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Free adventure  作者: yuuyas
~睡姫の依頼編~
48/55

デート?

 遅れましたっ!すいません!!

「なぁ?どこ行くんだよ?」

「まぁ~、行ったらわかりますわよ」

 普段では考えられないほどの警戒心のなさでフィールドを歩く、俺とマリア。マリアは先程からご機嫌の様子でスキップまでしている。なんでそんなにテンションが高いんだ?


 さらには、歩き始めてからちょっとずつ湧いてくるモンスターを鼻歌交じりで瞬殺(しゅんさつ)しだす。これはマジでビビった。


 まぁ、ただのフィールドで湧くモンスターの強さがフィールドダンジョンよりも劣っているが、それでも今の無双ぶりは顎が外れそうなほどだ。


 おっ、犠牲者(モンスター)が出てきた‥‥‥






「じゃ、ま、で、す、わっ!!」

 腰から抜かれる大剣を細く、色白な腕で振り下ろす!湧いた黒の毛が特徴である鼠のモンスター「ダクス・ラァート」を両断。HPはありえない速度で満タンを示す右端から、0を示す左端まで消え去る。  「ダラス・ラァート」は断末魔も上げる暇なく、この世界に登場してコンマ数秒で消えてしまった。あまりにも哀れである。


 これで剣技を使っていないのだ‥‥‥俺でも一撃では葬れない。使用している武器の特性もあるが、それでも今の一撃には舌をまかれる。


「ふぅ~、これで問題ないですわ!」

 マリアは一仕事でも終えたかのように汗もかいていないにもかかわらず、額を汗(嘘)を腕で拭う。


「‥‥‥‥‥‥」

 もちろん、俺は絶句である。

さっきから、こんな状態が幾度なく繰り広げられていた。「ある意味、仲間の力量を把握する良い一日なのかもしれない」と考えると、重かった足も少しは軽くなった。








「俺も戦闘してぇ~な‥‥‥」

「和也さんはじっとしててくださいっ!!」

 そう言って両手で握る大剣を横に払い、目の前にいるモンスターを一掃する。モンスターは回避しようとしたが攻撃のリーチが長すぎて見事にくらってしまう。


 小一時間前から同じ惨事を目の当たりにしている俺は流石に可哀想になってきた‥‥‥なんせ、向こうからは攻撃してこないモンスターもかたっぱなしから切り伏せていくのだ。これで、同情しない奴がどこにいるんだ?


「せい、っや!」

 言葉とともに繰り出された斬撃は光のようにモンスターたちの肉体を切り裂き、残りのHPを根こそぎ持っていく。あ~、かわいそう!!


「これでOKですわっ!」

「‥‥‥つ、次は俺にも戦わしてほしいな~」

「大丈夫ですわ。もう、着きますから」

 そう言って、再び歩きだすマリア。そのマリアに黙ってついて行く俺。そんな構図がこの、お出かけが始まった当初から出来上がっていた。


「で、もう少しで着くってどんな場所だよ?」

「え~っと、綺麗なところですわ」

「綺麗なところ?」

「そう、綺麗なところ!」

 明確な情報もあたえられない。いくらなんでも、「綺麗なところ」では想像することもできない。

一体、どこに行くのだろうか?






「ほら、見えてきましたわ!」

 指をその方向へと向ける。


「おお~スゲェ~‥‥‥‥‥‥」

 そこには見事な絶景があった。今までは森の道なき道を通り、あたり一面木ばっかりだったが、それを抜けた先にはかなりの大きさである湖畔(こはん)が広がっていた。


 その周囲はまさに「自然!」と言った感じに木だけであるが、それが落ち着いた雰囲気を(かも)し出していて、いい感じである。


「いつの間に見つけたんだ?こんな場所?」

「それはですね。昨日の狩場から見えたのです‥‥‥それで、綺麗ですわね~っと思いましたので、その場所を覚えて昨日の夜。優さんのお部屋を出た後にここに来たのですわ」

「そりゃまた、すごい‥‥‥」

 あの、勝負兼賭けをしていた時に記憶するほどの余裕があったそうだ‥‥‥モンスターばっかり見ていて負けた俺ってなんなの‥‥‥‥‥‥そんな感じで軽く(へこ)んでしまう。


「そんなことよりっ!昼食をいただきましょ?」

「う~、そんなことではないんだよ‥‥‥俺にとってはさ。まぁ、いいや(めし)にするか」

 凹みまっくっていた(おのれ)の心を自分で励まし、マリアの隣に腰を下ろす。隣ではマリアが自分の所持品(アイテムBOX)から二人分の昼食を取り出す。それを俺に渡すと、今度は飲み物を実体化させる。随分と用意してきたようだ。


 バスケットに入っている昼食をとり出す。中にはサンドイッチが六つ並んでいる。その一つを手に取り‥‥‥


「いただきます!」

 勢い良くかじりつくと卵のような味が口に広がった。言っておくが、「ような」っていうのは別に不味いと言っている訳ではない。物足りないのだ何かが‥‥‥だが、これはこれで美味しいので文句など出るはずもない。


「うん。美味しい」

「ほ、本当ですか!?」

「ああ」

 マリアの言葉に頷いて、二つ目に取り掛かる。今度は、ハムかな?またもや、物足りなさがある微妙な味が口の中に広がる。こうなってくるとどれがどんな味かを当てるのが楽しくなりそうだ。


 






