前だ」
そうこう話しているうちにA棟に着いた。
「おぉ~やってるやってる。今回は骨がありそうだな」
よく見れば妹六が戦っている。あいつは透けてるから良く見えないな。というか、報告じゃ十二人と聞いたが今はもう五人しかいないじゃないか。早過ぎないか?
「イッコク、治療は頼んだ」
「あんまり傷つけるな。また気絶しちまう」
「そういうことは妹六に言ったほうが良いんじゃないか?」
「あいつは天真爛漫なところがいいんじゃないか」
「はぁ~、はいはい。まぁとにかく行ってくる」
「いってらっしゃい」
「おう」
そう言って偉繰がマントを翻し、跳んでいった。それを見るといつもスー○―マンを思い出す。
さて、僕も治療に専念するか。僕は目を閉じ自分の異常を解き放つ。再び目を開けたときには僕の目は黒から紫色に変わっていた。
そして、目の前にいる人の折れている腕を見る。そうすると折れていた骨が正常へと、戻っていく。
これが僕の異常。
時の経過を戻したり早めたり出来る目、「時駆目」。それが僕の目。今はケガの状態を元の時間に戻してるって訳。何で骨が治るかは、視たものが関わっているものを連鎖して視れるから。だけど治している途中に瞬きすると不完全に治っちゃうんだよな。そこが結構厄介だ。
「時駆目」と言ってもタイムスリップは出来ない。
僕は物質そのものの時は操れるが、時空は操れないし、次元も操れない。よって、ネギ先生達みたいにタイムスリップは出来ないというわけだ。もちろん、昔懐かしいセンベエ博士のタイムストップ装置のように、時間を止めることも出来ないわけだな。微妙に使い勝手が悪い。
それにしても派手に曲がっているな。この異常はすごく精神力と体力を使うから長時間使うと気絶してしまうんだよな~・・・・・・途中で止めようかな?
「おい、イッコク途中で止めるなよ?」
いつの間にか背後に偉繰が立っていた。
もう終わったのか?
「あぁほとんど妹六が倒しちまった」
「いっくんごめんね!獲物取っちゃった!」
「オレ様にじゃなくイッコクに謝れ。痛めつけすぎだ」
「あ、そっか!ごめんねイッコー!」
別にいいよ。その代わり倒れたら妹六が看病してくれ
「うん!いいよ!」
やった。美少女の献身的看病ゲット!
『・・・・・・変態』
あぁ、聴かれてしまった。あいつが此処に耳を傾けているのを忘れていた。しかし、脳に直接話しかけてまで突っ込まないでほしい。
「ん、イッコクどうかしたか?」
あ、あぁ、いやなんでもない
「なら手を動かせ。いや、この場合は目を開けか。とにかく早く治せ。」
へいへい、解りましたよ。といっても、もう後二人なんだが?
「わ~!イッコーはっや~い!」
いや~、妹六にいわれると照れる
『・・・・・・変態』
いや、もうその突っ込み止めてくれ。
とか何とか言いあいながら、最後の一人のところに行こうとした時に急に目眩がしてきた。
あ、やばい
「すまん、偉繰もう・・・・・・だめ・・・・・・っぽ・・・・・・い・・・・・・」
「そうか、ありがとうな。もうゆっくり休んでいいぞ。おい、妹六――」
僕は薄れ行く世界で暖かいものを感じた。やべっ、気持ちいい・・・・・・・・・
―――僕は夢を見た。
妙にリアルな夢だった。
僕と偉繰ともう一人。だれだったかな?妙に懐かしい気分だと思ったら三人ともまだ小学生だ。
三人は誰かと喧嘩している。とは言っても喧嘩しているのは偉繰だけだが・・・・・・
あっ、偉繰が相手に蹴りを入れた。痛そうだ。
夢の中の誰か思い出せないもう一人はずっと泣いている。
そして僕はというと偉繰の喧嘩を見て欠伸をしている始末・・・・・・このころから面倒くさい事が嫌いで、面白いことにしか興味がなかった。だから他人なんか眼中に全く無かった。
偉繰が最後の一人を倒して、泣いているもう一人を慰めているという感動のシーンで、僕の頭は覚醒の一途をたどって行った・・・・・・・・・
・・・・・・・・・あぁ、なんか頭が暖かい。それにプニプニしてる。
プニプニポカポカスベスベ。五感の中の触感に訴えてくるPPS2(プニポカスベ×2)の気持ちよさ。僕は天国に来てしまったのだろうか?
しかし、もしそうだったら困る。僕にはまだ遣り残したことがあるんだ・・・・・・・・・多分。
それに、此処が天国だったらどうやって死んだんだろう?まさか力を使い切ったのか?
というか、こうやって考えることができる時点で死んでないわけで・・・・・・だけど死後の世界を信じてる宗教もあるし・・・・・・・・・
ええい!こうやって考えるのも時間の無駄だ!目を開けてみよう。
ゆっくりと目を開けてみる。
僕が最初に目にしたのは美少女の寝顔だった。
目を開けてよかった。どんな宗教の神様だってこの寝顔には勝てまい。
あぁ、ありがたや~ありがたや~
「・・・・・・ん、あ、あぁ~!『ゴンッ!』イッコー起きたー!」
美少女の目覚め。同時に僕の頭に深刻なダメージが。
「・・・・・・痛い」
「あぁー!ごめん!イッコーひざの上に乗せてたの忘れてた~!」
なに?ひざの上?ということは、僕は妹六が起きて立ち上がるまであの伝説の膝枕をされていたのか!くそっ、僕は何でもっと早く起きなかったんだ!僕の大バカ野郎!
「大丈夫?痛くない?」
僕が心の中で悔やんでいたら、妹六が下から上目遣いで覗き込んでいた。
ぐはっ!隊長もう駄目です。膝枕からの上目遣い攻撃で、第一小隊から第六小隊まで壊滅しました。我々に勝ち目はありません!
耐えろ耐えるんだ!耐えれば何か勝機が見つかるはずだ!
