「片手剣」
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「優!援護頼む」
「わかった」
「私たちはどうすればいいですか?」
「マリアさんはポチと分かれて側面と背後から攻撃だ。ツルのほとんどは俺で何とかするから、ひたすら大ダメージを与え続けてくれ」
「はい!」
ボス部屋の目の前にいるボスモンスターは食虫モンスター「ペネット」を巨大化し、ツルの本数を増やしたようなモンスターの「ぺネラント」だ。
だが、巨大化してるだけでなく表示されているHPの量がチートじみている。通常のモンスターが1本に対して4本もHPバーが浮いている。正直言って倒せる気がしない・・・
「閉ざされた沼地」にいた「ゴースブラックナイト」でもHPバーは一本・・・これはかなりの長期戦になりそうだ。
「じゃあ、行くぞ・・・3、2、1、GO!」
掛け声とともに俺が前進し、ポチに乗ったマリアが右側から高速で移動していく。優は杖を装備して入口から数m移動して、早速魔法の詠唱を始めている。
スピードを緩めずに背中の「ロングソード」を抜刀し、剣技「ワインド」を発動させ接近する前に一撃を加える。
「hkshhdbdskydsxvcwhqhyn」
謎の鳴き声を発して、左右合わせ100本近くあるツルで連続の叩きつけを始める。どうやら、初撃から重い一撃を食らわせられたお陰でこちらに狙いをさざめているようだ。そのツルを最低限の動きをして躱していく。
今となっては「跳躍」スキルも30の中間のLVに達している。その補正も利用してバックステップやサイドステップを多才に使い分け、まさに紙一重で躱す。
だが、俺の手の50倍ほどある攻撃の手を完全に躱せるはずがない・・・その攻撃は右手に持っている「ロングソード」でなんとか弾き変えす。
でも、優と違い「武器防御」のスキルを持っていない俺は「ぺネラント」の高い攻撃威力のために発生する貫通ダメージにとても、少ないとは言えないダメージを浴びてしまう。「チッ」っと舌を鳴らし後方へ大きく飛ぶ。
「一撃が重すぎるだろ・・・コンノ!」
自分の視界の端に映るHPバーを確認すると、あの貫通ダメージだけでHP残量は8割を切っていた。続けざまに「ぺネラント」の4本のHPを見るが、目に見えるほど減っていなかった。
「和也!一発行くよ!!」
後方からの叫び声に身を低くしながら駆け始める。その瞬間に俺の背後から鳥の形をとった燃え盛る炎が文字通り、飛翔してきた。その炎の鳥はまるで生きているかでもいうかのように羽ばたきながら、俺の背中の上を通っていく。
そして、勢いを止めずに「ぺネラント」へと突っ込む。途端に火に包まれるが「ぺネラント」は苦しみにもがくように暴れだした。今まではほとんど同じパターンでのツル攻撃であったが、炎の塊を食らった攻撃はパターンなど微塵もなかった。100本ものツルを四方八方に無茶苦茶に振り回していた。
「くっ・・・ハッ!?」
全くパターンの読めない攻撃に進行を止めてしまうと、1本のツルが俺の頭上から振り下ろされる。
「(これは避けきれないぞ!?こうなったら!)」
瞬時に肩の力を抜き、「ロングソード」の刃を床へ付けると青のエフェクトをが真上へと放たれた。そのエフェクトは剣技・・・「ディップス」だ。
「剣士」が20LVの時に習得した前方から真上へかけての攻撃。今までの「スラッシュ」、「ワインド」、「ギアス」とは違う、スピードと反動がバカみたいな剣技。
「ディップス」による青の斬撃は上から襲う「ぺネラント」の強力なツル攻撃に対抗するようにぶつかり合う。しかし、こちらの剣より数倍もの太さを持つツルにスピードの特化した「ディップス」は力負けする。・・・だが、それも計算内。
強力な叩きつけ攻撃に押しつぶされる前に反動により俺の体は真横へ吹っ飛ぶ!「シュッパ~ン」と空気が叩きつける音と同時に俺の耳には「シュー」っと風の切る音が届く。それもそのはずかなりの速さで俺も吹き飛ばされたのだから。
強烈な反動によって飛ばされた俺の体はそのまま地面を無様に転がってしまい、体の隅々で打撲したような感覚に襲われる。さらに、そのダメージによってHPも少なからず減ってしまい、残り4割のところでやっと止まる。
「あ、危ね~」
HPの減少が止まったことに安堵しつつも、次の攻撃をと頭を働かせる。まず、俺たち剣士の攻撃はほとんどダメージを与えきれていなかった。
始まったそばから俺は「ワインド」を叩き込み、引きつけているあいだにマリアさんとポチで猛攻撃を仕掛けていたのだそれでも減ったのは1本のHPバーの5分の1。だが、優の魔法による攻撃では1本目を残りわずかにすることができた。
まぁ、その後暴れだすといういらないプレゼント付きだが・・・とにかくこの攻略は優が重要なアタッカーになるわけだ。これは優の詠唱が終わるまで俺、マリアさん、ポチで防御に徹するべきか?
