牛、牛、牛!!
久しぶりの戦闘だぁ~い!!
「モォ~!!」という叫び声が背中から襲ってくる。半分泣きそうになりながら後ろを振り返ると‥‥‥
「ァァァァァァァアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!来んなぁぁぁぁあああ!!!!!!」
ものすごい形相のした人の形をした牛が突進してきていた。こ、怖ぇーよ!顔がありえないくらい引きつっているのを感じながらも何とかして抜刀して剣で牛の突進を受け止めようと腰を低くして構える。牛人間に生えている頭の角と俺の愛刀が衝突して「ガキィ~ン」と高い音が俺の耳に届く。だが、牛人間‥‥‥「フィルス・ボウ」は未だに俺をぶっ飛ばそうとさらに足に力をいれてくる。
「お、重てぇ~くそっ!」
両足にありったけの力を込めて押しとどまるがキツすぎる。これで少しでも力を抜けば絶対に押し切られる。だが、これを切り抜ける術を俺は持っている。
剣で防御しながら柄を握っている右手に力を込める。すると俺の剣。「ドラゴンライズ」の刀身が赤に輝き出す。そう、剣技の初期モーションに入ったのだ。これは「剣士」スキルがLV50に達した時に習得する剣技。防御から攻撃に転換出来る剣技‥‥‥「ヴィザート」!
剣技、「ヴィザート」の恩えでありえないほどの力が溢れ出す。「フィルス・ボウ」の突進を受け止めるのがやっとだったのに今は逆に押し返せるほどの怪力が瞬間的に出た。渾身の力で牛の角を弾き返す。「フィルス・ボウ」は体制を崩せれて、後ろへ大きくのけぞる。
この瞬間を逃さない。「ヴィザート」の剣技はまだ終わっていない。そのまま剣技でのみで起こりうるありえないほどのスピードで回転切りが炸裂する。「フィルス・ボウ」は胸元を「ヴィザート」による一撃で抉り取られ、同じように奴のHPも3割ほど削ることに成功する。
今、使った「ヴィザート」。防御から攻撃を瞬時に繰り出せる代わりに、その攻撃の威力はだいぶ低く設定されている。この威力の低さは技術やプレイヤーのLV、スキルのLVで補えるのだが技術の方は不器用である俺にはかなり難しい。
「スラッシュ」「ワインド」、「ギアス」などの比較的初期で習得できる剣技はモーションが単純だ。それと同じで威力も弱いが‥‥‥「ヴィザート」と違ってモーションが簡単なぶん、技術の面で威力を補正することができる。
普通ならばなんにも力を入れなくても勝手に剣技は発動するのだが、変に一方に力を入れると失敗することがある。些細な力の入れ具合で剣技は失敗することもあるが、作動モーションが動いている途中で自分も同じ方向に均等に一定量の力を入れる。すると、技威力はその分上乗せされる‥‥‥これが技術だ。
しかし、俺はこれが全くとは言わないが出来ない。どうにも一方に力をいれてしまうためだ。
どうしたものかと首を傾げていると「フィルス・ボウ」がゆっくりと立ち上がった。そして、突進の初動モーションに入る。身をかがめ、相手を呪い殺すかのように睨みつける。なんとも恐ろしい絵面だがここで逃げると突進を見事に食らってしまう。
逃げたい衝動をなんとか押さえつけて今度は躱せるように身を同じようにかがめる。「フィルス・ボウ」はそれを待っていたかのように突進を始める。「モォ~ウ!!」と今まで以上の叫び声をあげて「フィルス・ボウ」は襲ってくる。
「(ギリギリまで惹きつけるっ)」
「フィルス・ボウ」が迫ってくる。5m、4m、3m、2m、今だ!瞬時に横に飛び、「フィルス・ボウ」の攻撃をまさに紙一重で躱す。「跳躍」スキルのお陰で小さい動きでも回避するのが容易かった。問題はここからだ。「フィルス・ボウ」は目標が通過したことに気がつかずにそのまま、真っ直ぐ突進し続ける。速さは尋常ではないが‥‥‥俺のスピードよりは遅い!
俺は走り初め、一気にトップスピードを出す。前を走る「フィルス・ボウ」との差は約3mこれなら!
「いっけぇぇぇえええ!!!!!」
再び刀身が光り始める。剣を握る右腕を体に巻くようにして出来るだけ身をかがめる。そして、
「ワインド!!」
トップスピードを出しながらの「ワインド」。これまで使ったこの技の中で最速・最高威力だった。これまでの経験や努力で出来るようになった技術の付加された俺の「ワインド」は‥‥‥あっという間に「フィルス・ボウ」の背中に追いつき溜めていた力を一気に吐き出す!前方に、強く、もっと強く!