と、僕の脳内で隊長と三等兵が激戦を繰り広げていると、ドアが開いた。
「おぉ、起きたか」
偉繰と、雷三が部屋に入ってきた。それと同時に僕の頭の中に声が飛んできた。
『・・・・・・変態』
またですか。声に出して言えばいいのに。
「・・・・・・クーはへ・・・・・・」
「うわ~~っ!」
何本当に言おうとしてるの!
「?どうしたイッコク?雷三に抱きついたりして」
「ラブラブだ~!」
違う。なんでもないから、お騒がせして申し訳ありません。
『だから心の中で言ってあげてるんだろ?』
はい。スイマセンでした。って抱きついたままだったことも謝ります。
『ふ、ふん!ま、まぁ謝るなら良いけどな』
なんで顔を赤くしてるんだ?そんなに僕は暑かっただろうか?あ、それはそうと、あいつらは治ったのか?
「あぁそれはね、あなたの処置が良かったから助かったわよ」
そうか・・・よかったな・・・・・・っておい!お前何時から居たんだ!
「あら、膝枕されてる時からいたわよ。あなたが気づかなかっただけでしょう。後言っておくけど、私はお前ではなく、党夜というれっきとした名前があるのだけれど」
知ってるよ。
この長身でド派手な赤ローブ姿。しかし、三つ編み、メガネっ娘という、萌要素二つを含んでいるこの奇抜な女性は、政経部員であり、この国の外交長官でもある「冷静な暴走」(クールヒート)皆四党夜〈十九歳〉だ。ルックス良し。頭良し。表向きだけは人格良しの三拍子がそろっている。だけど色々な面で達観しすぎていて僕にはちょっと苦手なタイプだ。実際に僕たちとかで異常の観察、研究をしているし・・・・・・党夜の異常は「時空透視」(ラストフィーリング)簡単に言ってしまえば未来が解るらしい。見るのではなく解る。自分の未来を他人に解られてしまうのは、僕が党夜を苦手になってもしょうがない理由の一つだと思う。予言成功率はほぼ百%。なぜほぼなのかと言うと、未来は変わるから、らしい。党夜曰く、人はそれなりに未来を変える力があるらしい。だから人が頑張る姿は面白いそうだ。冷静で軽くつり上がった目は、何か底深さを感じるらしく、女性にもてる。僕の印象は何かを隠してる感じだけどな・・・・・・
人々は言う(主に女が)「カッコいい惚れるー!」・・・・・・と。
「それにしてもさすがね。あなたの能力は世界を救えるわよ」
救う前に僕が先に死ぬけどね。
「あぁ、ごめんなさい。別に皮肉を言うつもりじゃなかったのよ。ただ、本心を少し吐露しただけよ」
ああ、解ってるよ。
まったく、次になにを喋るか分かっているくせにいつも僕をからかう。
「私は結構あなたの事を気に入っているのよ。その何事にも面倒くさいと言っておきながら、人を救うために働くというお人好しさが特に・・・・・・ね」
大きなお世話だ。
「フフフ、怒ったのなら謝るわよ」
怒ってないけど。お前の言葉が的を射ているから自分にムカついてるだけだよ。
「でも、本当にあなたのことは好きなのよ。私と同じで、人生を退屈と思っているところとかね」
未来が解るなら確かに退屈だろうな。
「だから観測対象一位の偉繰君には頑張ってもらわないと」
そう言って目を細めて笑う。
党夜が政経部に居る理由は偉繰だ。なぜなら偉繰の未来は一つも解らないらしい。そのことが党夜にとっては大事なのだ。
「まぁ観測対象二位のあなたが、頑張ってくれても面白いけどね」
僕は他の人と比べて、未来が変わることが格段に多いらしい。本人には全然実感が無いのだけれど・・・・・・
「それでは、次の仕事があるから私はこれで。・・・・・・それと王様。もうちょっとちゃんと働いてもらわないと困りますわ。此処はあなたの国なんですよ」
「あぁ、すまんすまん。どうもめんどくさいから、寝てしまうよりましかと・・・・・・な」
「まったく。今度はちゃんとしてくださいよ」
「おお。まかせとけ」
そういって党夜は部屋を出て行った。
どうも、僕は党夜を見とくと見透かされているみたいで気持ち悪い。まぁ、実際見透かされているのだけれど・・・・・・・・・
僕が党夜の出て行った扉を見つめていたら、また開いた。
「あぁ、我グァ同胞たちよ。元気にしていただろうか?」
そうやって大げさに翼を広げ、ちょっと可笑しい日本語で入ってきたのは一羽のアヒル・・・・・・ってなんでアヒルが?と、普通は思うかもしれないがまぁ、あいつは別格ということだな。
「おう、イー。久しぶりだな」
「あ、ダーくんひっさしっぶり~!」
ほらな。雷三も妹六も普通に挨拶してるだろ?
「それにしても、そのドアは引き戸なんだが?」
「な~に、我ほどのレヴェルになると、こんなことも簡単なのだ」
「へ~そうなんだ・・・・・・いつものように変身はしないのか?」
「めんどうくさいではないか。というか何に変身すれば良いのだ?」
「マジックハンドで良いじゃねーか」
「あぁその手グァあったか。きづかなんだ」
この変なアヒルも実は政経部である。こいつが最後の政経部員、「飛躍した家鴨」(レヴォリューションドナルド)ダックス〈3歳〉。まぁこのダックスという名は略称で、本当の名前は、ムカエリー・ダックスフント・ヤルカリノットルミ五世というなんとも長ったらしい名前である。ちなみに生まれはフランスらしい。特徴といえばアヒルだからなのか、「が」が「グァ」になってしまう・・・なんとも悲しい性である。異常は「機薬師」(ガジットディスペンサー)。錬金術みたいなことができる。なんか、科学じゃ出来ないような機械や、薬を創れるらしい。さっき言った変身というのも、この能力で発明した〔機械化薬〕というものを飲むことで機械なれるからだ。ちなみに細胞などは再現できないらしく、生物にはなれないらしい。服装と髪型は・・・・・・・・・羽毛?
