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可愛いは正義ってことは、妖精って正義ですよね!?だから、あの、そのう…剣を下ろして下さい  作者: コカマキリ


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始まりの史

連載なるかは分かりません それでもお楽しみ頂ければなと(*・ω・)*_ _)ペコリ

「にゃ~にやん、ウニャニャニャニャッ、フシャー!」(血しぶき)

「痛いっやめて、引っ掻くのやめろ、見ろこんなに血が出てしまったじゃないか!このバカ猫め!」


なんてことだ、今日の交渉はしょっぱなからどういう訳か険悪で、まさかの妖精の羽に深手をおってしまった。予想にもなかったことなので、今夜は暗黒の森まで飛んで帰れそうもないなとズタズタにされた羽を見て嘆く。


最近気づいたことだが、猫って気まぐれでいくら猫語をしゃべれても、コミュニケーションをとれるのはまれなのである。なんて欠陥的な生き物なのだ。


ああなんて、もふもふぅぅ(じゅるり) けしからん生き物なのだろう。実にけしからん。


妖精のイッチ「よう、兄弟酷い顔だなw」

妖精のニニー「目を覚ますの!パンパンパンッ(頬を叩く音)」


やめてくれ…おれの両頬はこれ以上の衝撃に耐えれそうもないんだ。皮膚は切り裂け、顔はハリセンボンのように腫れ上がるだろう。おれを頬をフルスイングする可憐な妖精のニニーは元産業奴隷仲間である。


おれたち3人の妖精たちは脱走奴隷で見ての通りの仲良しである。おれが転生したこの世界は()()()()()()()()()()()()()であったが、妖精族には人権はなく、搾取される羽虫のような存在として扱われてきた。


当然、羽虫よびされているし、なんなら妖精族という言葉すらこの世界には浸透されていない。異世界の生物学者が専門用語で魔族を分類するさいに、あえて亜種的な区分でよばれている程度である。異世界に転生して、スタートが奴隷ってのはよい。


どうせここから這い上がりイベントがあるんでしょとかなろう系を愛読してる読者なら思うのだろう。だが、現実は厳しかった。おれたちを解放してくれるヒロインの美少女なんていくら待っても現れなかったし、おれたちの永遠に近いときをここで潰し続けるのは忍びなかった。


おれとナンバーが近いことで、良くタッグを組まされていたこの何かと縁があった2人の洗脳魔法をとき、逃げだすのが精一杯であった。(ちなみにおれの名前はサンサン)


逃げだしたおれたちが暮らせる土地は"旅人たちの墓場"とも呼ばれる、通称【暗黒の森】そこの暗闇の片隅だけだった。そこには民家があった。


今にも潰れそうな靴屋で、ガラスの靴なんて作れねえよおおおと王子の無茶振りでくねくねしてた、おじをたまたま助けたことでご縁ができ、庭の片隅をお借りできることになったのである。


隣接するは【暗黒の森】そしてなんとこの民家、崖の下にたててあり、崖崩れがおきたら主人はいっかんの終わりだったわけだが、やつはこの地に小屋をたてたらしい。


当然近所ではなにも考えてない愚か者扱いされていたが、本人はちっとも気にせず、"強く生きていた"いわゆる無敵のひとだったのである。


だがこうしておれたち3人を家に招きいれたことで、彼は妖精たちの加護を手にいれた。外からみたらなにひとつ変わらない彼の家。そこには幾重にも張り巡らされた結界で、おそらくこの町の中ではもっとも災害に耐えうる家の作りをしていたわけだ。


偉大なる壁(グレートウォール)

霧散する質量(ゼログラビティ)】 

拡張★領域(オメガゾーン)