でも、「ぺネラント」のツルの叩きつけは強力すぎて防ぎきれる自信がないのも事実・・・ここはこのまま前線でやりあうべきか。
そう決めて、実体化させた回復ポーションを飲みきりHPを回復させる。全快させることはできないが数秒後には「自動回復」により満タンになるため問題ない。
再び走りだし、今マリアさんをターゲットにその100本のツルを振り回している「ぺネラント」の側面へジャンプし「ギアス」の重い縦切りを仕掛ける。
「ドスッ」ー先ほどとは違う、重撃に怯んだかのように「ぺネラント」はマリアさんへの攻撃がストップする。その隙にポチが背後に周り、体当たり!
巨大な植物は突然の後ろからの衝撃に対処できるはずもなく、ぶっ飛んで行き壁へぶち当たる。さらに追い討ちをかけるように詠唱の完成された優の魔法。
先ほどと同じ火の炎が「ぺネラント」を燃やす。そこへポチから発射された黒い炎も一体化し、まるで地獄のような業火に「ぺネラント」は焼かれる。
「rwdgrfhjbxvzdwkmjkhvxbzsqwhgdj!!!!!!!!!!!!」
最初とは迫力も音も違う、叫び声・・・いや、咆哮が部屋中を振動させた。それと共に暴れだし、近くに壁と松明は破壊されていく。
「なんて声だよ!?やかましいわ!!」
「和也さん。吠えてもしょうがないですわ・・・ですが、やっと2本目に入りましたわね」
「ああ、今と同じ動きで追い詰めていくぞ!」
未だに暴れている「ぺネラント」を一睨みして、まだ暴走が収まることがないと確認するとせっせとアイテムウインドウを開く、その中にはこの「ボスの塔」での戦利品の数々、テントや研磨セットなどなど入っているがそれだけではない。
俺のひみつ道具といっても良い、ドーピング効果のある木の実等々があるのだ。
その中で、一時的に攻撃力・防御力・俊敏力を底上げできる木の実をそれぞれ2つずつ実体化させ、3種類の木のみを1つずつマリアさんに投げる。
「ど、どうしたのですか?これは・・・」
「俺のひみつ道具のドーピングアイテムだ。これでステータスを底上げできる。この木の実の効果時間は約1分。そして、優の詠唱時間が約2分。初めの一分は攻撃と俊敏力を上げる赤と緑の実。最後の一分は防御を上げる青色のみを飲み込んで!これで、2分比較的安全に稼げる!」
「は、はい!」
早口で説明して、赤と緑の木の実を素早く飲み込む。それに続き、マリアさんも飲み込む。とたんに俺たち二人のHPバーの隣にはドーピングの状態を指す↑のマークが赤と緑。それぞれが立ち、パワーアップしていることを知らせる。
「行くぞ!」
「分かりましたわ!!」
やっと、暴走の収まった「ぺネラント」に向かい特攻を仕掛ける。それを阻むように次々とツルが襲いかかってくるが俊敏力が上がった俺はその攻撃を余裕で回避していく。そして、躱しざまにそのツルに斬りかかる。
マリアさんの方はポチに乗り、もともと俊敏力がずば抜けているが躱せないものに対しては爪や牙で無力化するという力技もしていた。そして、その後きっちりと重い斬撃を食らわせるマリア。ポチはさらに小さいながらも黒い炎の塊を連射していた。
その攻撃は少しずつだが着実にダメージが与えられていく。3本目のHPは半分に達し、徐々にだが「ぺネラント」の攻撃も段々と緩くなった気がする。
何回目かわからない攻撃のやり取りに「ぺネラント」のツルは一瞬動きが止まった。ツルとツルの間に隙間ができる。
「そこだ!!」
限界まで足を動かし、中心にいる「ぺネラント」本体に「ワインド」を繰り出す。攻撃は見事にヒットする。さらに、「スラッシュ」も発動させ大きなダメージを与えていく。しかし、「ぺネラント」は止まったままではなかった。
中心にいる俺を正確にツルが襲いかかる。その攻撃にいち早く気づき回避行動をとり始める。動きは最低限、そして可能な限り早く!そんな俺を助けるかのように黒い塊が「ぺネラント」にぶつかっていく。ポチの炎だ。それで少し攻撃の雨が弱まる。
長居するのは危険だと判断し、「ディップス」をさっきと同じように使用する。大雑把で危険な行為だがこれしか緊急の脱出手段がないのだ。しょうがない・・・
「だ、大丈夫ですか!?」
「ああ、ゴッホ・・・も、問題ない。もう、木の実の効果は切れたか」
目の端でHPバーを視界で捉えるとすっかりドーピング効果は失われていた。次は防衛戦か・・・
「次、行くぞ!」
「は、はい。・・・でも、お体大丈夫ですか?」
「大丈夫さ・・・なんとしても、俺が踏ん張らないと」
そう言って栓を抜いた回復ポーションを木の実とともに飲み込む。そして、前線へと戻る!