人々はいう、「羽毛ベッドが欲しいよな」・・・・・・と。
「それで今まで何処に行っていたんだ?」
「ふむ。ちょっと作詞をしていたのだ。今度は良い曲グァできたぞ。まさに最高傑作である」
あ、言い忘れていたが趣味は歌。
「今度機会グァあったら歌おうではないか。感動で咽び泣くぞ」
まぁ下手じゃないから良いんだが。しかし、アヒルの癖にうまいのもどうかと思うけどな・・・・・・亀なのに足が速いみたいだ・・・・・・ん~、なんか良い過ぎたような気がする。アヒルの皆さんごめんなさい。
「ところで主よ。我に仕事が出来たと聞いてやってきたんだが?」
玉座ならぬ部長席(ちなみにただのパイプ椅子だ)で寝ようとしていた偉繰が、こちらに顔を上げた。
「おお、ダックス来てたのか。そうそう、お前に国旗を作ってほしいんだよ。俺様の大好きなたこ焼きの絵が入った旗をとりあえず三十枚ほど」
・・・・・・・・・・・・は?たこ焼き?ちょっと待て。たこ焼きが国旗?国旗がたこ焼き?
「おい偉繰、お前この国のシンボルをたこ焼きにするつもりか?」
「おう!俺様が好きなものと言ったらたこ焼きだ」
「国旗というものは別に好きなものを書くわけじゃないぞ?」
「ちょっと待て、リー、それはちゃんと焼きタコだろうな?」
「あと青海苔も!」
「もちろん。揚げタコじゃなくて焼きタコだし、青海苔もかかってる。しかも王道の八個入りだ」
「よし!」
「いっくん分かってる~!」
いや、そんなことは関係ないだろ。まずたこ焼きということがおかしいと気づけ。普通は星とか、太陽とか、動物みたいな自然だろ?
「わかった。主よ。八個入りで青海苔がかかった焼きタコだな?それと我の望みとして皿はあの木目の舟皿が良いのだがそれでよろしいか?」
「もちろんだ!」
「・・・・・・おい、何でたこ焼きなんだ?普通の国旗で良いだろ」
「それはさっきも言った通り、俺様が好きだからだ。あと最大の理由は、おいしいからだ!それにこれは大前提だが、俺様は普通が大っ嫌いだろ?だからたこ焼きだ」
「いや、もう分けわかんねーよ」
「何でだ!これほど完全で十全で十分な説明は無いだろう!」
・・・・・・・・・はぁもういいよ。分かったよ。たこ焼きかよ。まぁそれもまた少しは面白いか・・・・・・
「おい偉繰、マヨネーズはかけるなよ」
「お、イッコクはソースのみ派か~。まぁいいや。分かった」
「なるほどマヨネーズは無しなのだな。だグァしかし、我としてはマヨネーズグァあったほうグァ色合いとかをかんグァえた場合良いと思うのだグァ・・・・・・いやいや、だグァやはり・・・・・・・・・・・・」
なんか向こうのほうでアヒルが考え事をしているが、とりあえず無視をしとこう。
すごい勢いで盛り上がって、今の今まで妹六と一緒に踊っていた偉繰が、独り言をしながら頭を抱えているダックスのほうにやってきた。
「とにかく、ダックス。お前は今日中にその旗を作れ。もちろん全て黄金比だからな。黄金比は判るな?縦と横の長さが、一対一.六一八零三三九八八七ぐらいの比率になれば良いんだ。あ、それと一枚だけは大きく作ってくれ」
「了解する。しかし主よ。我のことを舐めてもらっては困る。今日中など、そんな時間を貰わなくても今此処で創ろうではないか。それにこういうものは皆で話し合ったほうグァ、デザイングァ決めやすい」
そう言ったダックスは自分の羽をむしりとって両翼で包み込んだ。その瞬間、むしりとった羽が一瞬光ったと思ったら、一枚の旗となっていた。
「どうであろう。このようなデザインで良いと思うのだグァ・・・・・・焼きタコで八個入り。木目の皿に乗ってマヨネーズなし。青海苔を載せ鰹節もサービス。条件は全て取り入れてみたグァ?それとやはり色合いを考え、旗自体は白にしてみた」
できたたこ焼きの絵はなんとも・・・・・・まぁ・・・・・・・・・リアルだった。
見ているだけでたこ焼きを食べたくなるような最高の色合い。
口の中に入れて咀嚼したらカリッ、フワァ・・・トロォ~とした触感が予想される焦げ目。
その焦げ目に垂れる良いとろみ具合のソース。
ハフハフッと言いながらも食べたくなるような蒸気。
まさに完璧。たこ焼きの中のたこ焼き。これぞたこ焼き。イッツアタコヤキ。タコヤキズエンペラー。
「ダックス、お前は歌といい、絵といい、本当に芸術の才能があるな」
偉繰が感心するのも分かる。僕もまったくもって同感だ。久しぶりに素直に偉繰の意見に賛同している。
「主にほめられるとは、感激であるな」
「ダーくんすっご~い!」
「イー、やるな」
皆、多種多様でダックスを褒めちぎる。それにしても、いいな~・・・僕も妹六に褒められたいな~。
『クーに褒めるところなど無い』
うっ、ちょっと、というかめちゃくちゃショックだ。言い返せないけど。
「では皆これでいいのだな?よしこれを三十枚創ろう」
そう言ったダックスは自分の羽を二、三むしりとっていく。
何時見てもあれは痛いと思う。というかあいつはあんなことして禿げないのだろうか?もしかして、リー○21に行っているのかもしれない。もう~悩み無用~。アヒル~の羽きっと生えてくる~・・・・・・・・・
そういう馬鹿なことを考えているうちにダックスは旗を作ってしまった。
仕事が早いな~・・・・・・
『クーとは大違いだな』
僕はマイペースに生きていくと決めたんだ。僕にとってあれが最高速度だ。
『へぇ~・・・・・・政経部の仕事の主な資料を、見本を見ながらたった六部を作るのに、丸一週間かかるのがクーの最高速度か』
・・・・・・・・・すいません。もう少し頑張ります。
『資料製作はクーの仕事なんだからちゃんとしろよ。じゃねーと、間に合わなくなるだろう?でもまぁ、正直クーだったら、別に迷惑かけられても・・・・・・・・・』
迷惑?その後が良く聞こえなかったんだけど、何?
