襲撃 ~優 視点~
本日2話目!初の和也以外での話です。優の視点で進みます。
「やっと終わったわ……」
今、私は夕食の後片付けをし終わったところだ。もちろん宿屋とは違って、簡素なキッチンも無いため作ったり片付けたりするのも一苦労である。
それで和也やマリアが喜んでくれるならいくらでも出来る気もするが大変なのは変わりない。
最後の食器をアイテムウインドウに割れないように綺麗に置いて、出しっぱなしの木で出来た椅子に座わりこむ。
季節はもう10月。普通なら大分丁度良い、心地の良い温度になるはずなんだけどな~今日なんか真夏日みたいな気温……もう、うんざり。
「はぁ~……」
「優さん。ため息ばっかりしてますと幸運が逃げてしまいますわよ?」
「うわ!?びっくりした」
「なんで驚くんですの?」
私のため息を聞いて行き成りマリアが私のとなりに座って語りかけてきた。それはびっくりするわよ!!
「なんでって突然出てきたらマリアでも驚くでしょっ?」
「う~ん。まぁ~そうですわね……和也さんなら大歓迎ですわ♪」
何を妄想……いや、考えたのか語尾に音符が入ったように声が弾み、テンションも上がり始めた。
「ほんと、オープンよね。マリアは……」
「それでも気づかない和也さんは一体何なのでしょうね?」
「(うわ~、なんか落ち込んじゃったよ……まさかの地雷だったわ)そ、そんなことよりこの前のはどうだったの?」
「この前のですか?それはもう、最高でした」
「何が?」
「和也さんの背中……」
「……」
何を言っていいのか分からず、黙り込んでしまう私……ふぁ、ファイト!!頑張るんだ優!!
「いや、そのことを聞いてるんじゃないのよ……水龍とかそっちの話し」
「あ~、やっぱり優さん気になってたんですわね。和也さんから聞いておかしいと思ったんですのよ。あんなに暴走してた優さんが全く興味を示さなかったって……」
「なに?アイツそんなこと言ってたの?」
「はい。頭でも打ったのではないかと心配されてましたわ」
「和也はどうやら私を怒らせたいようね」
心配されるのは嬉しい事だが、それは内容にもよるものだ。和也たちを自分の所為で危険に巻き込まぬように「水龍攻略」を拒否したのに……なぜ、頭を打ったとか言われないといけないのだ。
まぁ、それも自分が今まで彼を傷つけてしまった所為か……
「そんなに落ち込む事無いですわ……さっきはああ言いましたが私はわかっておりますから、優さんが和也さんを危険な目に合わせないように反対したということを……」
「う~……なんでマリアが分かるのにアイツが分からないのかな~どのラノベの鈍感キャラだって~の!」
前々から思っていた事だ。アイツはいくらなんでも鈍感すぎる。態となってるんじゃないかと疑ってしまうほどだ。
「「はぁ~」」
私達のため息は重なり、言い知れぬ悲しみが襲ってくる……
「なんだが悲しくなってきましたわね」
「同感だわ……」
何か今まで良い感じに保っていた空気がマリアの落ち込みと私の落ち込みで重くなった。これは何なんだろうか?
「結論!全て和也が悪い!!」
「そうですわよね!!全部和也さんが悪い!!!」
当の本人が聞いたら「理不尽だぁ!!」とか言って、どっかに言ってしまうかもしれないが別にこの場には居ないので問題は無い。
「で?話それちゃったけど、どうだったの?その水龍は?」
「え~っとですね……なんか強そうでしたわよ?」
「いや、当たり前でしょ。ボスなんだからさ……」
「まぁ~そうなんですけどね……なんと言えば宜しいのでしょうか?」
「私に聞かれてもわかる訳無いでしょ。会ってもいないのに」
時々、アホっぽくなるマリア……しかも、なぜ私に聞き返したし。
「強そうとか曖昧な情報じゃなくて攻撃とかそんな感じよ」
まだ、頭の上に?マークを浮かべているマリアに言い方を変えて質問しなおす。
「攻撃はですね……確か、水ブレス、拡散ブレス、尻尾でなぎ払い……このくらいしか見れませんでしたわ。逃げる事で精一杯だったので」
「それは苦戦しそうね……」
脳内にそれらを想像すると確かにマリアの言う通り、強そうの一言である。
「えっ!?優さん行く気なんですの!?さっきまで行かなそうなこと仰ってたのに……」
マリアの顔が蒼白したと思うとそんな事を言い始めた。
「いや、行かないわよ!考えてたら、ちょっと盛り上がっちゃっただけよ!」
「えっ?でも優さん。今、目がキラキラしてますわよ!新しいおもちゃを見つけた子供みたいに!」
「し、してないわよ!」
シリアスな雰囲気から一転、まさかのこの状態である。和也がいなければいつもこんな感じなのだが……
その後、他愛も無い話をしていると2時間たった。和也は未だに帰っておらず少々心配になってきた。
