閉ざされた沼地~宝箱
目が覚めるとそこはいつも起きている宿の天井ではなかった。薄い皮には日が透け日光がほどよく俺の顔尾を照らした。
「そういやぁ。ここテントか・・・」
昨日、まさかのフィールドダンジョンでの野宿を果たした。なぜだって?優に聞いて欲しいものだ。背伸びしたりしながらテントの外へ顔を出す。すると、うまそうな匂いが俺の鼻をくすぐった。
「おはよ~和也。朝食できてるよ」
「お、おはよう」
まるで夫婦のような会話になぜか緊張しつつ、挨拶を返す。朝食は昨日の夕食よりはマシな肉の入ったスープ、そしてクソ硬い黒コッペパンだ。
それをスープに漬けながら食べ、その硬さを誤魔化していたが味はとても美味しかった。食べ終わった俺たちは優の魔法で出した水を使い顔を洗ったりした。その後テントなども片付け、出発の準備をした。
「そういや、もう帰るってことでいいんだよな?」
「え、まさか。面白そうなものを探し出すまでずっと野宿だよ」
「はぁ!?」
思わず声が上ずってしまった。まさか、あれだけ探しても見つからずしいてはこの野宿の原因となった探索をまだ続けるのか?
「もう、いいだろ?帰ろうぜ・・・見つかるかも分かんないし」
「私は1%でも可能性があるならそれに賭ける!!」
「格好良いセリフを言ったてダメだぞ?99%は見つかんないんだろ帰るぞ」
俺より頭一つ分小さい優を担ぎ歩き出す。
「いや、もしかしたら60%位あるかもしれない」
「じゃあ、40%は見つかんないな」
ボコボコ殴ってくる優を無視して来た道を引き返す。普通は忘れてそうなのだがここで「索敵」が役に立った。新しく使えるようになった「足跡判別」自分の足跡とそのパーティーの足跡が目で見えるようになるのだ。これで迷うことなく引き返すことができる。いいスキルを選んだ・・・
「いい加減暴れるなよ・・・大人しくしろって」
いつまでも暴れている優に向かって言う。だが、優は顔を背け「ツーン」と無視する。子供っぽすぎる姿に苦笑いしながら歩み続ける。
「あっ!」
「ギクッ!」と俺の背筋が凍った・・・嫌な予感しかしない。こいつの「あっ!」は死亡フラグが立ちまくっている。よし、スルーしていこう!!GJ俺!
「無視、無視、無視、無視・・・・・・・・」
呪いのように連呼し続け、軽く走り出す。でも、肩が軽くなっていた。「ヤベ~」振り向くと優がアッカンベーをしてやっとの思いで戻ってきた道を全力で逆走していく。
「お、おい!」
俺も追いかける。優は以外に足も早く追いつくのは大変だった。そして、いきなり止まった。肩ごしからそれを見ると・・・洞窟?
沼の端に堂々と構えるそれは昨日の遺跡と同じような雰囲気を放っていた。これは昨日と同じようなことになるな、よし説得していち早く帰ろう!
「優。昨日のでもう懲りただろ?・・・ってなんでそんなに目が輝いている!?」
「だって、昨夜まで追いかけてきた面白いものの発見だよ!これは探索するしかないでしょ!!」
ハイテンション乙。やめてくれ、ノイローゼで倒れちゃうよ・・・マジで。
「いや、遺跡のこともあったし帰ろうぜ?しかも、あんな激戦したのにドロップしたの回復石と各種ポーションとかだったんだぜ?あんなの詐欺だ!それに命かけるなんて馬鹿げてるだろっ!」
そうなのだ。遺跡のボス「ゴースブラックナイト」がドロップしたアイテムは超いいアイテムや格好良い、もしくはスゲー性能のいい武器でもない。ただの回復系アイテム・・・あの二の前は嫌だ。
「あれは偶然だって。しかも、二人で倒せるくらいのボスからのドロップなんて期待するのが間違ってるよ。だから、行こう!」
「どうしてそれにつながるんだ!!」
「目指すは宝箱だ!!こういう感じの洞窟には絶対あるから!!」
そう言うと優はどんどん洞窟の中へお邪魔していった・・・アイツなんでこういう時にキャラが変わってるんだ?「ハァ~」っといつもながらため息を空に吸い取られ、ここに置いてくわけにもいかないため俺も結局入ってしまうのだった。
洞窟の中は案外いいものであった遺跡みたいに結構強い相手でもなかったし、丁度いいモンスターだ。出現するモンスターの傾向は昆虫系だ。デッカイアリだったり、デッカイ蜘蛛だったり・・・名前はいつもの通りそのまま。「ビッグアント」と「ビッグスパイダー」・・・このゲームの製作者のネーミングセンスを疑いたくなる。まぁ、この散策は特に危険なこともなく比較的安全にそして順調に進んでいった・・・
洞窟に入ってから数時間。とうとう、最深部に到達しようとしていた。
「案外簡単なダンジョンだったわね」
「いやいや、昨日と比べれば確かに簡単な方だけど適正レベルが丁度同じくらいだろ?」
「お、見えてきた最深部だよ」
そこは大きく開いた場所だった。その空間は青黒く鈍く輝いた一般人が購入する一軒家ぐらいの大きさであった。
「ん?なんかあるな」
「どこ?」
俺が指を指し発見した物に向ける。薄暗くてよく見えないが箱のようなものだった。
「「箱?」」
「ま、まさかあれは・・・私が追い求めてきた宝箱!」
「何かありそうだな・・・開けたらめっちゃモンスターが湧いてきたり」
「フラグ建築乙です!和也・・・立てちゃいけない」
し、仕舞った。まさかフラグを立ててしまうとは・・・くそっ、バッドエンドしか見えない。死亡フラグじゃねえか!!
膝と手を地面に着け落ち込んでいる俺に「ふざけてないで行くわよ!!」と嫌な要素満載の宝箱?を開けるためにそこへ向かっていった。
読んでくださってありがとうございます。作中ではゲーム制作者側にネーミングセンスがないことになっていますが実際には私のせいでございます。申し訳ないです。モンスターのアイデアも乏しくなかなか困っております。いいアイデアがあれば感想とともに送って頂ければ大変嬉しいです。よろしくお願いします。
12年9月8日(土)誤字を修正しました。
デッカイ雲⇒デッカイ蜘蛛、やっとの思い出⇒やっとの思いで