『う、うっせー!とにかく仕事は急げって言ってんだよ』
は~い。でも人には得意不得意があるんだよな~・・・・・・
政経部というだけあって前にも言ったとおり国の政治経済を司っているが、他にもいろいろな仕事をしている。
例えば僕だが、主に資料製作、病院の統治などをしている。といってもあまり仕事は無い。資料は多ければ国民全員分だし、少なければ一人分しか作らなくていい資料もある。だが作る以前に資料が必用な時がまず無い。なぜなら大体偉繰が集会(演説のようなもの。学校の朝の朝礼みたいなものを想像して欲しい)を開くからだ。それに、病院の統治などあって無いようなものだ。なぜなら国に一棟しかないから。しかもそこにはちゃんと院長のような人がいる。僕の仕事は何か問題が起こったときの仲裁のようなものだけだからな。そうそう問題も起きないし。まぁ、実際は偉繰が僕を特別に少なくしてくれたのだが・・・・・・・・・役職的には「医療大臣」だな。
妹六にいたってはもっと簡単だ。国、または国民に何か起こったときの安全な所までの誘導。また、国民同士で暴れたときの仲裁。とはいっても、殴って黙らせるだけだが。役職的には「危機管理対策大臣」だと思う。みんなが逃げ惑う中必死に叫び続ける美少女・・・・・・・・・いいなぁ。
雷三は当たり前のごとく情報員。情報を手に入れ伝える。あとはまぁ、偉繰専用の個人用マイクみたいなもんかな。雷三は脳に直接話しかけることができるからな。思念波を飛ばすって感じで。だから、どんな所に居ても、その特定の人物に伝えることができる。雷三の仕事はまさに天職ってもんだよな~・・・・・・・・・他にも内政についてはほとんど雷三が偉繰や僕らの意見をまとめてくれている。役職的には「情報兼内政大臣」ってところだろ。一応、国民のお悩み相談みたいな事もやっている。
次にダックスだが、こいつの仕事はまぁ、創ることだな。他に仕事といってもアヒルだし・・・・・・猫だったら手を借りたいところだけどな・・・・・・役職的にはまぁ仮だけど「製造製薬大臣」ってところか。
そして党夜だが、実を言うとあいつが一番重要な仕事をしている。党夜は肩書き紹介の時も言ったが外交長官のポストにいる。まぁ解るとは思うが国には無くてはならない存在だ。なんていってもそこら辺のうまさは誰もが認めている。とにかく、話術に長けているのだ。それに、人を見る目も良い。まぁ未来も解るわけだしな。他にも内政以外はほとんど党夜がやっている。過労でぶっ倒れないのだろうか・・・・・・・・・役職的にはまぁ仕事どおり「外交大臣」だな。
最後に偉繰だが・・・・・・「仕事など王がするか」という本人の希望で仕事という仕事は無い。ただ、国の象徴として、代表としてやれるだけのことはさせている。あ、法律をそういえば作っていた。仕事といえば仕事だろう・・・・・・気まぐれに作るだけだけどな・・・・・・役職的には「王帝」響きが格好良いからだそうだ。
まぁ、こんなところか。だから、政経部は国の政治をほとんど司っているといっても過言ではないはずだ。国自体が学校だから大人はほぼ教師しかいないので、教育については全て大人に任せているし、この国では寮長が知事みたいなもんだから、ちゃんとした知事なんかもいないしな。警察なんかもさっきみたいに直接僕たちが辞めさせに行くからいらないし・・・・・・
ちなみに日頃は資料制作を仕事としている僕なのだが、パソコンを使うのが苦手だ。それに文章なんて字を見ただけで嫌になるから資料製作なんて仕事は向いてないんだよな。病院の管理だけで十分だよ。
僕は昔から文字と機械が苦手だった。その二つを兼ね備えているパソコンは、僕にとっては天敵なのだ。なのに仕事が資料製作。不適財で不適所もいき過ぎは体に毒だと思う。
今その働き者がいっぱい居る政経部の状況はなんとも穏やかだ。偉繰は寝てるし、雷三はパソコンを使って何か調べているみたいだ。妹六はダックス専用池、通称「ダックスフントの池」に餌の「アまくてヒっつくルさんちまん」を置いている。ダックスは出来立てほやほやの旗を、器用にも翼で折りたたんでいる。
僕はどうしようかな・・・・・・・・・あっ、頼まれごとを終わらせに病院に行くか。
よし、決めたならすぐ行こう。またなんか雑用頼まれたら面倒くさいからな。
妹六も誘おうかな。どうしよう・・・・・・少し恥ずかしい。でも勇気をだせ。頑張れ僕!
