28話
ギルドに入り掲示板を覗く。もちろん見るのはB-ランク以上の物だ。
正直そうしないと金が足りん!
貯金は、宿代や移動のための食料、衣類、そしてサイディッシュの値段で3分の1以下にまでなってしまう。
サイディッシュの値段を差し引けば、ギルドの口座に残ってるのは40万チップぐらいか。冒険者だといつ大金がいるようになるかわかんねぇし、いつ働けなくなるかも分からねぇ。だから稼げるときに稼いでおきたいんだよな。
「依頼はっと」
さすがB-ランク。依頼料は結構高いな。平均で50万チップぐらいある。それに魔物を倒せば素材が割高で売れるんだから、スイートにも泊まれるはずだわ。
それにしても依頼数が全体的に少ない。Aランクの依頼など5件程度しか張られていない。しかも、その内4つが討伐系だ。
B-でも30件程度。その大半が討伐系だ。採取系もあることはあるが、かなり遠くの山に行ったり、非常に希少な植物だったりと、時間のかかるものが多そうだ。
手っ取り早く金が欲しい俺としてはやっぱ討伐系かね?
フェリールみたいなのいないかな?
2等星級の魔物を倒すのは依頼料が高い。それに素材も高く売れるのだ。フェリールの時はそのまま置いて来ちまったけど、今度はそんなもったいない事しねぇぞ。
どれにしようかと掲示板とにらめっこをしていると、いきなり声を掛けられた。
「坊主、Bランクの依頼はお前には早いんじゃないか?」
「んあ?」
顔を向けると、そこにはおっさんがいた。たっぷりと口髭を蓄えた、クマのようなおっさんだ。2メートルぐらいあるんじゃねぇか?
「坊主はどう見てもBランクの依頼を受けれるようには思えねぇよ。どうせ最近登録したばっかなんだろ? おとなしくFかEの依頼でも受けな。初心者は採取系の依頼を受けると良いぜ」
おっさんは優しく教えてくれてるんだろうけど、今の俺には完全に余計なお世話になっちまってるんだよな。頭をガシガシと掻きおっさんに向き直る。
まあ、優しく接してくる人にはそれなりの礼儀で対応するけどな。
「心配無用だぜおっさん。こう見えてもB-は持ってるからな」
「なに?」
疑り深い視線を投げかけてきたから、ギルドカードを見せてそのランクを示す。
「こりゃ驚いたな。まだガキなのにB-ランクか!」
「ハハ、こう見えても16だぜ」
「十分異常だぞ! まあ、そういうことなら大丈夫なのか? よく見りゃ変な形の武器も持ってるみたいだしな」
まあ、常識を捨てた塊ですからね! 問題なんて噂ぐらいしかない訳ですよ。
「じゃ、そういうことで俺は依頼を受けに行くぜ」
「おう、邪魔して悪かったな」
「いいって事よ。善意の忠告は歓迎だ」
1枚の依頼書を掲示板から剥がし受付に向かう。
受付は、たまたま1つだけ開いていた受付があったからそこに入った。
「依頼受けたいんだけどいい?」
「こんにちは。あら、昨日完了報告をした方じゃないですか。昨日の今日でもう依頼を?」
受付嬢は、昨日依頼の完了報告をした受付嬢だった。
やっぱり俺のことを覚えていた。てか、ギルドの受付嬢って記憶力良すぎじゃね? サリナと言い、ハルちゃんと言い、1度だけしかあってない相手の事しっかり覚えすぎたって。1日何人の冒険者の受付してるんだよ。
「まあ、ちょっと武器買ったら金がね」
「その武器ですか?」
「そう、オリジナルだってさ。まあいい感じに使えるから買ったんだけど結構高かったんだよね」
それでもだいぶ負けてもらったけどな。
「失礼ですが、いくらしたんですか?」
「80万チップ。この後払いに行くから引き出しもお願いね」
「あ、はい。分かりました。では最初に引き出ししますね。金額が金額なので、準備している間に依頼の受理を行いますので」
「お願い」
ギルドカードを渡して引き出しの申請を行う。
と、言ってもカードを機械に刺して、引き出したい金額を入力。準備ができたら受付嬢がギルドの金庫から取りに行くだけなんだけどな。
「はい、申請は行いましたので、依頼を確認させていただきますね」
「よろしく」
「えっと、依頼は――」
俺が選んだ依頼。それは2等星級の魔物の討伐依頼だ。成功報酬は70万チップ。この町から2日ほど行った村の近くにその魔物が出て困っているのだとか。今は被害が出てないらしいけど、いつ被害が出るのか分からない状況らしい。
依頼の張り出しから少し時間がたってたし、もしかしたらすでに被害が出ているかもしれない。
「カルートの討伐……」
受付嬢は、依頼書に書かれたその魔物の名前を見て難しい顔をする。フェリールの時と似たような感じだな。まあ、前とは違って今はB-ランクだからあの時ほどひどくは無いけど、悩んでるみたいかな?
