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Free adventure  作者: yuuyas
~睡姫の依頼編~
54/55

奮闘

 次から次へと視界へと入っては消えて行く木々。道なき道を走る俺はただ焦りを感じながらひたすら、ただひたすらに走っていた。時間はもう21時を過ぎ、夜空を照らす月や星星(ほしぼし)が木の間からちらっと一瞬だけ目に入る。

 しかし、そんな綺麗な光景も見る余裕すらなく、仲間2人の方向へ向けて走る。

「クソッ。やっぱり接触してやがる。チッ」

 今もなお走り続けながら、俺の目の前に表示されたマップを一睨みして舌打ちする。マップには多分、優とマリアを表す緑のカーソルが2つあり、その近くにおよそ20人ものプレイヤーがいた。

 明らかにおかしかった。ギルドの連中だとしてもこんなにプレイヤーに接近するはずもないし、そもそも告知の一つも入っていない。ギルドの可能性はかなり低い。

「だとしたら……盗賊か?」

 そう盗賊である。盗賊とは現実のものとなんの変わりもしない人の物を強奪する集団の事だ。しかし、この世界での盗賊は別の意味も持っている。命と物を奪う集団……ここ最近、新聞の一面を飾っているニュースだ。

 適正LV20~30のフィールドダンジョンや近くのフィールドに盗賊がよく現れると。

 その集団は10~30人ほどで行動し、主に2~6人パーティーやソロプレイヤーを狙う。やつらのLVはほとんどが中層LVだが圧倒的な数にものをいわせ、パーティーを壊滅させている。そう新聞には掲載されていた。

 予想はきっとあっている。20人ほどで行動しており、少数のパーティーに大勢で戦闘を行う卑劣さ……完璧に一致していた。

 優たちなら簡単に負けるとは到底思わないが、実際の戦闘では何が起こるかわからない。第一に数の比がおかしい2:20では大きな力の差が生じる。

 どっちに転がってもおかしくはない……急がないと!

「このっ!!」

 歯を食いしばり、トップスピードでフィールドを駆け抜ける。周りに現れてくるモンスターなどには目もくれず、その場へとたどり着こうと足を全力で回転させる。








 ゲラゲラと不気味な笑いをしながらこちらへと近づいてくる人影。その人らの装備は全てが黒一色で統一されていていかにも犯罪者のような格好だった。

「くっ……でも、どうします優さん?力任せでいくと確実に数の力で負けますわよ?」

「……わかってるわよ。でも……なにか突破口はあるはずよ」

 荒々しく燃え上がっているテントをバックにしながらマリアと優は盗賊(てき)を睨み、お互いにささやく。

 誰がどう見ようともマリア側が不利であった。装備を見る限りでは中層LVのプレイヤーと同じかそれ以下のLV。しかし、人数では圧倒されている。どう切り抜けるべきか優は何かいい案はと頭をひねる。

「マリア?あなたポチともう一体、獣従いたわよね?確か……」

一角獣(モノケロース)のモケですか?」

「そう、モケよ。モケ!その子とポチを出して貰えない?」

「わかりましたわ」

 優の指示通り行動をとった。マリアは「獣従の指輪」をしている右手前に出し地面にかざす。人差し指にはポチの薬指にはモクの「獣従の指輪」がはめられている。

「ポチ!モク!出てきてくださいませ!!」

 声に出した瞬間に両方の指輪は片方は真っ黒に、もう片方は真っ白に輝き始める。そして、声に呼応したように指輪からは黒と白それぞれの塊が出現し、それはマリアの左右に実体化されていく。

「なんだありゃ!?」

 人影の一人が唐突に騒ぎ始め、それが伝染していったかのようにまわりからも驚きのあまり優達に近寄る足は止まる。

 そんな間にも実体化されていく二つの塊はついに形を表す。

「も、モンスターだと!どういうことだ!?」

 黒い塊から出現したそれは一目見ればただの黒い犬のようにしか見えない。しかし、そこから発せられるオーラは冥府の入り口を思わせる寒々としたもの……

 神話上では頭が2つ。または3つもち、蛇の尾をもつ姿あるいは首や胴体から何匹もの蛇が頭をもたげる姿で表されるが今の状態でも十分、恐怖をあたえていた。

 一方、白い塊から現れたものは純白の毛と美しき一本の角、大きな翼をもった一角獣(モノケロース)。優雅に気高く立つ一角獣は神秘の光に包まれており、見るもの全てを魅了していた。

