2層目
「ここが2層目か・・・森だな」
「森だね・・・」
「森ですわね・・・」
2層へ続く階段を登った俺たちの目の前に広がったのは木々が生い茂る密林そのものだった。木のせいで日の光は地上まで届くことはなく、昼でもかなり暗かった。この密林のフィールドが1層の草原と同じ規模だと思うと頭が痛くなる。
「さて、どの方向へ進むか・・・」
2層の先人をきる俺たちは命令通りだとモンスターを出来るだけ多く倒していかなければならない。やれないこともない索敵スキルがあれば簡単に多くのモンスターと遭遇する場所へ誘導することができるからだ。
だが、俺はいい人でもなんでもないから態々自身が危険な目に合う必要はないし。今、俺の再優先事項はこのパーティー内の人間を死なせないことだけ・・・
2層めだから出てくるのは雑魚モンスターだけだが、モンスターの場合は質より数。囲まれればお仕舞いだ。
「私はいる方へ進んだほうがいいと思うよ」
「私も同じく」
「危ないぞ・・・」
「いいわよ。どうせ危ないし」
「変わらないですわ」
「・・・はぁ~、わかったよ。じゃあ、多い方に行くからな」
という訳であえてモンスターの多い方へ進むことになってしまった。
「だから、こっち側には来たくなかったんだ」
「しょうがないでしょ。倒しといたほうが低LVプレイヤーの安全が保証されるんだから」
「お前はお人好しすぎるんだ・・・その分こちらは忙しくなるんだよっ」
そう言って2層でのモンスター、ペネットの首の付け根を斬る。その一撃でペネットは力尽き消えていく。横目で消えたことを確認して「ワインド」の初動モーションに入る。直ぐに体は勝手に動き出し、4m程さきにいるペネット4体をなぎ払った。
「ピュ~♪、さすが和也。容赦ないね」
俺に向かって口笛を吹いて賞賛し、「容赦ない」と言ったくせにモンスターを切り刻んで言うのはどうかと思う。
「・・・はぁっ!」
と、マリアさんは俺たちに話しかける余裕もあまり無さそうに手に持っている剣と盾をうまく使ってモンスターたちを相手していた。
俺たちよりLVが低いためペースについて行くのは大変なのだろう。だが、もう少しで彼女も20LVを越すのだ。そうしたらこんな大群も楽に倒せるはずだ。
「終わったか・・・結構いたな~何体だ?」
「う~んと、後から来たのも合わせてざっと40体ほど」
「「40体!?」」
なんと襲ってきたペネットの大群はまさかの40体・・・いくら相手のモンスターがさほど強くないといってもこれほどの数を相手にしたらHPより精神的に持たない。これをしばらくやり続けると思うと頭が痛くなる。
「流石に疲れたな・・・昼食がてら休まないか?」
「さ、賛成ですわ・・・はぁはぁ」
「そうね。休みましょうか」
俺が近くの木々が開いた場所を探しそこへ行き、腰を下ろす。数時間ぶりに座ってみると足にどっと疲れが溜まっていく。
そんな俺なんかを構わずに優とマリアさんはせっせと昼食の準備を始めた。鍋やフライパン、食材やその他調味料(この前食材探しに行った時の実をすり潰したり液体にしたものだ)を次々と取り出し、魔法を使って火を起こしたり水を出したりする。
「(魔法って便利だな~)」
つくづく、そう思った。「お前はそんなにサボっていていいのか」と頭の中で聞こえるが、逆に問おう!手伝ったら災害になりかねないほど家事のできない人間が手伝ってもいいのか・・・
どうだ?それでも、俺にこの二人の手助けをしろと言うのか?
そんな中二人は手際良く料理を進めていた。お嬢様のようでまるで料理がダメそうなマリアさんが手伝っているのを見ると、案外お嬢様が家事が出来ないと思うのは偏見かな~っと思ってしまうほど素早く仕事をこなしていた。
優の方は初対面の印象が「ズバリッ、大和撫子だ!」っと思っていたのだが料理の面ではそうであった。それ以外では大和撫子でもなんでもなく、やんちゃで好奇心があり過ぎる女の子だったわけだが・・・
俺の思っていることなんか知らず、二人の少女たちは昼食の準備をしていた。