ーー「シュッ!」空気を切り裂く音と共に全激は「フィルス・ボウ」の無防備な背中を斬る!「ブッシャ~」っと血が出るわけなく代わりに赤赤と傷口が光る。斬ったモンスターのHPはみるみると減っていき、残り数ドットというところでやっとその動きがとまる。
「モォォォォオオ!!!!」ーー「フィルス・ボウ」は行き成り襲ってきた強力な攻撃に耐えることができずに前に転がってしまう。そのまま、動かずに‥‥‥いや、動けないでいる。バッドステータス‥‥‥状態異常の「気絶」にかかっている。これは強い攻撃、衝撃をくらった時に発生する状態異常。この状態異常をモンスターに起こしたのは「ギアス」で数回成功したことはあるが「ワインド」で出来たのは初めてだ。
「おっと、歓喜極まってる場合じゃないな」
気持ちをすぐに切り替えて、目の前に転がっている「フィルス・ボウ」のみに意識を向ける。気絶状態の「フィルス・ボウ」に歩み寄り‥‥‥そして、「フィルス・ボウ」の命を絶った‥‥‥‥‥‥
「マリアー終わったか?」
「終わりましたわ!!」
「?‥‥‥まぁ、いっか。で、どうだった?」
「バッチリですわっ!フフフフ」
なんかマリアが変になったが気にしないでおこう。そのほうがいいのだきっと‥‥‥うん。
まぁあの後、さらに「フィルス・ボウ」とその他多数を数十体ほど倒した。もう、日は沈みかけてこの殺風景な岩場を鮮やかなオレンジに染め上げる。今日の狩りは各自別々となった。共闘して倒すのも安全的でいいんだがそれよりも効率を求めて別々に行動したのだ。
先日。俺が見ている新聞?にはこの第一の大陸での適性LVは俺たちのLVよりも10ほど下のようなので別行動を提案した。聞くと嫌そうな顔をしていたが、俺が「今日の狩りでモンスターを多く倒したほうが何かをするっていう勝負はどう?(出来る範囲で)」と聞くと、急に元気になって張り切りだした。
「サクト村」に向かう出発の時といい、今といい、彼女をつき動かしているのは一体なんなのか?この疑問はいつになったらわかるのだろうか‥‥‥?
「で、どうだったよ。成果は?」
試すような視線を送り、伺っていると随分と余裕そうな顔をしている‥‥‥ヤベぇ~嫌な予感がする。
「ふふ、聞いて驚かないでくださいまし‥‥‥なんと、57体ですわ!これをご覧下さい」
「なっ!?」
右手で渡される討伐量を計ることの出来る紙‥‥‥「カウントシート」を見るとそこには‥‥‥
「カウントシート」 「討伐量」 本日3時より現時刻まで~
マリア
・「フィルス・ボウ」‥‥‥‥‥‥ 18体
・「ロックゴーレム」‥‥‥‥‥‥ 8体
・「バースヘラクレス」‥‥‥‥‥‥ 6体
・「モールビートル」‥‥‥‥‥‥ 4体
計36体
ポチ
・「モールビートル」‥‥‥‥‥‥ 16体
・「ロックゴーレム」‥‥‥‥‥‥ 5体
計21体
総数57体
「‥‥‥‥‥‥マジですか?てーか、ちゃっかりポチさん使っちゃてるし」
「で、和也さん。あなたは何体ですのですの?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥い、言わないとダメですか?」
「いえ、「カウントシート」を見せてくれればいいですわよ」
「ありがとうございます‥‥‥ど、どうぞ」
くそっ!なんだあの勝ち誇ったお顔は‥‥‥負けた。もう、ダメだ‥‥‥プライドとかボロボロです。
「えっ!?54体!?」
「うん。ま、でも総数で負けちゃったからな‥‥‥しかし、ポチ使うのは卑怯じゃない‥‥‥ですか?」
「ま、まぁ姑息な手ですがポチの力を借りなければ和也さんの勝ちでしたし‥‥‥ですが!言った時はそれはルール違反と行ってなかったでしょ?なら、私の勝ちでよろしいですわねっ!」
「俺が言わなかったのが悪いのか‥‥‥よし、今度は絶対言う!」
心に‥‥‥いや、魂に刻みつける。あと、4体だったのか‥‥‥惜しかった。くそぉ~。自然と目が熱くなってくる。だが、これは悔し涙ではない決して‥‥‥
「和也さん。明日は一日ずっと付き合ってもらいますわ!」
こう言われるのが怖くてだ。あ、明日はどんなことが起きるんだよっ!?
読んでくださってありがとうございます。今回は戦闘回でした。まぁ、最初の頃と少しうまくなっていれば感想を下さい。ご指摘もお待ちしています。(お優しいお言葉でお願いします)
ですが、やっぱり難しいです。戦闘描写。なんというか‥‥‥‥‥‥とにかく難しいですよ。うまい書き方があれば教えていただきたいな本当に(笑)
本文の話に戻りますね。今回は戦闘から入り、そして罰ゲーム?じゃないですねマリアとのデートをすることになったわけですが、次どうしよう(汗)と焦っています。実はデートとか書いたことないんですよね。どうしましょう。
まぁ、頑張ります!という訳で次回は「デート回!」です。次もよろしくお願いします!!




