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異世界は赤い星と共に  作者: 凜乃 初
カラン合島国・学院編
111/151

110話

 順当に島を渡り、俺たちは七島の1つレランに到着する。

 そこで見た光景は、やはり他の七島と違っていた。

 港から島の中心に向かって伸びる一本の道。その先に視線を向ければ、そこには巨大な塔があった。


「あれがレラン学院のシンボル、通称レラン塔ですね」


 フィーナがパンフレット片手に説明してくれる。フランは塔を見上げながら、口をポカンと開けていた。


「とりあえず役所だな。フランを一緒に連れて行けるようにしないと」

「それと体験入学の登録もですね。役所はこっちみたいです」


 パンフレットに書いてある地図に従って、フィーナが先頭を歩く。俺は、フランが迷子にならないように肩車し、フィーナの後ろに付いて行く。

 レランの街並みは、一言でいえば学生のための町だ。

 レランには、実に島の4分の1を占める巨大なレラン学院があるため、学生寮も大量にある。そこに住む学生目当てに集まって来た商人たちが道沿いに露店を開いているのだ。

 そのため、他の島に比べてガッツリと食べられるもの、甘い物が多く、何より値段が安いのだ。

 すれ違い程度にのぞいた店でも、他の島より百チップから三百チップは安くなっている。その上ボリュームも多いと言うのだから、学生にはありがたい限りだろう。

 そして、やはり学生の姿も多い。

 すれ違うだけで数えきれないほどの学生に会う。

 年齢的にはフランのように幼い子供から、俺達ぐらいまで幅広いが、子供たちはランドセルを、中学生以上は制服を着ているため分かりやすいのだ。

 ランドセルや制服も意外と極星の勇者が広めた物かもしれないな。

 港から続く大通りをしばらく歩くと、白い館のような物が見えてきた。その扉は外されており、その中はカウンターが並んでいる。

 フィーナはその館の前で足を止めた。

 そして地図と何度か見比べた後、俺達に振り返る。


「ここが役所みたいですね」

「分かりやすいな」


 フランと一緒に扉の上にある紋章を見る。それはカランの国旗に描かれた七つの星とその周りに円状に広がる無数の点がそっくりそのまま描かれていた。


「なんか再利用感が凄いな」


 俺が感想を述べると、フィーナは苦笑しながらパンフレットを読み上げる。


「それはカランの特徴ですね。昔の建物を取り壊さずに補修と補強だけで再利用しているみたいです。木材や石にもカランで取れる量には限界があるみたいですから、それを上手く利用するための知恵みたいですよ」