「・・・・・・ま、妹六、今から独逸院長のところに行くけど、一緒に来ないか?」
「あ、行く行く!」
やった~、妹六が付いてくる~。どんなことよりもやる気が出るよ~。
『・・・・・・変態』
なんと言われようと頑張った僕に拍手。パチパチパチ。いやぁ~ありがとう、僕の脳内よ。
「よいこらせっと」
ちょっと爺臭い言葉を発しながらドアを押して妹六と出て行く。
妹六が隣に居る・・・・・・いやぁ~なんて幸せだろう。
しかし、なぜ僕はこうやって、雑用までやらされているのだろう・・・・・・廊下を歩きながら、ふと疑問に思う。僕は何かと使われやすいのかな。そういえば幼稚園の頃からパシらされている気がする。ん~でもそれはないか。あの頃から僕の周りには偉繰とあの子しか居なかったはずだ。けど、偉繰の頼みはいつも聞いてたような・・・・・・いやまぁそれはあいつとの関係上当然といったら当然だったんだが。
こう言う事は自分じゃ解らないから、人に聞くのが一番だ。ということで、
「妹六、なんで僕は雑用をやらされるのかな?」
「いきなりどうしたの?」
「いや、なんとなく。ふと疑問に思ってね」
「う~ん・・・・・・やっぱり、イッコーだからかな!」
「えっ?そんな理由?」
「だってイッコー怒らないもん!」
確かにあまり、怒の感情を表に出さないからな・・・・・・ということは、もうちょっと怒っていったほうが良いのかもしれない。けど、怒るのって面倒くさいからな。でも雑用も面倒くさいよな~・・・・・・
「でも、そんなイッコーが妹六は好きだけどね!」
・・・・・・・・・っ!えぇぇ!ど、どういう意味?
「えへへ!何でもないよ!」
今のは告白だろうか?けど、妹六だったら普通に好きって言いそうだし・・・・・・ん~解らん!けど、妹六の顔はほんのり赤いぞ。
まぁ、こんな問題なんて、考えるだけ無駄か・・・・・・というか、ここで何て言ったら良いか解らん。だって、僕こんな経験始めてだもん。
それから、僕たちは長い沈黙の中、黙々と目的地に向かった。
ストワンの病院棟は、政経部がある国会議事堂棟とお隣さんだからすぐに着く。ちなみに、国に必要な機関はだいたい寮を一棟、丸ごと使ってその仕事をしている。国会議事堂棟を初め、病院棟、商店棟、工場棟などさまざまな棟がある。他の余っている寮は居住区として使われている。その数二十六棟。ちょうどアルファベットの数なので当てはめて呼んでいる。しかし、実際使われているのは十三棟だがな。
そうこうしているうちに病院棟の院長室に着いた。妹六は少し後ろから付いて来ている。僕は自慢じゃないが歩くのだけは早い。
コンコン。
「入って良いぞ~」
ノックをして入る。あぁ僕はなんて常識人なのだろう。
「おぉ、イッコクじゃん。しかも妹六付きかよ。二人とも相変わらず変な格好しているな~。で、まぁ何か用か?」
この、白衣を着ているいかにも頼りなさそうな医者に見える優男は「ギャグ院長」久保田独逸という、二十二歳(独身)のストワン国立総合病院の院長だ。だらしないがれっきとした医者である。ちなみに出身はアメリカらしい。見た目からして金髪碧眼だしな。しかし、ドイツなのにアメリカだ。久保田独逸という日本名は日本人の母親がつけたらしい。なんともユーモアがあるお母さんだ。
それにしても・・・・・・
「独逸先生。僕は変な格好なんかしてないですよ。目が可笑しくなったんじゃないんですか?」
「そうですよ!パジャマはみんな着るものです!」
いや、妹六の場合そういう問題でもないような・・・・・・
「体全体が白衣の形をした黒服で覆われているお前を見て、誰が変じゃないと言える?」
「僕は黒が大好きなんです。それに、偉繰の方が確実に変だ」
「マイミルクの変態達は別格だ」
「僕たちもその政経部なんですけど」
「あぁ・・・・・・・・・しょうがないか」
「なんか含みがある言い方ですね」
まぁ、確かに政経部の他の奴らはおかしいと思うが、僕と妹六は決しておかしくない。黒色で全身を覆ったって別に良いじゃないか。パジャマを着てても良いじゃないか。マントや特攻服よりマシだ。
「ところで、何か用があったんじゃないのか?雷三に怒られる理由を教えてください、と言われても俺には無理だからな」
「あ~、もうその事はいいっす。諦めてますから」
妹六の前で言うなよ。聞いてないみたいだから良いものを。
「へ~、じゃあ何だ?」
ちょっと含み笑いをしながら聞いてくるからむかつく。確信犯め。ちょっと嘘をついてやる。
「別に、ただの暇つぶしですよ」
「はっ、隠すなよ。お前が何も用事が無くて此処に来るわけないんだ。第一、俺の異常を忘れたか?いくらお前でも企みがあるか無いかぐらい解る」
くそ、やはりソッコーでばれたか。
「お察しの通り頼みごとをしにちょっと。先生の異常で仕事して欲しいんですよ」
「俺の異常を?」
「はい。・・・・・・妹六ちょっと席外してもらって良いか?」
「は~い!」
うん。元気があってよろしい。さぁ妹六が出て行ったところで本題に戻ろうか。
「単刀直入に言うと、今日反対派の何人か此処に運び込まれてきたでしょ?そいつらの感情を先生に診てもらいたいんです」
先生の異常は「精神鑑定」。簡単に言うと人の精神を診る。しかし、それじゃほとんど雷三の話せないバージョンじゃん、という人もいるだろう。だが、この二人の大きな違いがある。まず、雷三は聴くが、先生は診る。そして雷三ほど完璧には解らないし、なんでも感情の色が診えるらしい。それに、心の声と精神はまったくと言って良いほど違う。だから二人の異常は全然違うのだ。
「確かに運び込まれてきたが、何故そんなことを?」
「ちょっと今から言う質問をして、反応したら教えて下さい。理由は王のため」
「・・・・・・ふ~ん、まぁいいか。王のためならやってやろう。で、どんな質問をすれば良いんだ?」
「それはですね・・・・・・・・・(ゴニョゴニョゴニョ)」
「分かった。後で雷三にでも頼んで聴きに来い」
「ありがとうございます。じゃ、またいつか来るんで」
「へいへい。それと、言っとくがこれは貸しだからな」
「事が終わったら治療手伝いに来ますよ」
「お、それでいいや。ちゃんと来いよ」
僕は返事をせずに廊下に出た。はぁ、なんで僕がこんな面倒くさいことしなくちゃなんないかなぁ~・・・・・・こんな約束を僕がするのはチョコ○ールで金の天使が出るより珍しいよ。だけど、後々に僕にも働なくてもいいという恩恵がくるはずだ。なぜならこれがうまくいったら怪我を治す負担がグッと減るからな。
妹六と政経部の部室に行く間、もうそろそろ夏だな~と考えた。なかなか暑くなってきた。僕、夏は嫌いなんだよな~。電化製品嫌いだし。クーラーが点いてる部屋にずっと居ると、冷え性だから足が冷えるんだよ。夏は嫌だな~。春がいいな~。は~るよ来い。まぶたの裏には春が待ってるぜ。
「妹六、季節で一番何が好き?」
「秋!」
「なんで?」
「食べ物がおいしいから!」
答えに迷いが無いな。でもそこら辺もまた可愛い。I LOVE 妹六!