「問題ないぜ。1等星の加護もあるし、新しい武器も手に入れたからな」
「カルートの特徴はご存じで?」
「知らね」
だって今から調べるし。
「カルートは鳥獣の魔物の中でも特に大きな、怪鳥に部類される魔物です。魔法使いが最低でも3人以上必要な依頼ですよ?」
鳥獣型だったのか。魔法使いが必要ってことは、飛んでるこいつを落とさないといけない訳かね?
そうすると今回も風魔法が使えるか。まあ、効果が届けばの話だけどな。とりあえず依頼が出されるってことは人に危害を出すって事だろうし、人に危害を出すには地面近くまで降りてこないといけない訳だ。その時を狙えば問題ねぇだろ。
カルートの攻略に関して考えていたせいで、受付嬢のことをすっかり忘れていた。
「あの、やっぱりやめておきますか?」
「あ、ああ、ごめんごめん。受けるぜ」
「はい、では……え?」
「だから受けるぜ、その依頼」
「失敗しますよ? いくらB-のランクであっても、この依頼の成功率は、ほぼ0だと思います」
「大丈夫だぜ。攻略方法は一応考えてあるからな」
「今の今まで、カルートがどういった魔物かも知らなかったのにですか?」
おおう、受付嬢のジト目が心に来るぜ。その上目使いは反則だと思います!
「問題ない! 失敗したらちゃんと違約金は払うさ」
「そういう心配はしてないんですが……分かりました。依頼を受領します」
「あんがと。そうだ、お姉さん名前なんて言うの?」
「食事の誘いは受け付けませんよ?」
なんか即答で返された。そういうつもりじゃないんだけどな……まあ、お姉さん美人だし、やっぱそういうのが多いのかね?
「ハハ、違う違う。依頼を受けさせてくれた優しいお姉さんの名前が知りたいだけだよ。あと敬語とかも抜きで良いぜ」
キクリのギルドではせっかく2人の受付嬢と知り合ったんだ。これからしばらく王都にいるつもりだし、やっぱりギルドの受付嬢とは仲良くしておきたいよな。
もしかしたらいい情報が入ってくるかもしれないしな。
そんな打算的な考えも含めながら名前を聞いた。
「そういうことならいいかな。ナージュよ。平民だから苗字は無いわ」
「そっか、よろしくなナージュ」
「違約金で借金にならなければよろしくね。じゃあ、そろそろ準備できたと思うからお金をとって来るわね」
やっぱギルドの受付嬢はしっかりしてんな。
「よろしく」
ナージュが持ってきた袋はずっしりと重かった。さすがは1万チップ硬貨80枚……
枚数を確認するのも一苦労な枚数だ。
俺が1枚1枚数えようとしていたら、ナージュが溝の掘られた板のようなものを貸してくれた。この溝に硬貨をはめ込んで、目印の付いている所まででちょうど10枚になるようにできているらしい。
こんな便利なもんがあるなら最初から出してくれりゃいいのにな!