「なるほどな」


 島国、しかも日本のようにある程度国土のある国ではなく、インドネシアのように小島が集まっている国だからこその事だろう。

 木が生える場所にも限界があるし、採掘が出来る場所も限られている。

 海底が掘れれば状況は一変するかもしれないが、まだこの世界にはそんな技術は無いみたいだしな。


「まあ、ここで立ち止まってても仕方がないし行こうぜ」

「はい」「おー」


 フランを肩車からおろし、俺たちは並んで役所の中に入って行った。


 役所の中はカウンターが並んでおり、俺たちは適当に開いているカウンターの前へと進む。

 カウンターには穏やかな表情を浮かべた中年がいた。何と言うか、修道にでも進んでそうな優しい表情だった。


「こんにちは。今日はどのようなご用でしょう?」

「あ、えっと、子供の生存報告と、体験入学の事を聞きに来たんだけど」

「生存報告? と言うことは生死不明に登録されていたのでしょうか?」

「ああ、行方不明でそういう風に登録してあるって聞いてる」

「分かりました。ではまずそちらから変更しますね」

「ああ、後この子のことで少し相談があるんだが」


 俺の様子を見て、男は何やら悟ったような表情になる。


「何やら訳ありのようですね。分かりました、では個室を用意しますので、そちらに移動してからお話しを伺います。先にそのお子さんの名前だけ教えていただけますか?」

「フランです。苗字はありません。」

「ありがとうございます。では準備が整うまで腰掛けてお待ちください。準備が整い次第この番号で呼ばせて頂きます」

「はい」


 渡された124と書かれたプレートを受け取り、俺たちは一旦長椅子に腰掛けて待つことにした。


 しばらくして俺達の番号が呼ばれる。

 すぐに立ち上がり番号を読んだ女性の元へと向かい、プレートを渡す。


「ではこちらにどうぞ」


 フロアの右端にある通路から奥へと向かう。

 廊下は綺麗に掃除され、窓から差し込む光で、フローリングの床がキラキラと輝いている。

 沢山の扉が並んでいることから、相談用に作られた小部屋なのだと予想した。


「こちらです。どうぞ」


 女性が扉を開き、俺達を中へと入れる。

 そこには先ほど俺達の担当をしていた男性が座っていた。その手元には大量の資料がある。


「お待たせしました。どうぞおかけになってください」


 俺達は促されるまま男とテーブルを挟んで反対側の椅子に座る。


「私はホークと申します。すみません、資料を集めるのに少し手間取ってしまいました。今回は、お子様の情報登録の変更と、学院への体験入学の申請、それと他にあると聞きましたが、そちらを対応させていただきます」


 そう言いながら、ホークは資料をこちらに向けてくる。


「よろしくお願いします。冒険者の漆トーカです」

「同じくフィーナです。こちらがフランです」

「おねがいしまう」

「はい、よろしくお願いします」


 フランはホークの丁寧な空気に飲まれて、若干噛みながらもしっかりとあいさつする。

 それを見てホークは微笑みながら、資料の中から何枚かを取り出した。


「ではまず情報登録の変更からお手続きさせていただきますね」


 俺たちは、資料に目を向けながら、ホークの説明に耳を傾けた。


 情報登録の変更自体は、意外とすんなり行うことが出来た。それは本人がこの場に来ていたことと、事前にどのような理由で生存不明になっていたかがしっかり伝わっていたためだ。

 そのため、ホークから説明を聞き終えた俺たちは、すぐに変更を頼み、十分程度でフランは生死不明の状態から生存確認に情報が書き換えられた。

 それがひと段落すると、次にホークは体験入学の話に入ろうとする。そこを俺は止めた。


「すみません。フランのことで相談したいことがあるんですが」

「それが先ほど言っていた諸事情ですか?」

「ええ」

「分かりました。では先にそちらを済ませてしまいましょうか。それでご相談とは?」

「フランの今後なんですが――」


 俺はフランが今後俺達と共に旅をすることになることを告げる。その時に理由もしっかりと話しておく。

 そばで聞いているフランには少し辛い話になってしまったかもしれないが、フラン自身に関わることなので、俺としては理解はしていなくてもしっかりと聞いていて欲しかったのだ。


「なるほど、ではフラン様の学院登録を変える必要がありますね」

「ええ、後住民票とかはどうなるんでしょう?」

「住民票の変更は必要ありません。カランでは各学院の卒業と同時に、住民票が交付されます。それまでは子供として登録されていますから」

「そうなのか」

「子供として学院名簿に登録されていれば、カランの国民としては扱われますからね。学院登録は卒業年がくれば自動で抹消されますので、それと同時にカランの国民でなくなるわけです」

「分かりました。じゃあ、学院登録の変更と言うのは?」


 勝手に登録が消されるのなら、今から消す必要は無いと思うのだが。


「国のお金も無限ではないですからね。来ないと分かっているお子様の為に備品を買い与えられるほど余裕は無いんですよ。なので、来ないと分かっているお子様があらかじめ申請してくれた場合、審査をしてその事情が正しいものならば登録を抹消するのです。今回のフラン様の場合は、まず問題なく抹消出来るでしょう」