「ねえ、イッコーは何が一番好きなの?」
「僕は春だな」
「なんでなんで?」
「やっぱ、大好きな日向ぼっこが気持ちいから」
「日向ぼっこは確かに気持ちいいよね!」
妹六が賛同してくれた。感無量だよ・・・・・・
よし、ここは今一度、男を見せるときじゃないか?僕よ。がんばって妹六を誘うんだ。一言「なら、一緒に今度日向ぼっこしようよ」ってサラッとクールに言えば良いんだ。よし、まずは落ち着くために深呼吸をしよう。ヒー、ヒー、フー、ヒー、ヒー、フー・・・・・・
「イッコーなんでラマーズ法で呼吸してるの?」
あぁ~!やってしまった・・・・・・・・・僕は本当に馬鹿だ。深呼吸はスゥ~~、ハ~~・・・・・・だろ!くそっ、なんて情けないんだ。絶対妹六に変な奴って思われたよ・・・・・・だってもしも僕が隣に居る奴が突然ラマーズ法で呼吸し始めたら、変態にしか感じないよ。「何この人、男なのに妊婦の真似?気持ち悪い~」ってな感じに絶対思われちゃってるよ。あぁ、もう終わった。誰かいっそ僕を馬鹿だと罵ってくれ。帰ったら雷三に頼もうかな・・・・・・あ、でもそんなことしたらただのドMみたいになっちゃうな。危ないところだった。でも雷三にだったら別にいいかも・・・・・・はっ、いかんいかん。そんな事考えていたら雷三にド変態と言われてしまう。しかし、どうしよう・・・・・・・・・八方塞がり、五里霧中、藪から棒・・・・・・あれ?最後のは違うような。
そんな馬鹿なことを考えているうちにもう政経部室前に着いた。
ふっ、やっぱり僕は歩くのが早いな。何の自慢にもならんが・・・・・・そうしてドアを引き開けた僕の目に、まず飛び込んできたのは一羽の空飛ぶアヒルだった。
あれ?アヒルって空を飛べたっけ?確かアヒルは人間に飼われるために改良したもので、飛べないはずだよな~。
「おお、同胞よ。帰ってきたか」
その飛んでるアヒルに話しかけられている・・・・・・はっ、いかんいかん。ちょっと働きすぎたかもしれない。やっぱり面倒くさがりの僕がこんなに働いちゃいけなかったんだ。それともさっきのショックからかな。でもとにかく幻覚、幻覚。一度目を瞑って開ければ世界はすぐに元通り。
「何をドアの前で考えている?早く入ってくればよかろう」
うわぁ、まだ飛んでいるよ・・・・・・・・・よし、ここは勇気を出して幻覚に話しかけてみよう。
おい、アヒルが飛ぶな。
「飛んでも別によかろう。鳥なのだから不思議じゃあるまい」
だが、お前はアヒルだろ。
「そう、アヒルは飛ばない。よくぞ気づいた。しかし、我の異常さえあればアヒルも飛ぶことグァできるようになる。この新たに開発した〔飛翔薬〕でな。これでアヒルも馬鹿にされなくてすむ!アヒルだって鳥なのだ。飛んで何グァ悪い!アヒルの糞グァ臭いのは生理現象なのだからしょうグァないのだ!」
「頑張れダーくん!」
糞が臭くて馬鹿にされるのに、飛ぶ飛ばないは関係ないと思うが・・・・・・まぁ熱くなっているところを邪魔するのは止めておこう。僕は本当に優しいな。それにしても妹六に応援されるとは、アヒルの癖に生意気な。
「お、イッコク帰ってきやがったか。どうだ?院長からOKは貰ったか?」
「なんだ偉繰、起きてたのか。というか何で僕が独逸院長に会いに行ったのを知ってるんだ?」
「雷三に聞いたんだよ」
『ヒーヒーフー・・・・・・ド変態』
ぐぅ!精神ダメージがライフポイントのマックスを超えてしまった。結構立ち直るのに時間がかかりそうだ・・・・・・・・・でもお母さん、僕、負けずに頑張るよ。
「で、どうだった?」
「OKは貰ったよ。雷三はわかってると思うが、後で院長に結果を聞いてくれないか?」
「わかった」
「さすがイッコク。OKを貰ったならいずれ答えは出るだろうよ。その時はお前ら全員俺様のために働けよ」
「またレクリエーションをするのか?この前、異種格闘技戦で変な奴らと戦ったばっかりじゃないか。」
「あれのお蔭で日本国のスパイを倒せただろ。それに今回はもっと平和的な奴だ」
「お前の平和的は全然平和じゃないんだよ。それに今度の相手は前と比べて人数多いぞ」
「任せとけ。俺様を誰だと思ってる?東王学園の生徒会長にして、イーストワン王国の王。それに何より、この政経部の部長だぞ?生徒会長を、王を、部長を、そして何より俺様を信じろ。そうしたら何事もうまくいく!」
はぁ、本当に何処から来るのかね、その自信は。まぁいいさ。どうせ断っても付き合わされるんだし。
「偉繰は本当に昔から他人の意見を聞かない・・・・・・というか、そこだけじゃなくて何一つ変わってないな」
「イッコクは変わったな。昔より明るくなった」
「・・・・・・そうか?」
明るくなった・・・・・・か。確かに変わったが明るかったのは昔からだ。断じて引きこもりのような性格ではなかった。それはもう六等星並みに明るかったと思う。・・・・・・まぁそういうことだ。
でも変わったと実感できるのは人と接するのが上手くなったことと、面倒くさいことを少しはやるようになった。
過去を思い出すと近頃はいつもあの子を思い出す。夢に出てきたあの子。よく泣く子だったような気がする。名前は忘れたけど仲がよかったのは覚えている。なんてったってそのころの僕は、その子と偉繰しか友達が居なかったっぽいからな。今頃どうしてんだろうな~・・・・・・
「おい、なんか思考しているところ悪いが、ツー院長から答えが来たぜ」
「あの人は本当に仕事が早いな。本当か?で、院長はなんて言ってた?」
「全部動揺の色があっただと」
「そうか。よし、これでネタは揃った。一週間後、第四回国民全体レクリエーションをするぞ。雷三、国民全員に報告だと枚狗に言っとけ。後、イーストワンレクリエーションサークルの奴らに、今回の計画を話し合うから明日来いと伝えとけ」
「わかった」
イーストワンレクリエーションサークル。通称、イレーサーという何とも恐い通称を持ってる彼らは、言ってみればレクリエーションの司会進行をするサークルだ。数ある部活の中でも限りなく王に近い。なぜならレクリエーションをやると言い出すのは王だけだからだ。
まぁ、他にも国民同士のいざこざなんかもゲーム感覚で司会進行をしているらしいが・・・・・・
しかし、なんでいつもレクリエーションとしてやるんだ?そういう奴らは裏で仕留めれば良いだろ?