 あの後も「味当(あじあ)て昼食(名付けて)」が俺の中で止まることなく進み、あっという間に6個あったサンドイッチがなくなる。


「ごちそうさまでした‥‥‥うまかった‥‥‥」

「お粗末さまでした!」

 そう言うマリアはさっきより増して、ご機嫌である。いったい、この短い間に何が起きたのか‥‥‥そんな疑問を残した昼食は終わった。


「ふ~、食ったしそろそろ別の場所にでも行くのか?」

「う~ん。そうですわね‥‥‥そろそろ移動しましょうか」

 2人は立ち上がると湖畔を背に、去ろうと歩きだす。


「っ!伏せろ!」

「どうかしましたの!?」

 訳がわからないと困惑するマリアを庇うよう。マリアの背に立つ。


「クソッ!」

 数m前には、推定で直径2mほどある大きな水弾(すいだん)が襲いかかって来ていた。そに水弾はもの凄い速さで迫ってくる。


 しかし、俺は冷静であった‥‥‥少し前までは焦っていたこの状況。今は全く焦りも何もなかった。既に抜いてある剣を高だかくかかげ、振り落とす!刀身は見事に謎の水弾を(とらえ)え、真っ二つにする。


 水弾は俺たちを避けるように二つに別れ、俺の左右の地面が深々く削れられる。左右の目の端でそれを捉える。そして今、水弾が発射されてきた場所に目を向ける‥‥‥‥‥‥


「って、また厄介そうな相手だな~こりゃ‥‥‥‥‥‥」

 顔を引きつらせて苦笑いする俺の視線には「水龍」がいた。その龍は全身が水でできていて、出現した湖畔の水のように透明で美しかった。


「痛ぁいです‥‥‥行き成り何するんですか和也さ‥‥‥ん?え!?龍!!!???」

「ああ。龍だよ‥‥‥雑魚モンスターじゃない。予想するにボスレベルの」

「ど、どうしましょ!?」

「取り敢えず、一時撤退だ!行くぞ!!」

「はい!」

 次々と放たれる水弾を躱したり、切断したりしながら逃げる。マリアの手を引っ張り、出せるだけスピードを出しながら全力ダッシュをする。


「うひょ~、危ねぇ~って‥‥‥っと」

「あわわ~、危ないですわよ!!」

 だが、無数に発せられる水の弾に片腕だけでさばき続ける俺が押されはじめる。


水龍(アイツ)リーチ長すぎるだろっ!?クソッ」

「和也さん!ポチを呼びましょう!!」

「ポチか‥‥‥わかった!頼む!」

 マリアの提案に乗っかる。マリアは走りながら右手の中指に装備している「獣従の指輪」を体の前に出す。


「ポチ!出てきてください!!」

 マリアの声に応えるように指輪が輝き出す。次の瞬間にはマリアと俺の前に、走っているポチが出てくる。その顔はまだ、昨日の「毒」の影響が残っているのか、軽く青ざめているが‥‥‥


「ポチ!辛そうだけど、頼む!!」

「ガウッ!!」

 俺の頼みに応じ、首で「乗れ」と(うなが)す。マリアの手を掴みながら、走っているポチの背中に飛び乗る。


「ありがとっ!行け、ポチ!!!」

 ポチは背中にかかる重さを確認し、それが確かだとわかると今までの数倍の速さで駆け始める。


 あっという間に「水龍」の攻撃範囲を抜け、そのまま今まで歩いてきた道を引き返していく。








「はぁ~‥‥‥何なんだよ」

「まったくですわ‥‥‥‥‥‥」

「ガウ‥‥‥‥‥‥」

 二人と一匹が崩れるようにして地面に座り込む。精神的な疲れが半端なかった‥‥‥しかも、HPも3割ほど減っている。水弾のダメージが少なからずあったようだ‥‥‥どうしたものかと考えつつ、取り敢えず安いポーションでHPを回復させる。


 飲むと口の中に酸っぱ~い味がいっぱいになる。さすが安物といったものだ味も最悪、回復も一気にではなく徐々にしか回復しない。俺が作るポーションの方が何倍もランクが上だろう。


「あ~‥‥‥不味い。で、なんであそこでボスレベルのモンスターが湧くんだよ」

「そうですわよ‥‥‥あれ?あそこって、確か‥‥‥‥‥‥」

「どうした?」

「いや、え~っとですわね‥‥‥昨日行った時にマップで確認したら、「嘆きの泉」っていうフィールドダンジョンでしたわ」

「‥‥‥‥‥‥先に言えよ」

「すいません」

 まさかの、綺麗な湖畔だと思っていた場所がフィールドダンジョンである。そりゃ~、ボスがいる訳である。


 今すぐにでも討伐したいが、俺たち二人では勝ってこない‥‥‥一旦戻り、優に話すべきだろう。


「んじゃ、戻るか‥‥‥?」

「‥‥‥しょうがないですわよね」

 口ではそう言っているものの、顔は戻りたくなさそうにその顔は歪めている。


「わかったよ‥‥‥もう少し、色んなところ行ってから帰るぞ」

「え!?いいんですの?」

「ああ。どうせ今、戻ったって動くのは夜になっちゃうから明日に持ち越されそうだし‥‥‥今日はせっかくの休みだぜ?ちょっとぐらい羽伸ばそうぜ?」

「はい!」

 目をきらめかせて頷くマリア。かなり嬉しそうである。今日は、あんまり乗り気じゃなかったけど‥‥‥よし、頑張るか!


「行くぞ!」

「はい!!」

 空気になっていたポチを指輪に戻し、喜々と歩きだすマリア。そんなお嬢さまをエスコート。いつの間にか本当のデートのようになっていた。








 この後散々な目に合い苦労し、あのまま帰ればよかったと思うのは1時間後の話である。


 読んでくださってありがとうございます。今回はやっと「デート回?」になりました。いや、デートという感じはありませんでしたがそれはまた、私の力量に応じて頑張っていきたいな‥‥‥と。


 和也たちを襲撃した「水龍」ですが、このあとも出てきます。これだけ言っておきます。


 では、この辺であとがきも終わらせていただきます。ありがとうございました!


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