「そう言うことですか」


 特に金が掛かると言うこともなさそうだ。もともと無償でやっていたことだけに、国としては子供が減ること自体は辛いが、金を使わずに済むのは嬉しい事なのだろう。


「ではそちらの登録を済ませてしましますね」


 そして俺たちは、再びホークの指示に従いながら書類を製作していった。


 やっとメインの話に取り掛かれる。

 面倒な資料製作や、暗い話はさっさと終わらせて、楽しい楽しい学園体験の話に進む。


「では今度こそ体験入学の話ですね。まずはこちらのパンフレットをどうぞ」


 そう言って袋に入っていた最後の資料を出して俺達に見せるホーク。

 そのパンフレットは学院の物だった。それを受け取り、パラパラとめくっていく。内容は現代の学校案内とさほど変わらない。

 学科の説明・学校の設備の説明・校風・イベント・在校生のコメント・教師のコメントが順番に乗っている。

 現代と違う事といれば、せいぜいがカラー印刷ではなく、学校の姿も手書きと言うことぐらいだろう。

 それ以外は特に違いは見当たらない。つまり、異世界でも学校は学校と言うことだ。

 まあ、魔法訓練場など、ちょっと異世界っぽい所もあるが。

 そして一番気になっていたレラン塔の存在。どうやらそこは大図書館になっているらしい。カラン中から集められた数々の書籍が集まっている場所なのだとか。

 ここには、学生以外にも学者などが良く来ているそうだ。

 パンフレットを見ているだけでも、楽しみになってしまう。


「とりあえずフラン様は、普通科・入学前コースになりますね」


 まずはコース選択がすでに決まっているフランから説明される。

 パンフレットの最後の方のページに、体験入学に関するコース説明が書いてあった。


「まず一日目。この日は魔力測定と、体験入学生達の顔合わせが主な内容になりますね」


 自分の事を説明されていると気付き、フランが俺のパンフレットを覗き込んでくる。

 俺はフランに見やすいようにパンフレットを膝の上に置き、フランに今どこの説明をしているのか指でさしながら、聞いていた。


「この日は午前中だけで終わりますので、その後はお二人のどちらかと一緒に行動と言う形になります。多少特例ではありますが、問題ないでしょう。そして二日目。この日から授業が始まります。普通科なので、算数や、歴史、読書が午前中の授業内容となります。午後からは簡単な魔法の実習も行いますので、楽しみにしていただければいいと思いますよ。毎回、この午後の魔法実習が一番盛り上がりますから」


 そりゃ、座学よりは面白いだろうしな。特に初めて魔法を使うとなれば、楽しくてしょうがないだろう。

 俺もこの世界に来て初めて魔法の練習をした時は、丸一日かけて練習しちまってたもんな。

 フランも楽しみと言わんばかりに、パンフレットに描かれている魔法実習の絵を見つめている。


「そして最後の三日目。この日も午前中は授業ですね。内容こそ二日目と同じですが、最初のほうなので、簡単ですぐに分かって面白いと思いますよ。そして午後には簡単なパーティーをして終了になります」

「パーティー?」


 学校体験とはあまり関係のなさそうな行事に、俺は疑問を持つ。


「はい、三日とはいえ、一緒に勉強した友達になりますからね。自由に遊ぶ時間も必要だと考えまして、パーティー兼遊びの時間となっています」

「なるほどね」


 同い年の子供が沢山集まるのだ。友達も出来るだろう。その子供たちと友好を深めるのも、学校の大事な仕事と言う訳か。


「これがフラン様の受けていただく一連の流れになりますね。入学前コースは、希望者も沢山いますので、その子たちだけで1クラス作ることになりますから、1人だけ取り残されると言った心配も少ないです。なので親御さんにも安心していただいております」


 確かに、体験入学で既存のクラスに入ることとなると、すでに友達グループが出来上がっていて、引っ込み思案な子は輪に入って行けない可能性がある。

 しかし、誰もが同じ場所からのスタートならば、その心配も少なくなる訳か。

 学校側も色々考えてるんだねー。ってことは俺やフィーナは既存クラスに体験入学することになるのか?