「馬鹿かイッコク!そんなの聞くまでも無いだろ!」
いや普通の人間は解らんと思うが?
「レクリエーションをわざわざする理由。それは・・・・・・・・・面白いからだ!」
わぁ。満面の笑みだよこの人。なんか余りに眩しすぎて憧れの気持ちが僕の中に生まれそうだよ。
偉繰の満面の笑みに、ある種の感動を覚えている僕には、スピーカーのマイクが入る音が聞こえなかったらしい。
突然、スピーカーから声が聞こえた。
『チャッピー!みんな元気にしてるかな?ん?・・・・・・・・・・・・そうかぁ~みんな元気なんだね~。ぼくちんはこの前失恋して鬱だよ・・・・・・・・・でもでも!そんなぼくちんも元気になるようなビッグニュースが今舞い込んできたよ!みんなも知っての通りの王様が、独断で一週間後の六月十日にレクリエーションをするって決めたらしいよ。うわ~い、やったね!』
すごい勢いで聞こえてきたのはこの国の唯一のラジオ、「カラ元気でお送りする元気だよラジオ」という何とも意味のわからない名前の、放送部が毎日六時に行っている定期放送だ。ちなみに略し方は「ゲンゲンラジオ」。そしてお送りしているのは放送部長、「暴れるマイク」(ストームハリケーン)遣奇枚狗〈十八歳〉。なんと妹六の兄貴。兄妹共にキャラが凄い。
「お、もう六時か。よし、飯作るか」
そう言った雷三は特攻服の上にエプロンという、世界もびっくり仰天の奇抜な格好で台所に立った。ここで天地が引っくり返るようなニュースをお伝えします。僕たちの胃袋の平穏を保っている神よりも偉いその人はなんと・・・・・・雷三です!
しかもなぜか旨い。あんな風貌でどこからそんな上品な味を出すのか、と言いたくなるほどおいしい料理を作る。人は見かけによらない事を晩御飯を食べるたびに痛感しているわけだ。
やはり神に祈りを捧げるより、雷三に祈りを捧げたほうが現実的ってもんだ。
『ん~、どこからともなくおいしい匂いが漂ってくるね~。やっぱりぼくちんの放送はみんなの役に立ってるね!』
さぁそれはどうだろう。僕はいつもこの放送を聞くとげんなりするんだけど。
『あら~?政経部から不機嫌な絵が送られてくるよ~。イッコク君、そんな機嫌が悪いオーラを漂わせてたら妹六は君にやらないよ~』
っ!何を言ってるんだあの人は!僕を男子生徒から撲殺されるようなことを言わないで欲しい。まだ死にたくないぞ。
『・・・・・・変態!』
あの、僕じゃないんですけど・・・・・・というかなぜ少し怒ってるの?
あの人の異常は「絵画鑑賞」(フォトピクチャー)という、まぁ目がいっぱいあるみたいなものだ。虫の複眼と思ってもらってもかまわない。ちなみに千里眼も兼ねている。大体妹六はいつも見ているらしい。シスコンなのだろう。
『ハハハー・・・・・・うん?あ、はい。はい。すいません・・・・・・・・・はい。もう言いません・・・・・・はい。冗談でも決して口にはしません・・・・・・・・・はい、はい。そりゃもう、命にかけて・・・・・・いや~ぼくちん怒られちゃったよ。ぼくちんも殺されたくないからここら辺でお口にチャック~ってことで』
なぜか雷三が頷いている。
「もう、お兄ちゃん何言ってんだろう!恥ずかしいじゃん!」
あれ、妹六あんまり嫌がってない?僕にもチャンスありなのか!