を始めとした世界1の大賢者でさえも真っ青な魔法が、いくつもこのボロ小屋に重ねがけされていた。 


この物語は、そんなど田舎にあるほったて小屋から始まる妖精族のお話である。


猫パンチと引っ掻き、さらには同族からのマジビンタに耐えた今日も強く生きているおれは、ちょうど昼になるまで魔法で拡張され永遠と広がる庭の片隅で、なんとわたあめを栽培していた。


この世界にはわたためという見た目わたあめそっくりな、健康食品的なスーパーフードがあるのだが、こいつらは妖精族の羽の魔法成分である鱗粉を朝に一時間、昼に30分、夕に5分ほど根に振りかけて上げれば、前世で言うところのわたあめみたいな食感、さらに味はお好みでケン○ッキー(肉汁×ジューシーさ)になったり、シュークリームやバニラアイスのようなスイーツ味まで、魔法で調整できるのだ。わたあめ畑ができていつしか6年の月日が流れていた。


魔法ってすごい。厳密には妖精族が使う魔法がすごいのだ。ふわふわで口の中でとろけるわたあめは色はあの日の夏祭りの色、スカイブルーとストロベリーピンクが交差するわたあめ畑はある意味壮観であった。


「出来たわ。今日はこのくらいで良いかしら。」


ニニー、出会った頃とは見違えるくらい、そのドャ顔が愛らしくも小憎らしい。


「まあ、何でもできる俺さまにとっちゃ朝めし前だけどな。そういや今日朝めし食ったっけか。」


「食ったろ。お前はおかわりしてたじゃん。」


そうだっけか。ふうと青空を仙人のように見上げている相棒のイッチのどこか明るい表情も微笑ましい。


前は、生きてるのが辛そうだったもんな、2人とも。


でもおれたちは今こうして、自分たちの特技を活かして協力者のもと文字通りしなびていた羽を自然と伸ばせている。


これが特別に嬉しいのがなんのって。それはもう言葉だけでは言い表せないほど。


今日もまたわたあめを育てていた。小鳥たちがさえずり蝶がひなたから影へと休憩しにくるそんないつもと変わらない昼過ぎだったのだ。


突然、空からヒロインと勇者が落ちてきた。ちょうどわたあめを1ヘクタールに魔法で圧縮して、干し藁のキューブのようにつんでいたところに、だ。


はるかな高度から自由落下してきた2人は、文字通り意識を失っていたが…特に怪我もなかった。


「そんな、私たちのわたあめが、うう…(パタリ)」

「しっかりしやがれおいっ!ニニー!!おのれぇぇぇヒトカスがぁ!!!」


異世界転移してきた日本人と思わしき2人は、この世界にきてどれくらい時間が経過しているかはおれには計り知れないが、このまま成り行きに任せてると即退場しそうだったので仕方なくこの場を沈めることにした。


「イッチ、ニニーを頼んで良いか。おれはこのスカイダイビング・コンビをやつに手渡してくる。処分は彼に任せよう。」


フンっ言われなくてもと彼はニニーを愛おしげに抱き運んでいった。いつか、お前の恋が実れば良いなあと影ながら今日も背なか越しに応援し、おれは浮遊魔法で玄関のドアマットまで連れていく。


仕事部屋のドアを叩くと、じいは出てきた。


「おーい。おっさん今時間良いか。」

「うるせえ。生意気なチビ。おれはまだおっさんじゃない。ピチピチのアラフィ、うん!?なんだそいつらは?」


「たった今空から落ちて来たんだけどよ、これ前おっさんが言っていた【迷いひと】ってやつじゃねえのか?」


そうかもなと言い、おっさんはそいつらベットに寝かせとけと部屋を片付けに行った。 


偏屈で無愛想なおっさんだが、なにかと面倒見の良いひとが出来ている人物だ。本人いわくあまりこれまでツイていた試しがない人生とのことだが、今こうして妖精族の祝福を手に入れているのだ。これからはぜひ胸を張って生きて言って欲しいものである。