「では次にお二人の参加コースについてですね。お二人にはいくつかのコースから選んで体験入学していただくことが出来ますが、どのような授業をお望みでしょうか?」


 何を学びたいかによって、入学コースが変わってくるのか。まあ、当然だな。

 俺とフィーナは、それぞれにパンフレットの学科一覧を見ながら考える。と、言っても俺はほとんど決まってるんだけどな。

 やっぱ異世界っつったら魔法科だろ。

 できればまだ使えない毒関連の魔法を学んでみたいが、さすがに三日じゃきついかね?

 フィーナを見れば、何やら2つのコースで悩んでいるようだ。目が行ったり来たりしている。


「フィーナはどうする? なんか迷ってるみたいだけど」

「そうなんですよね。行ってみたいコースはあるんですが……」

「どれとどれ?」

「家庭技能と魔法です」

「ほぅ」


 フィーナの選択に、思わず変な声が出る。てっきりフィーナの事だから、商業コース当たりを受けてみたいと思っていると考えていたのだが、全然違った。

 家庭技能はまあ分かる。フィーナも料理とか好きだしな。けど魔法科?


「フィーナが魔法科って珍しい」

「だってトーカは魔法科行くでしょ?」


 さも当たり前のように聞かれ、思わず言葉が詰まる。


「お、おう」

「どうせ受けるなら一緒に受けてみたいじゃないですか」


 少し恥ずかしそうにパンフレットで顔を隠すフィーナ。俺もそれにつられて僅かに耳が熱くなるのを感じた。


「た、確かにそうだけどな。けど、フランだけ別のコースってのはなんかな」

「確かにそうなんですよね。一日目の午後は一緒に行動できるみたいですけど」


 俺とフィーナの視線が何気なくフランに向かう。

 フランは出された冷たいお茶をクピクピと飲みながら、俺達の視線に気づいてこちらを向く。そして小さく首を傾げた。

 そしてコップを机に置き、不思議そうに言う。


「学校っておともだち作るところでしょ?」

「ん? ああ、まあそうだな」


 勉強がメインなのだが、確かに小学生ぐらいまでは友達を作る場でもあるな。場合によっては高校生ぐらいまでの友人はそのまま一生の友人になったりする場合もあるし。


「そうですね。よし、私は家庭技能コースにします!」


 フランの言葉の何かに触発されたのか、フィーナが家庭技能を選ぶ。


「分かりました。トーカ様は魔法科でよろしいですか?」

「はい、お願いします」

「ではフラン様が入学前コース、フィーナ様が家庭技能、トーカ様が魔法科に体験入学するように手続きを取らせていただきます。フラン様の一日目午後はどちらと一緒に行動なされますか?」


 その問いは、俺達にではなく、フランにされていた。


「えっと、ままと?」

「分かりました。ではそのように伝えておきますね」


 フランの選択に、若干の寂しさを覚える。

 どうやらフランは俺よりフィーナを取るらしい。

 フィーナもその事を疑問に思ったのか、フランに尋ねる。


「トーカと一緒じゃなくていいんですか?」

「ぱぱのまほうは危なそう? なんとなく」


 その言葉にフィーナはプッと小さく吹き出す。


「トーカ言われてますよ」

「俺ってそんなにヤバい魔法使ったことないんだけどな……」

「あれじゃないですか? 雰囲気? 生きものの勘が危ないって囁いてるんですよ」

「そんな野生の勘は捨てちまえ……」


 フランの言葉は、まるで俺が魔法科で問題を起こすことを暗示しているようにも感じた。


 必要な情報を書類に書き終え、コップに残ったお茶を一気に飲み干す。


「お疲れ様でした。他に何かございますか?」

「いえ大丈夫です」

「分かりました。では、体験入学は明後日からとなりますので、明後日の朝8時にレラン学院の正門にて受付を行います。遅刻等が無いよう気をつけてください。遅刻となりますのと、3日間丸々参加できなくなってしまいますので」

