「サクト村」
「や、やっと着きましたわ‥‥‥」
4日がかり到着した村の門を見て、疲れきったような声をあげる。それもそのはず、普段なかなか乗り気でない旅を今回はノリノリでやってきたのだ。疲れは相当溜まっていることだろう。
「張り切るから‥‥‥そんなに疲れたのよ。のんびりやってれば案外疲れないものよ?」
「いやいや、それ人の背中におぶさっている奴の言っていい台詞じゃないからな」
俺におぶさりながら実にゆったりと言った。だが、人におぶさっている時点でもう、威厳も優雅さも皆無である。なぜ、おぶさっているのかといえば戦闘中に部位麻痺ーー足に麻痺をくらったのだ。
ここに来る途中の森で状態異常を誘発させる攻撃を使うモンスター「モールビートル」の麻痺針を運悪く被弾してしまった訳だ。僅か、10%の可能性しかない状態異常つきで‥‥‥
さらに、食らった麻痺も「麻痺4」。手持ちのアイテムでは回復できなかったし、この効果は約20分だ。そして、自然とこうなってしまった。
この前までなら好奇心という実に無責任な思いで変な所へ連れてかれたのだ。そして、俺に甚大な被害が被るという特典付きで‥‥‥だが、とある一件のお陰であの俺たちを危険に巻き込むことがなくなっただけ可愛くなったと考えるべきかもしれない。
「それより、なんでマリアは張り切ってたんだ?」
「えっ!?気づいてなかったの?」
「気づくって何をさ?」
まるで「ガビ~ン」と聞こえてきそうな顔をして頭を抱え込むマリア。それを見て俺の背中にいる優が必死に笑いを堪えているのがわかる。
「ふふ、マリア。和也は鈍感だから、あんまり効果無かったのよきっと‥‥‥」
「それでも、鈍すぎますぅ~」
「えっ?だ、だから何を話してるんだよ?」
前方と後方からの言葉のキャッチボールから何故か俺に対するご不満な点を言われている。鈍感なの酷すぎるのなの・・・酷すぎないか!?
「それよりも早く村に入ってしまいましょ?「麻痺」も直せないわ」
「‥‥‥そ、そうだな。とりあえずはいるか」
「サクト村」の中はやはりいままで滞在していた「ゲイル」とは違い、物寂しい感じがした。言い方を変えれば落ち着いているんだが‥‥‥どちらかといえば後者のほうが好きなので俺はこういう村が結構気に入っているんだが。
でも、その分道具屋や鍛冶場もとい武器屋のグレードも落ちてくる。今、使用している武器はモンスターからのドロップものでかなりの性能を持っている。しかし、他にいい武器を所持していないためこれが壊れてしまった時の保険として新たな武器を持っておきたい。
だから、新たな場所へ行く度にいい物はないかと探すんだがなかなか見つからない。今回もきっと見つからないだろう。やっぱり武器を変えるのは第2の大陸に入ってからか。
そんなことを道具屋の前のベンチで考えていると目の前のドアが開いた。
「どうだった?いいのあったか?」
「う~ん。結構良かったんだけどね‥‥‥あんまり買えなかったのよ」
「そりゃま~残念で」
「ここの石、高すぎますわっ!なんで、回復石で2000Gもするんですの!?」
どうやら、ここはアイテムが高価だったらしい。そりゃ、田舎っぽいところなんだから1日配布量が少ないから街に比べて一つあたりの値段が村の方が高い。このゲーム、物量によってシステムが勝手に値段を決める。大量に入荷があればその分安くなるし、それが少量ならば段々高くなっていく。
なんで、統一しなかったんだ!と怒鳴りたくはなるがこういう村の方が他のプレイヤーと取り合いにならずに済むのであえて村の道具屋を使うプレイヤーも少なくはないが‥‥‥
「ほら、3分の1。なあ?やっぱり、もう統一しないかギルド資金に設定しようぜ?」
「う~ん。それだと使えるお金がな~‥‥‥でも、めんどくさいしな。う~ん、よし!設定しよっ」
「そうですわね。設定したほうがこのやりとりしないで済みますしね‥‥‥確かにこれはめんどくさいですもの」
「わかったよ。今、作成しちゃうから、50000Gぐらい入れといてくれ」