 あまり驚きのあまり立ち尽くす盗賊たち……ある者は恐怖に(おび)えて振るえ、ある者は神秘の光景にのまれていた。だが……

「おい!てめぇ~ら!!何見とれてんだ!!さっさとやれっ!!!」

 盗賊のリーダーらしき人物が一括入れると今までの(ひる)みがなくなり調子を取り戻した。直ぐに止まっていた足を再び動かし、襲いかかってくる。

「マリア!私とモケでサポートするからマリアとポチで滅多打ちにして!!」

「了解しましたわ!」

 優の指示を合図にそれぞれが動き出す。マリアは腰の鞘から大剣・「龍斬剣」を抜刀して初歩的な剣技、「ワインド」を発動する。普段、あまり剣技には頼らない戦闘の仕方をするマリアだが、今の状況を考えるとこれが最善だった。

 予備動作がほぼ無く発動した「ワインド」は大剣から放たれる斬撃とは思えない速さでよって来ていた数人の腹を切り裂く。油断していたのか全く回避行動をとれずにHPが残り6割まで減る。

「なんだこの(あま)!?ありえねぇ~ぞ!?」

 切り裂かれた一人が叫び、周りの盗賊らは焦り始める。バックステップをとってマリアから距離をとり、真剣に行かなければ自分達がやられると背筋から汗が流す。

 マリアの方はまだまだといった感じだ。重量のある大剣を両手でもちながら、ダッシュする。大剣は地面スレスレの空気を切りながらありえない速さで動いていた。

「せい、りゃぁああ!!!」

 気合の一太刀から放たれた強力な攻撃は未だつったている盗賊の一人を用意に真っ二つにした。勢いを残したまま地に激突した大剣からは衝撃波のようなものが放たれ、周りにいる者を四方八方へ吹き飛ばした。

 切り裂かれた者はもちろん残りの6割のHPがそこをつき、この世界から消えていき周りの者共は余波により発生したダメージによって半分ほどまでに削られていた。

 だが、敵も黙ってはいない。直ぐに体勢を整えて、マリアを囲うように陣形をとる。仮にも少数対多数の戦闘になれた集団だ。この手の戦法はお手の物だろう。

「くっ……」

 未だ変わらないこの状況に軽く下唇を噛み、どこからくるか目を凝らす。






 そのころ優はモケと共にサポートにまわっていた。主に優は回復と補助魔法。モケは自分達を守る結界を張り巡らせる。その結果は流石、一角獣のモンスターのものといったところだろう。盗賊たちは何人も束になって攻撃するが全て弾き返される。

「これでサポートに専念できるわね」

 次々と魔法を詠唱する。少しでもHPが減れば回復魔法を、一瞬でも補助が切れれば補助魔法をかけていく。MPの消費量はかなりいっているがMPポーションを惜しげも無く飲んでいるためしばらくは切れる事は無い。問題はいつまでモケの結界が持つか……






 一方、ポチは一匹で7人もの相手と退治していた。始めを見ればポチが不利に見えたかもしれない。しかし、実際はポチが盗賊たちを追い詰めていた。様々な方向から浴びせてくる剣による攻撃を軽やかにかわし、隙を見つけては盗賊たちにへと破壊力抜群の体当たりで徐々に相手の数を減らしていく。








「よし!もう少しだ」

 自分自身に気合を入れて動かしている足をさらに回転させる。走り始めてからすでに30分……あっちの方は戦闘を行っているようだ。マップには激しく動きまわるプレイヤーのカーソルが物語っていた。

 マップを見れば残りの距離は500メートルをきったところだこれなら間に合う!

「「遠視」を使って見るか……」

 口に出し、早速「遠視」を使用する。これも「索敵」から発生するものである。名の通り遠くの方まで見渡す事が出来る。

「おいおい……やってんじゃねぇかよ」

 俺の活性化された視界にはバッチリと優たちが戦闘しているのが写っていた。相手は黒一色の装備を纏った奴ら……完全に盗賊だった。

 さらに加速した。いち早く優たちの元へ駆けつけたかった。300、200、100、50、10メートル……到着!!

 大きく跳躍する。かなりの助走でジャンプした距離は凄かった。一気に戦いの中心へと侵入した。剣を抜き、着地と同時に地面に叩きつける。

 鼓膜を激しく震わせる衝撃音が波のように伝わっていき、今まで戦闘に夢中になっていた盗賊共は怯んでしまい動きが止まってしまう。

「お待たせ!」

 土煙の中、確かにその声が聞こえた。

「和也!遅いわよっ!!」

「和也さん!待ってましたわ!!」

 ここからが本当の戦いである……


 読んでいただきありがとうございます。本当ならこの話で盗賊の件が終わるはずでしたが出来ませんでした(泣)前回の話しに和也登場まで入れちゃえば良かった。と今更ながら後悔している次第であります(苦笑)

 本編に出てきましたマリアの2匹目の獣従。一角獣の「モケ」です。この出会いのエピソードはその内書きます。えぇ、きっと……

 では、この辺で……ではでは~ 


 注、ケルベロスの体の説明、一角獣のモノケロースという呼び方はWEBのweblio辞書を引用しております。


12年11月28日 いつ間でモケの結界⇒いつまでモケの結界 に訂正しました。


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