なあこれ、マズいんじゃないか。一応注意はしておいたがそんなの知るかとのことなので、仕方なくベットの眠る面積を横だけ三乗する。個数は増やせないものの、これだけ離れていたら、部屋を共有してるだけで同きんしたとは言えないではないだろうか。さらにはシーツで部屋を区切ってあげるサービスまでしてあげちゃう。


だって見た感じ思春期真っ最中の中学生2人じゃないか。学ランとセーラ服久しぶりに見た。転生する前は都心の住宅街から思い切り離れた社畜たちの聖域で暮らしていたものだから余計に、僕も昔はあんな制服着ていた時代があったものだと、気付けば無意識に感慨深気にうなずいていた。


これでもかと妖精さんがお互いのプライバシーに配慮してあげたので、多いに感謝していただきたい。そう思い寝室のドアをそっと閉めた。


*****


「どうだ、やつらはどんな感じだ?」


親父が恋をした乙女のようにそわそわしながら、話しかけてくる。いや知らねえよ。気になるなら自分で見てこいよと思いつつ、さあと肩をすくめた。


普段なら食卓はイッチとニニーのキャッキャとはしゃぐ騒がしさがあるのだが、今日は咳を外しているので、悲しいかな親父と2人きりである。


寝室に寝かせた2人はまだ起きてこない。夜の間も寝ていたので、寝坊助なのかもしれない。そろそろ異世界に先に転生した先輩として、厳しく指導してやろうかと思う。朝ごはんの準備を手伝わないやつに

飯を食う資格はないのだ。ここは心を鬼にしてガツーンと強く言ってやろうと思う。


ガタンっ親父はそわそわしながらついに立ち上がってしまう。


「こらっ落ち着いてご飯食べなさい!」

「お前、おれの何なんだよ。まるで母ちゃんみたいな口を聞くじゃねえか。」


か、母ちゃんですとぉ!?はいっ訴訟案件です!異世界に転生してこんなオジサンに母ちゃん呼びされるほど落ちぶれておりません!おれはしかも男だーーー!