「分かりました。ありがとうございます」


 俺に合わせてフィーナとフランも頭を下げる。こうして俺たちは、学院への体験入学に参加することが確定した。




 体験入学の希望者から書類を預かり、係りの者に渡しに行く。

 基本的に受付で相談を受ける立場の者たちは、一通りのことが出来るように教育されている。しかし、その先、書類を受理する段階や、その書類をもとに、準備をする段階は専門の部署に回されている。

 ホークも、他の職員と同じように、書類を学院対応の者達のいる事務室へと持ってきていた。


「失礼します」


 ドアをノックして入る。中は綺麗に整理された、特に他と変わりばえのしない事務室だ。

 違いと言えば、少し人数が多いぐらいだろう。

 学院全般のことを請け負うこの事務室は、他の事務室より少し大きく、また人員も増やされている。

 学院のおひざ元であるレランだからこそだ。

 ホークは机の間を進み、部長の元へと足を進ませた。


「学院の体験入学の希望者が来ましたので、書類をお持ちしました」

「おお、体験入学か。確か今回はちょうど1クラス程度の予定だったな」


 受付期間ギリギリだったとはいえ、新たに学院に興味を持ってくれた子供がいることに、部長は笑みを浮かべる。


「体験入学の希望者は3名。入学前コースが1名と、途中体験コースに2名です」

「3人も来たのか。書類を見せてもらえるか?」

「こちらです」


 ホークは先ほどトーカ達に記入してもらった書類を部長に渡す。


「ほう、6歳の少女か。入学前コースはやはり女子が多いな」


 男子の場合、ギリギリまで家の手伝いをしていることが多く、あまり体験入学希望者は来ない。逆に女子の場合は、親が心配してか体験入学させることが多いのだ。


「後の2人は家庭技能と魔法科か。やはり男女で別れるのだな」


 家庭技能の全生徒40名の中で、男子は僅か3名だ。その男子も家庭技能の習得と言うよりは料理人を目指している節がある。

 そして逆に魔法科では男子の比率が高い。家庭技能ほどではないが、7割弱が男子だ。

 魔法科を受ける生徒は、どうしても軍関連に就職する可能性が高く、危険性もそれなりになるため、こちらも当然と言えば当然だろう。


「フランにフィーナ、この2人は平民か。もう1人はウルシ・トーカ、ウルシと言う貴族は聞いたことが無いな。いや、どこかで聞いたような」


 カランにも貴族はいる。しかし、民主主義国であるため、ただ金持ちと言う感覚が強い。

 部長の立場として、一応カランにいる有名貴族の名前は網羅しているため、聞いたことが無い名前に疑問を持つ。

 しかし、どこかで聞いたことがある響きに、部長は首を傾げ、資料をよく読んでみた。

 資料には、フランの事や、フィーナの地元など色々なことが書かれている。もちろんトーカのこれまでの経歴なども。

 そして読んでいくうちに、部長の額には大粒の汗が流れ始めた。

 それを見て、ホークは不振に思い問いかける。


「どうかしましたか?」

「い、いや、このウルシ・トーカと言うもの。身分証は何を出した?」

「ユズリハの身分証明書です」

「ユズリハ……トーカ……冒険者……!」


 そこまで行って、突然部長がガタンと立ち上がる。

 その音に驚いて、部屋にいた全員が部長の方を向いた。


「あ、あの何か問題でもありましたか?」


 わなわなと震える部長の手を見て、ホークは何か自分がとんでもないミスをしてしまったのではないかと不安になる。

 しかし、状況はそんな生易しい物では無かった。


「ホーク君。ウルシ・トーカ、体験入学に来たこの冒険者は、超が付く重要人物なんだよ」

「じゅ、重要人物……ですか?」

「彼はついこの間誕生した、4人目のA+ランク冒険者だ!」

「…………」


 バタン!

 静まった部屋の中に響いたその音は、ホークが床に倒れる音だった。


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