それを使って、比べ物にならない速さでカウントを終える。枚数はきっちり80枚あった。
「うし、じゃあ俺はこれで行くぜ」
「はい、ご活躍をお祈りします」
ナージュに見送られながら俺はギルドを出た。
桃花と言う冒険者を見送った後、ナージュの顔には不安が浮かんでいた。
ナージュは15の時に受付嬢を始めてから伊達に10年も受付嬢をやってきた訳じゃない。その経験から一目見ればその冒険者がどれほどの実力か分かるようになっていた。
その勘は桃花のことを大丈夫だと告げている。だが、常識的に考えれば1人でカルートの討伐などできるはずがないのだ。
桃花自身は何か策があるようなことを言っていたが、相手は2等星級の魔物。策程度でどうにかなる相手でもない。策を潰してその上で蹂躙する。2等星級とはそういう相手だ。
その事がナージュの表情に不安の影を落とさせていた。そこに新たな冒険者が近づいてくる。
ナージュは10年で培った笑顔をとっさに作り冒険者を出迎えた。
「こんにちは。どのようなご用件でしょう?」
「さっきの坊主、随分揉めてるみたいだったな」
「ザイクスさん」
受付に来たのは、先ほど掲示板の所でトーカに声をかけた大柄の男だった。
「どんな依頼を受けたんだ?」
「えっと……」
依頼の内容を言っていいものかと悩むナージュ。基本的に依頼の内容を他人に教えることは構わないが、今回はその内容が内容だ。
「どうかしたのか?」
珍しく言いよどむナージュにいぶかしげな顔を向けるザイクス。
ザイクスは王都を拠点にしているベテランの冒険者だ。それゆえナージュとの付き合いも長い。だからこそ、そのナージュの表情に何かを感じ取ることは簡単だった。
「言ってみろ。何か解決できるかもしれんぞ?」
「そうですね。先ほどの冒険者、トーカさんの受けた依頼はカルートの討伐です」
「カルートだと!?」
ザイクスの声が常に喧騒で満ちているギルドに響き渡った。
その声に反応して、ギルド内にいた冒険者の視線が2人に集まる。
「ザイクスさん! 声大きいです!」
「おっと、すまん……しかしカルートの討伐だと? ならばチームで受けたのか? チームを組んでいるようには見えなかったが?」
「はい、単独での受理です。私も受けさせるべきか悩んだんですが、トーカさんのランクと表情、そして私の勘で受けても大丈夫だと思い、受理しました」
B-になれる冒険者は、本当の実力を持っている。そして数々の危険を潜り抜けてきた冒険者たちは皆、自分の命に係わることだと、とても敏感になる。
カルート討伐と言う、命に直結する依頼を単独で受け、尚且つあれほどの自信を持てるのは、必勝法が無い限り無理なはずなのだ。
「ナージュの勘が大丈夫だと言うのか……俄かには信じられんな」
「私も自分の勘が狂ったんじゃないかと思って……」
「それであの表情か」
「はい。それにしても、ザイクスさんが仲間以外の冒険者の方に興味を持つなんて珍しいですね。いつもは仲間にして欲しいと言ってくる人たちも指であしらうだけなのに」
「あの坊主は儂も少し気になってな。計り知れんものを持っとる気がしたんだが、そのあたりはナージュの勘と似たようなもんだ」
「そういうことでしたか……」
ザイクスと話して、ナージュに1つの提案が浮かんだ。
「ザイクスさん、チームで依頼を受けてみる気ありませんか?」
「依頼?」
ザイクスは少し前に依頼から帰ってきたところであり、依頼を何も受けていない状態だ。
そして桃花のことを気にしているザイクスだからこそ受けてもらえると思った依頼である。
「はい、私個人からの依頼で、内容は冒険者トーカの観察です」
「ふむ、坊主の観察か。面白そうな依頼だが、チームにする必要はあるのか? それに儂のチームを動かすとなると高いぞ?」
「トーカさんの受けた依頼はカルートの討伐ですから、何かあった場合にはザイクスさんのチームじゃないと対応できないと思われます。料金は私のお給料をなめてもらっては困りますよ。彼氏もできず、遊びに行く時間もあまりない受付の仕事なんて、貯金がたまるばっかりなんですから!」
ナージュは自分で言っておきながら、その瞳に涙があふれ出るのを感じた。
「分かったから涙目になるな! 儂にすがるな! 鼻水が付くわ! 今度いい男でも紹介してやる」
「冒険者は嫌ですよ」
「冒険者を目の前にそんなこと言われると、さすがの儂も傷つくぞ……」
両者に浅からぬダメージを与えて、依頼はAランクチームパーティー・ハイドランジアが受理した。
ナージュに見送られギルドを出た俺は、そのままの足でバスカールの店へ行く。
バスカールの店は昨日と同じく、人がいない。奇抜なものを作っているせいで人が離れて行ったのだとか。王都にはここのほかに2件の鍛冶屋があるらしく、そっちは正当派の武器を作ってるんだと。
俺には合わねぇだろうな!