「和也。遅いわね……」
「そうですわね……温かいもの持ってお待ちしますって言ったのに」
小学生低学年のように頬を膨らませてちょっと怒っているマリア。となりから見ればなかなかの眺めである。
顔立ちがかなり大人っぽいマリアが小さい子のようにやっているのだ。こう、なんかくるものがある。
その点、まだ顔に幼さが残っている自分がやってもウザイだけだな~なんて思ってしまう。
「はぁ~」
そんな事を考えてしまうと自然に出てしまうものだため息とは。
「最近、多いですわよね……ため息。何か悩んでますの?」
「う~ん。悩んでないと言えば嘘になるかもだけど……」
流石に言いづらかった。マリアの顔が大人っぽくて子供っぽい仕草をしてもかわいいから、私も大人っぽい顔立ちになりたいだなんて……
「言いづらいのであれば無理に聞きませんわ……でも、いつでも言ってくださいね」
「うん。ありがとう」
マリアはとても良き親友である。改めてそれを実感した。うん、いい奴だ。心の中が自然をあったまってきた。本当に、本当にありがとう……
「じゃあ、和也のために何か作りますか」
おもむろに立ち上がり、マリアの方を振り向き言った。
「何、作るんですの?」
「考え中よ……っ!?マリア!危ない!!」
「え?」
前方から来る危険に体がとっさに動く。自分の前にいるマリアを隠すように抱え込み、そのまま地面に二人して倒れこむ。
その直後に真上を何かが通り過ぎていき、次の瞬間には耳を張り裂くような轟音とまるで台風が来たかのような爆風が私達の体に遅いかかった。
なんとか直撃は避けたものの余波で発生したダメージの所為でヒットポイントが1割ほど減少していた。
「モンスターですの!?」
マリアが驚き声を上げ、モンスターの襲撃が襲撃して来たと考えた私は瞬時にに立ち上がった。幸いまだ防具は着けたままだったので今からでも戦闘に入る事は可能だ。
しかし、予想と反して視界から移る情報は……
「人!?」
人影であった。それは一人二人の騒ぎではない数十人……ぱっと見て20人ぐらいだろうか。
「なんのよう!何故襲ってきたの!!!」
怒鳴るように私は叫んだ。すると、多数ある人影の真ん中らへんからこう返ってきた。
「なんのよう!はは。笑わせんな!聞いた事無いのかよ、盗賊ってやつをよ!!」
野太い声が響き渡った。その周りの人影もなにが面白いのかゲラゲラと笑い始める。
「親方!久しぶりの女ですぜ!!どうしやすか!!」
「もちろん。連れて帰るぜ!金もアイテムも女も全て!!」
「はは!そりゃ、楽しみだ……じゃあ、早速取り掛かるか」
親方と呼ばれたボスのような男から許可を貰った人影共は気味悪い笑い声をしたまま私達ににじり寄って来る……
「(くっ……どうする。LV的には低いけど人数が圧倒的過ぎる。どうしよう!?和也!!)」
「ふっ!そんな硬くならなくても大丈夫だぜ?大人しくしていれば命だけはそのままにしといてやるよ。命だけはな」
再び人影は気持ち悪い笑い声をあげる。そして、一歩。また一歩とこちらへ寄ってくる。
「どうしますの?大人しく従いますの!?私は嫌ですよ!!こんな穢わらしい男共の言いなりになるなんて!!」
マリアが私に小声で話しかけてくる。もちろん私だってこんな奴らのいいように扱われるなんて御免だ。でも、どうすれば……
「優さん。和也さんが今まで死ななかったのは最後まであきらめなかったからですよ!彼のように最後まであきらめないで戦いましょうよ!!それに、きっと和也さんが駆けつけてくれますわ!!!」
「……ッ!!」
心に……心に響き渡った。「あきらめない」という言葉が……和也は今まであきらめなかった!私もあきらめるもんですか!!!
その一言に心を振るわらせ闘争心が一気に溢れだしてきた。
「マリア!行くわよ!!」
「はい!」
私の声に呼応してマリアが力いっぱいうなずく。
「おいおい。手間かけさせんなよ……何、行き成り元気になってんだよ。クソガ!野郎共。殺さねぇ~ようにいたぶってやれ!!」
ボスはニタ~っと大口を開けて笑い、部下らしき人影へ指示を出した。それを待っていたかのように人影共は私達向かって襲いかかってくる。
「絶対に、絶対に、あきらめるもんですか!!」
そう、自分に言い聞かせた!勝負は始まったばかりである。
読んでいただきありがとうございます!今回は初の主人公以外の主観で話が進みます。まぁ、優ですが……この話、「道中」の話しは2~3話になると言いましたが多分超えます。いえ、確実に超えます(笑)というかもう3話目ですしね……
相変わらず計画性がないですがきっと、後3話ぐらいには収まるかと……まぁ、そんなもんです。
とにかく、ありがとうございました!!