「妹六もさすがにまだ死にたくないから口に出しては言えないよ~。それにらイッ・・・・・・!」
雷三と妹六、二人の美女と美少女が抱き合う―雷三の手は口にあるが―というオブジェのようなものが完成した。まさに人類の至宝。一瞬時が止まったような錯覚に陥ってしまうぐらいだ。すごいね美少女!すごいぜ美女!多分あのパブロ・ピカソでさえ「ゲルニカ」を描いている途中に、二人の写実画を描いてしまうぐらいのインパクトがあるだろう。
「ムー・・・・・・・・・それ以上言うと、分かってるな?」
「ご、ごめん!」
なにか物騒な小声がその芸術的な造型を誇っている美女と美少女から聞こえるが、そこら辺は無視しよう。触らぬ神に崇りなしとはよく言ったものだ。
それにしても、枚狗先輩が放送をすると色々なことがある。僕は本当に面倒くさいことが嫌いだから何もしないし、気づいてないフリをしているが以外に周りに敏感なのでちょっとの変化も解ってしまう。だから、空気がおかしくしてしまう枚狗先輩の放送は苦手なのだ。
本当、関係の無い僕を巻き込まないで欲しい。
「おい、出来たぞ」
雷三の料理が終わったらしい。ん~、何とも良い匂いが漂っている。今夜もおいしい料理にありつけそうだ。
党夜は待たなくても良いのか?
「あいつは外で食べてくるから良いってよ」
そうか・・・・・・横で偉繰は、すでにがっついていた、僕も一口。
「どうだ?美味いか?」
あぁ、美味すぎて夕日に向かってこの思いを叫びたいぐらいだ。
「そうだろ?さぁどんどん食べろ」
雷三はご機嫌になったらしい。いつも雷三は僕に感想を聞いてくる。そんなにグルメに見えるだろうか?とにかく、僕は偉繰のように、目の前に広がる神々しいまでの輝きを放っている食事にがっついた。ちなみにダックスは池にある自分の餌を食べていた。なんとなく可哀想だ。
う~ん、しかし美味い。こうして僕たちの胃袋は今日も雷三マンのおかげで平穏に保たれた。ありがとう、雷三マン。
食事が終わった僕たちは枚狗先輩のラジオを全員で聞いていた。今日は連載コーナー「私の異常の使い方」という、自分の異常で編み出した特技を紹介するリスナー参加型のコーナーだ。しかし、その特技をどうやって見るのか?と、思う人も居るだろう。そこら辺については、放送部の人材のレベルの高さがモノをいう。
放送部の中等部一年「芸なる術」(ルーブキューブ)角田身流渡〈十三歳〉。こいつの異常は「立体化」。もう解ってると思うがこの異常は、自分が見たもの、見たことあるものを他の場所にいる人に映像として見せることが出来る。それによってラジオなのにテレビのような映像が目の前に流れているって訳だ。正直、もうこれはラジオではなくテレビだと僕は常々思っている。
後は連載コーナーの「悩んで病んで」まぁただ単に悩みを聞くだけのコーナー。アドバイスは無し。
そして単発コーナーの「聴け!動物の言霊を!」という、まぁ動物の言葉が聴ける異常を持ってる人による、動物好きの人のための、動物の嘆きを聞くコーナーだ。僕は人と同じく動物にも興味が無いからこのコーナーも興味が無い。
後は枚狗先輩のフリートークがみっちり一時間半。コーナーの時間は三十分あるから二時間の放送である。もっと短くても良いと思うがな
そして放送が終わった八時。
政経部はのほほんとした空気が流れていて、僕はというと、ダックスと大は小を兼ねるという言葉について考えている。
ダックス曰く、
「大が小を兼ねることはありえないだろうと我は思っている。まず、ショベルカーは大きな畑なら良い。確かに使えるだろうグァ、小さい畑ならばいらないし入りもしない。あのことわざは昔の人の知識の無さグァ招いた失敗、としか良いようグァ無いのではないか?」
僕曰く、
「あのことわざは大と小ではないものを使えば良いと思う。僕が考えたのはプラスとマイナスだ。ずばり、マイナスはプラスも兼ねる。だってマイナスは掛けたらプラスだし、プラスは記号だとマイナス二つだからな」
ダックス曰く、
「しかしなグァら、マイナス同士をプラスしたらマイナスであるグァ?」
僕曰く、
「でもマイナス同士をプラスすると言う時点でプラスを使ってるからな。その点、マイナス同士をマイナスしたらプラスすることになるからOKだろ」
ダックス曰く、
「あぁそうであるな・・・・・・うむ。そのことわざはあっているのかもしれん」
このような訳の分からない不毛な議論を交わしていると突然、
「あぁーーーっ!つまらんっ!」
ビックリした・・・・・・・・・いきなり偉繰が叫びやがった。起きていたらしい。
つまらないなら台詞しりとりでもするか?
「ちが~う!レクリエーションだ!一週間は長すぎだろ?あぁ待ち遠しい!俺様を退屈死させる気か!」
自分から言い出しただろ。というか退屈死とはなんだ。
「そうだが待てないものは待てん!」
無視か・・・・・・そう言っても準備があるからな。学校も月曜から始まるし、最低でも準備に四日はかかるぞ?
「そうか・・・・・・くそっ!じゃあ五日後にするぞ」
本気か?もうみんなに一週間後と言っているぞ?
「雷三、枚狗に五日後に訂正しろと言え」
「わかった」
おいおい、マジかよ。準備がまた面倒くさくなってしまう。
『チャッピー!みんな~緊急放送だって~。また王様のわがままで今度のレクリエーションが、一週間後から五日後に早まったらしいよ~』
放送してしまった。学校もあるのに・・・・・・
『そういうことだからみんな日付を間違えないようにね~。じゃ、チャラ~』
陽気に帰っていったけど、枚狗先輩は眠そうだった。あの人は確か九時には寝る人だったはずだから当然か。
「よし、これで準備を急がなくちゃならなくなったな!今から計画を立てるぞ」
えぇ~、今から~?
「駄々こねんなよ。やるって言ったら俺様はやるぞ」
別に駄々はこねないさ。なぜなら今日の僕は素直だからな。
「ガハハハハ、そうだったな」
豪快に笑った偉繰は、気を取り直して玉座から立ち上がり机に手をついて、周りを見渡す。号令の時間だ。
「さぁ親愛なる部員共、祭りの準備をするぞ」
「へいへい、やってやるよ」
「久々にオレも暴れるか」
「やった~!レクリエーションだ!」
「主が望むなら」
「王様がやることなら付き合うわよ」
・・・・・・・・・・・・党夜居たのかよ!