「ック・・・たっ!!」
ツルによる攻撃を次々と弾き返し、徹底的に防衛し続ける。なんとか防御力を底上げしているため貫通ダメージを食らっても、ほとんどダメージを食らわないようになっていた。それでも、直接あたってしまえば大ダメージは確定だから休まずに剣を握っている腕を振るわなければならなかった。
そのやり取りが感覚的には数十分続き・・・やっとその時が来た!
「マリア!和也!行くよっ!!」
優からの退却命令に素早く従い、安全な距離までバックステップで下がっていく。十分な距離がとられると優は今日3回目になる炎の鳥を出す!炎の鳥はやはり迫力が凄まじい・・・なにもかもを燃やし尽くしてしまうかのようなプレッシャーを放っている。
次の瞬間には「ぺネラント」に激突し、再び炎に包まれる。そしてポチからの黒い炎の集中砲火を食らってダメージが一気に1本半ゴッソリと減る。
今までと比べかなりの範囲でツルが暴れ、もはや部屋はぐちゃぐちゃだ。ここがゲームでなければこの城・・・もとい、この部屋は崩壊しているだろう。冷静にこの状況を見ていると、俺の目の前にも何かのウインドウが浮かび上がっていた。
「剣士」LV30に伴い、スキル派生が発生いたします。
「こ、これは・・・なるほど、これで一気に責められる」
「剣士」のスキルから派生リストを見ると、様々なスキルがあった。だが、もともと俺の選ぶスキルは決まっている・・・「片手剣」だ!
迷わずそれをタッチしてスキルを習得する。一旦目を閉じ、再び開ける・・・そして走り出す!!
「ぺネラント」の暴走は既に終わっていた。まだ、立っているがそれも若干フラフラしているように見える。もうちょっとだ!
「マリア!少し、俺に任せてくれ!!」
「は、はい!」
マリアさんの返事を聞かない間に素早く駆け上がり、襲いかかってくるツルは凪は払う!そして、「ワインド」!!ぶち当たりダメージがかなり減っていく・・・何故か、与えるダメージが多くなっていた。一体なぜか・・・?
そんなことを思うが、特に気にしないでさらに「スラッシュ」で斬る!そして、「ディップス」を使って距離を大きくとって今度はうまく着地する。そして、また走りだし今度は大きくジャンプをする。重力の力を借りて「ギアス」を頭上から叩きつける・・・
この、猛攻撃で「ぺネラント」の残り1本だったHPバーは残り4分の1を切っていた・・・行けるぞ!!
「これで!どうだァァァァァアアアアアアアア!!!!!!!!」
剣を手にしている右腕を限界まで引き、解き放つ!その斬撃がまず、横一線に強烈な水平切りが赤いエフェクトとともにかけぬけ、その勢いが死なないままさらに軽くジャンプ。空中で体を半回転させて斜めから強烈な斬撃が通り抜ける。そして・・・
振り抜いた剣はまだ赤く光っていて・・・岩をも砕く力で思いっきり突く!!
「おsdhさぢlgcvdshcvぁいvgs、dvgfvgsしうk」
「終わりだ・・・」
「パッパ~ン」と砕け散る音を発し、「ぺネラント」は散っていった。
断末魔を無感情に聞くと途端に安心感と、疲れが襲ってきた。そのまま視界は暗転していった・・・
読んでくださってありがとうございます。今回はこの小説最長となる約5000字もの文章量でした・・・いつもは1500字を目安にやっているので書いていてとても長く感じました(笑)
でも、他の作者様方はこれよりも、書いているのだと思うと今まで以上に尊敬してしまいます・・・(本音です)
さて、今回はボス戦でした。なんか結局、和也たちで片付けてしまいましたが・・・まぁ、なにかあるのでご安心を?和也くんはとうとう、「剣士」30LVに達しスキル派生も可能になり「片手剣」となりました。これの説明はそのうち・・・(笑)
次回は6日です。もう少しで1章も終わり・・・長かった。1章だけで40話超するとは・・・とまあ、次回もよろしくお願いします!!
12年10月4日 修正しました。遅ってきた⇒襲ってきた
さらに最後の表現を変えました・・・若干ですが。




