サイル村
「ここが「サイル村」か・・・そうだな~、いかにも村って感じだな」
と俺が正直な感想を述べた。まぁ、間違ってはいない風景が藁と木だ。そう思えない現代人が何人いるだろうか?
「しょうがないわよ、始まりの街以外はあの規模はそうないわ」
と返す。黒髪美少女の優だ。
なんか、昨日助けてもらったようで成行きで仲間・・・PTになってしまったわけだ。PTというのはゲームでお馴染みのパーティーの訳だ。まぁ、誰でも知っているだろうけど・・・それに加えフレンド登録までした。そこまで急激に仲良くなれるのだろうか?
PTの利点は複数人で戦うことにより個人よりもリスクが少なること、もう一つは狩り自体の効率がお互いに強ければ格段に上がるということだろう。
そんなわけでそのPT+フレンド登録をした二人であるがまずは昼食を取るためにお店を探している。
「あそこなんてどう?結構いい感じじゃない?」
そこは木で出来ている現代でも山奥にはあるかな~?と思えてくるお店であった。まぁ、こういう雰囲気のものは好きなのでOKをだす。
店に入ると中は予想通りのものであった。木造りの質素な喫茶店?のような感じだ。
「なかなか、いいんじゃないか?」
「うん。思っていたより綺麗だね」
と適当に感想を述べる。
俺たちはハンバーガーに見えるが味は何にかが決定的に足りないものを食していた。
何とも言えないお味に俺は黙々と食べていると優が喋りかけてきた。
「そういえば何も考えてなかったけどどうする?これから」
「えっ?お前考えてなかったの?」
「考えてるわけないでしょ。私だって始まりの街近辺のフィールドダンジョンが直ぐに枯渇するから動き出してきたんだし」
「そうか、そうだよな。俺と同じ思考のやつは後先のことなんて考えるはずないよな」
実に苦し紛れな言葉だった。
優は「はぁ~」と深くため息をついてハンバーグもどきを一口食べると飲みほしてから
「じゃあまず、これまでの素材を売りに行きましょうか」
「お~、同じ思考を持った方とは思えない提案だ。痛っ!殴るなよ!!」
「失礼なこと言うやつが悪い!早く食べていくわよ」
優は立ち上がると通貨である100G分の価値がある硬貨をカウンターの一枚おき出て行った。俺もあとに続き出て行った。
道具屋に行き要らない物を片っ端から売っていく。途中、食品アイテム(肉や野菜、香辛料?など)を優が必要というので俺は特に必要もないから全てあげた。あんな命懸けの戦闘をしていたので素材アイテムの売った総計は15000G。これでしばらく金には困らないだろう。
豊かになった懐におっとりしながら全て消費してしまったポーションを買っていく。
回復ポーション20本、回復石を5個ほど。
ポーションは飲むとだんだん回復していくものだ。だが、~~石と付くものは即効性だ。ポーションが一つ100Gで石は250Gなのでかなり高いが緊急の時には最も必要とするアイテムだったりする。
優は回復石だけを買い、あとは魔道書を数冊買っていた。アイテム魔道書とは名の通りだ。本の中には魔法とそれの呪文が記されている。ジョブスキル「魔法使い」はLVが上がっても魔法は覚えられない。その代わりに魔法威力とMPだけが上がっていく。
ふざけんなと思うかもしれないが、そのためにアイテム魔道書があるのだ。魔道書は「魔法使い」とそれの派生系のジョブスキルを持っていない限り解読できない。つまり「魔法使い」は魔法の呪文を覚えない限り魔道書がないと戦闘では無力というのを語っている。しかも、魔道書は始まりの街では売っていない。これは「魔法使い」をとった人へのいじめだと思う。
買い物は終わり次は武器屋を目指す。
そして、ここは「サイル村」の武器屋。始まりの街とあまり変わらない外装だが売っている武器防具のグレードが一段と違う。しばらくはここを拠点にしようと思っているので「スラッシュ・ナイフ」である程度のモンスターはなんとかなる。ここは防具を買って防御力を固めるべきだ。そのあとからでも剣はいいだろう。
初めに昨日今日で消耗した武器の研磨をカウンターにいるオッサンに頼み、俺は防具を見る。ここはかなり革の防具が置いてある。SPDも上がるのでこれを一式揃えようと思い。服、手袋、マント、ズボン、靴を買う。金額は10500Gだった。少し泣きそうになったがしょうがない。
固有名「革の服」 主 和也
防御力 21 耐久度598
SPD6、LUK1
固有名「革の手袋」 主 和也
防御力 21 耐久度598
POW1、SPD6、LUK1
固有名「革のマント」 主 和也
防御力 21 耐久度598
SPD8
固有名「革のズボン」 主 和也
防御力 21 耐久度598
SPD2、LUK1、TEC2
固有名「革の靴」 主 和也
防御力 21 耐久度598
SPD10、LUK2
革にしてはなかなかいい性能だと思う。この他にも装備には指輪や腕輪などもあるのだが高価だし、今手につけられるほど経済的に余裕はない。残りの金額は4000Gちょっと研磨は一本500Gするので使えるのは3000Gだ。「スラッシュ・ナイフ」が1200Gで売っているからこれをスペアにすれば楽になるな。そう思い俺は「スラッシュ・ナイフ」をもう一本買った。
俺が買い物を終えると研磨も終わり、優の買い物も終わっていた。優も俺と同じ革装備一式となっていた。優は軽く驚いていたが俺もビッグリした。優の武器は「シミター」となっていた。俺の「スラッシュ・ナイフ」より高価で強力な武器。同じくらいの稼ぎのはずなのになぜ買えたのか?
「なぁ~にボ~ットしてるのさ。これで買い物も終わったし、近くのフィールドダンジョン行くわよ!」
「あ、ああ」
まぁ、気にしても無駄か・・・それにしてもどこに行くんだ?
「なぁ?どこにフィールドダンジョンに行くんだ?またあの森か?」
「違うわよ。ここから歩いて10分ぐらいのところにある「閉ざされた沼地」よ」
と彼女は言った。この一言があんな大変な思いをするとは俺たちは一切思わなかっただろう。
ステータス
キャラネーム 和也 金 2460G
LV6 HP1483/1483 MP0/0 攻撃力68 防御105
装備 「スラッシュ・ナイフ」「革の服」「革の手袋」、「革のマント」
「革のズボン」、「革の靴」
POW14、DEF0、SPD44、VIT0、LUK6、TEC3
スキル
剣士9、索敵8、跳躍8、自動回復2、武器破壊1 (空き5)
キャラネーム 優 金 2900G
LV5 HP1243/1356 MP546/892 攻撃力62 防御力105
装備 「シミター」「革の服」「革の手袋」、「革のマント」「革のズボン」
「革の靴」
POW6、DEF0、SPD48、VIT0、LUK10、TEC8
スキル
剣士6、魔法使い3、見切り5、武器防御3 (空き6)
遅れてすいません。見てくださってありがとうございます。