「バスカール、いるか?」
「ああ、トーカじゃないか!」
「金持ってきたぜ」
「ありがとう、こっちに置いてくれ」
言われた通りにテーブルの上に置く。バスカールはギルドで見たものと同じ板を持ってきてその場で枚数を数え始めた。
俺はその間に、剣を見て回る。
置かれてるのはどれも普通の剣っぽいんだよな。どれも粗悪とは思えないし、なんで人が離れてくかね? 趣味で好きなもん作るぐらいいいと思うんだけど。
「確認したよ。たしかに80枚。ちゃんと受け取った」
「おう、ならよかった」
「そういえばサイディッシュ使ってみた? って昨日の今日でそれは無いか」
「いや、脅しと殺しで2回つかったぜ」
「もう!? それで感触は?」
起こった事象よりも、武器の感想の方が興味が強いらしい。まあ、自分の武器がどういう風に思われるのかってのは気になるよな。
「脅し目的は完璧だな。鎌型の威圧感は半端ないわ」
「そりゃよかった!」
「斧型もまあまあ良かったぜ。切れ味は良いし、威力もある。しいて言うなら両刃じゃないのが残念かね?」
「両刃じゃないのが?」
暗殺者を倒す際、片刃だったために最初の一撃で2人しか殺せなかった。あれがもし両刃になっていたらもう1人殺せていたと思う。
最善を尽くすなら、1度の振りでより多くの敵を殺せるのに越したことは無い。
だから俺は、鎌の外側にも刃をつけることを提案した。
てか、これ刃を回転させてチェーンソーみたいに出来ねぇかな? そうすりゃあ殺傷力は今までの比じゃなくなるんだけど。
この後、カラリスに聞いてみてもいいかも知んないな。
「鎌の外側にも刃か。なるほどね。確かにそれならバトルアックスとしての使い方もできそうだ」
新たな改造計画を頭の中で企画しつつも、とりあえず今の改造計画を進める。
「そうなんだよ。片刃だとどうしても動きが偏りがちでさ。相手に読まれる可能性もあんのよ。1撃の後の隙が大きいから、そういう不安要素はなるべく潰しておきたい」
そもそも振り回し始めたら地面に突き刺すまで止められないような武器だ。隙が大きいなんてもんじゃない。
「わかった。鎌は稼働式にするために取り外しができるようになっているんだ。今から外側にも刃がある鎌の部分を作ってみるから、できたら取り替えるって形で良いかな?」
「どれぐらいかかりそう?」
「1週間……いや、5日で仕上げるよ」
「了解。期待してるぜ。金は?」
「鎌の部分だけなら10万チップで何とかなると思うよ」
「なら問題なさそうだな」
さっき受けてきた依頼を成功させれば余裕でおつりが来る。
「なら後は任せたぜ。俺は金稼ぎしてくる」
「ああ、期待して稼いできてくれ」
鍛冶屋を出たら、行くべき場所は一直線に魔法道具屋だ。チェーンソーと似たような道具がないか、はたまたそれに応用できそうな技術はないかと探しに行く。
改良なんて生ぬるい。どうせやるなら魔改造! 混沌としたカオスの化身になるまでサイディッシュを改造しまくってやるぜ!