2人の了解も得たし、作るか‥‥‥
ギルド資金とは名の通りギルドの資金である。通常ステータス画面の名前の下に所持金が表示されている。パーティー、またはギルドのリーダーがギルド資金を設定するとその下にギルド資金というのも表示される。そこをタップして使用金額を指定すればそれに応じて資金が出てくる。
でもこのギルド資金、週に25000G以上が勝手に自動入金されるのだ。勝手に金が足りなければその分アイテムの中からランダムで売られてGに変えられるのだが、これはまだ一日のGの収入が少ないプレイヤーには厳しい条件である。
俺がこの案を伝えたのは初ボスを倒したすぐのこと。その時はマリアがまだ、収入が少なく赤字を出してしまうのでやらなかったのだが、今は特に問題もないだろう。
スラスラとステータスウインドウからギルド・パーティーウインドウを表示して設定する。
「(ギルド資金の設定っと‥‥‥よし、出来た)」
試しに俺が50000Gを入金すると所持金が表示されているしたに、ギルド資金ーー50000Gと出る。
ま、このギルド資金はいいことばかりではないよほど信頼できる人でないと盗まれるからな‥‥‥「ふぅー」っとため息を吐いて2人が共に50000Gを入金したのを確認するとウインドウを閉じる。
「お金も使っちゃたし、狩りするか?まだ昼だしさ」
「そうですわね‥‥‥3時前ですし。行きましょうか」
「う~ん‥‥‥私は今日の毒針でちょっとブルーだから2人で行って来て?美味しい料理作って待ってるからさ」
まぁ、あの麻痺を食らったら行く気はなくなるだろ‥‥‥痺れる感覚は恐ろしいからな。
「そういう訳で2人だけど行くか?マリア」
「ぜ、是非!!」
「お、おう。じゃっ、行ってくるな」
「行ってらっしゃい」
道具屋の前で別れる。優は宿屋で夕飯の準備に、俺とマリアはフィールドダンジョンで狩りに。途中、武器屋に行って「鋼の剛剣」を一本購入して「サクト村」を出た。
「おお、ここが「サクト村」のフィールドダンジョンか‥‥‥岩、岩、岩。こりゃ、硬いモンスターが湧きそうだな‥‥‥」
「ああ、「ゲイル」が懐かしいですわ‥‥‥あそこのフィールドはほとんどが水辺で綺麗でしたのに」
「確かにあれは綺麗だったな。その所為で俺は水辺のモンスターが嫌いになりかけたけどな」
苦笑いしながら嫌な記憶を思い出す。歩いていたら近くの湖や川に足を掴まれて引きづられるのだ。しかも、奴らは「隠蔽」スキルを使用しているかのごとく俺の「索敵」の効力をくぐり抜けて襲いかかってくる。
それにその隠蔽力が高いのが実に悔しい。「索敵」で発見できずに危うく溺れるはめになった俺を何とか助けだした2人の目が冷たかったのだ。「使えねえな」と‥‥‥いや、実際にはそんなことを思っていないはず‥‥‥う~、おのれ水場のモンスター共。次、会ったときは「索敵」で見つけ出して瞬殺してやる!
己の心にそう誓って俺は、俺ら2人は「サクト村」のフィールドダンジョン。「恐怖の岩場」に足を踏み入れ行った。
読んでくださってありがとうございます。2章の2話目です。今回は、いや今回も説明回になってしまった気がします‥‥‥でも、次は戦闘が入るので大丈夫なはず!
実は先日にご感想をいただきました。本当にありがとうございます。自分がまだ未熟なのを強く実感しました。誤字が多くかなり読みにくかったと思います。すいません‥‥‥ですが、一気にモチベーションが上がったの確かです。
私に書いた作品が多くの人(自分的)に見てくださっていると感じ、今のテンションはマックスを超えています。
できれば、このテンションのまま2章を完結させたいのですが、私は学生なもんでテストや学校行事その他もろもろがあります。11月に2学期末のテストがあるので、取り敢えず今日と明日、そして明後日の月曜日を投稿し終わったら1週に一度の更新が11月半ばまで続きます。ストレス発散で土日には2話ほど投稿しそうですが(笑)
それではあとがきはこの辺で、改めて読者の皆様には感謝を!「ありがとうございます!!」