「取り消せよ!今の言葉ぁぁぁ!」


顔を飛びかかり渾身の一撃を毛髪に与える。


「ちょっ痛てえ!何しやがる!あっやめ、髪にこれ以上ダメージ与えるな!ハゲちまう!」


おれたちがギャアギャア取っ組み合いをしている中、どうやら少し前から部屋に入ってきていたらしい2人組が不審者を見る目でおれたちに剣を突きつけていた。


初対面のひとに刃物を向けるのは普通に犯罪なのだが、扉の先にみたのは儚い妖精を初見では虐待しているように見える怪しげなオジサンの姿が。


彼はその女神から授けられたであろうエスクカリバーをおれたち2人に突きつけていた。廃語には一緒に空から落ちて来たJKが怖いのか背後に隠れている。


「安心しろ。真美おれが必ず守ってやる。」

「う、うん。でも無理はしないでね。しょう君喧嘩弱いんだから。」


ちょっそれ今は関係ないだろと突っ込みを入れている当たり2人はカップルにしては馴れ馴れしいというか、もはや熟年ふ、いや失礼、幼馴染みあたりであろうか。


ふむ、少年の名前はしょう君というらしい。それで後ろの神の羽衣をレンタルしてきた感じの少女がまみさん。見た感じ駆け出しの【勇者】と【聖女】と考えて良さそうである。


なんだイチャイチャしやがって。良いぞもっとやれ。幼馴染み推しのおれの血がザワザワと騒ぎだす。


「2人ともここへ掛けてくれ。君たちに害をなすつもりはない。改めて我が家に歓迎をしようではないか。」


本当に妖精を虐めてないのか、信用はされてなさそうな目をしていたが、聞く耳を持ってくれたのか食事の席についてくれた。


「珍しい食事ですね。これは…。」

「でも美味しいよ!?しょう君。お食事まで頂いて、なんとお礼を言えばよろしいのでしょうか。ほら、しょう君もお礼言って。」


なんだこのやり取りは!?どこか既視感を不覚にも覚えてしまった。


ハッ!? 閃いたって顔でこっち見るな親父ぶっとばすぞ!だから、僕はオカンじゃないっつーの!怒りが通じたのかやつは目をそらした。ちゃんと反省しろよ。


いや待てこいつの視線の先は…炎喰い鳥のほろほろ焼きがジューシーに盛り付けられているではないかをやっぱコイツ反省しておらぬ。


後で覚えておけと思いつつ、こんなアホ親父に任せておけなかったおれはこの世界に転移してきた少年少女の扱い方、そしてその身の滅ぼしかたまで懇切丁寧にプレゼンしてあげたのだった。


この世界に転移してくるとき、彼らは彼らの願望通り誰ひとり例外なく美少女美少年としてこの世界にやってくる。その圧倒的なビジュアルは彼らのご先祖さまの中でもっとも優れたビジュアルをその身に宿すことができる。


ここまで、なにか質問はないか?


「しょう君はなんでしょう君のままなんでしょうか?」

「え、そりゃあお前…」


つまりはそう言うことなんだろう。


「そう言う真実だって!」

「え!?ちょっとやだそう言うこと!?」


これでコイツら付き合ってなさそうなのマジ?クソ仲良し過ぎて熟年夫婦かなあなんて思ってしまったよ。


それから3年ほど、この2バカは親父の元でしごかれ、【勇者】は量産系なろう主人公高校生ではなく、鍛え抜かれた肉体とそこそこの技術を宿した青年に、【聖女】神の祝福を受けた美少女ではなく、完全サポートと自衛もそこそこできる後方支援職のお姉さんへと成長していた。


「なんか、思ってたのとちがうんですけど。なんで転移して拾われた靴屋の親父が元S級冒険者なんだよ。いっつもキツい修行ばかりさせやがって。」

「わかるー。私なんて聖騎士さまとか王子さまとかのイケメンと出会えるはずだったのに、何年もあんたの顔しか見てなくてもう諦めムードよ。さようなら私の恋...」


お前ら勝手なことを言いやがって。別に言わなくて良いことだから言ってないけど、こちとらお前さんたちのような【転移者】お前らで3カップル目なんだからな。いっつもいっつもわたあめ畑に落ちて来やがって。おれたちのわたあめ畑なんだと思っていやがる。


この世界にもし召還した女神なんていやがったらいつかぶん殴ってやる。若くして少年少女が武器や戦闘魔術を使わされ命を落としているこの非情な世界にしたことを。


靴屋の偏屈親父から最愛のひとを奪ったことを…。さらに妖精族が不遇の時代がずっと続いているときたもんだ。


世の中、優しい人間が傷ついてばかりだ。優しいひとは少しでも報われて欲しい。それを願うのは元人間だからか。


2バカ異世界人を置き去りにし、わたあめ畑を歩いていると向こうから通りすがりのシスターが歩いてくるのが見えた。


へぇ…来客とは珍しい。こちらの防御結界に拒まれなかったとなると敵意はなさそうである。


「こちらに、マスターはいらっしゃるかしら。羽虫さん。」


「ああ親父のことか。中にいるよ。優しいオーラを纏ったあんただから言うけどよ。僕は羽虫と呼ばれるのが嫌いだ。妖精さんと以後読んでくれ。」


「妖精さん…フフフッ不思議な響きね。いいわでも素敵。それではお邪魔しますね妖精さん。」


ペコリとお辞儀をし、ほったて小屋に向かう彼女は育ちの良さが伺えた。マスターか。なんだよ親父あんなに美人な知り合いいたのかよ。捨てたもんじゃあねえなあ。シスターの後ろ姿を見送り、おれはこれからも度々遊びにくるであろう彼女のために防御結界を組み直した。






読んでくれてありがとうございます♪

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