初めてのおもちゃを手に入れたかのような気分で、俺は魔法道具屋に飛び込んだ。
「カラリス! いるか!?」
「あれ、トーカさん?」
「よう! ちょっと頼みたいことがあって来たぜ!」
突然飛び込んできた俺に目を丸くするカラリスを無視して、そばに歩み寄る。
そしてカラリスの手をつかみ、まっすぐに顔を見つめる。
「ど、どど、どうしたんですか!? 急に!」
「カラリス――」
「な、なんですか!?」
「魔法道具の仕組みを教えてくれ!」
「……はい?」
「だーかーらー、魔法道具の仕組みを教えて欲しいの!」
「えっと何でですか?」
「そりゃ、こいつを改造したいから!」
背中に付けているサイディッシュを抜き放つ。さすがにここじゃ振り回すのには狭いから、鎌は畳んだままだけどな。
「改造ですか? たしかに魔法道具の仕組みを武器に仕込むことはありますが、その武器に必要でしょうかね? かなり完成されていると思うんですけど」
「俺には必要だと思ったんだ! そしてそのための技術を俺は欲している!」
「わかりましたから落ちついてください! とりあえずどういう仕組みにしたいのかだけ、教えてもらっていいですか?」
カラリスがやっとやる気になってくれたところで、俺は皮用紙を受け取り、その案を図面に起こしていく。と言っても、サイディッシュの全体像を描いて、そこにどういう機構が欲しいかを書いただけの簡単なやつだけどな。
「ここに刃をつけて回転させるようにしたい。できるか?」
「うーん、難しいですね」
カラリスは少し悩むとそう答えた。難しい。つまり不可能ではないと言うことか!
「可能ではあるってことだな!」
「確かに可能ではありますけど、どうしてこんなことを? 刃ならずいぶんいいのが付いているみたいですけど?」
「この機構をつけると、切れ味が数倍に跳ね上がる!」
「そんな馬鹿な」
カラリスは俺の説明に半信半疑と言った様子だ。ならば証拠を見せてやろうではないか!
そう思い鞄から1枚の布を取り出す。そしてそれをおもむろにカラリスの腕に当てた。
何をしているのか分からないカラリスは不思議そうにその光景を見ているだけだ。さあ、摩擦の恐ろしさを知るがいい!
「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」
「熱っ! あ、痛い!! 痛い、痛いです!!! 分かりました、分かりましたから止めてください!」
「どうだ! これがこの機構の力だ!」
「ここまでの力とは……確かにただの布、しかも人力でこの痛みが出るならそこに刃を付けたらどれだけ威力が出るか……分かりました。頑張って考えてみます」
「とりあえず5日後ぐらいにこの鎌の部分の替えが来るからさ、それまでに魔法道具の仕組みをマスターして改造だ!」
「うーん、そういうことなら私がやってみても良いですかね?」
お、思いのほか乗り気?
「かなり面白い機構だとは思いますし、武器って作ったことないから1度は関わってみたいんです。魔法道具作りにしても、経験は重要ですから」
「やってくれるに越したことはねえけど、良いのか? 時間とか店とか」
「大丈夫ですよ。基本的に暇な店ですからね」
「それでいいのか商売人……」
「本当はダメなんですけどね。趣味に走っちゃうんですよ。とりあえず、この機構について色々考えてみます。替えの鎌が来るのが5日後でしたよね?」
「おう。できるか?」
「普通の板で試作まで作っておきますよ!」
「そりゃ頼もしいな! 期待してるぜ。金は成功報酬で30万チップ出すからさ」
「そんなにですか! 俄然やる気が出てきましたよ!」
おお! カラリスが燃えてる!
ならこの問題も解決したって思えばいいかね? これで俺は気兼ねなくカルートの討伐に出かけられる訳だ。
なら明日には出発するために、早速準備を開始しますかね!
1人燃えているカラリスを置いて、俺は店を出た。