組設立(1)
アスガロトの率いるパーティとともに金のやり取りをして国の門番から仮の身分証を受け取った六人は、ギルドへ向かっていた。すぐに墓山と若頭である山端は若衆を連れて仮身分からちゃんとしたものを発行してもらうようにギルド嬢へ話を持ちかけたが、大声で怒鳴り散らす山端の声がギルドに響いた。
「だからぁ!!」
「何度も言ってます。あなた方の身分証明をしてくださる方なんていないんですからギルド登録も出来ませんし、身分証の発行もできません。なんせこの国へ一度でも来たことがある履歴もありませんし」
「聞いてくれっての!」
山端がイライラとしながら対応をする中、若衆の竜ケ崎の子分である益若は組長を呼び、事態の収集を頼む。
「親父すんません。少しばかり山端の頭が荒れてまして」
「ったく……」
ギルド嬢の近くに墓山は近づくとすぐに山端は頭を下げ迎え入れる。とんでもない圧の墓山にギルド嬢はすぐさまギルドマスターとなる組合の長を呼んでくる。ギルドマスターと呼ばれる齢七十を超える爺は墓山を見てすぐに応接室に呼びつけた。
「うちの若いもんが失礼したな。私は冒険者ギルドのギルド長セイリュウと申す」
「いやいや、こちらこそ若いもんが失礼を」
「仮の身分証発行されているということはある程度の身柄が保護されてるはず。誰に保護されてきた」
「アス…… なんつったかな」
「親父、アスガロトさんです」
後ろから山端がそういうとギルド長は目を丸くした。
「そうか。あのアスガロトか。ふむ、お主らの身分証発行はさせてもらおう。名前と年齢だけで構わん」
「……それだけでいいのか?」
「あぁ。それだけでいい」
墓山、山端、竜ケ崎、益若。この四人が身分証を発行し終えた後残り二人の奈良屋と服部も発行を済ませる。
「お主ら仕事はあるのか」
「そういや、ねえな。どう生きるかも手探りだ」
「ふむ。前までの仕事は何をしとった」
「シノギで金を稼いでいたな」
「シノギ……?」
そう問うギルドマスターの顔を見ながら必要な情報だけ相手に渡す墓山。その手腕に後ろから見ていた山端はニヤニヤと止まらない笑みを浮かべていた。
「俺らの仕事は金貸しだの、喧嘩屋だのそんな感じだな」
「つまるところ用心棒や借金取りか……?」
「借金取りとはまたちょっとちげぇな。金がねえやつに貸すだけ。取り返すのは俺らじゃなく下請けだ」
「ふむ。それならお主らも自分らで組合を作るのはどうだ。儂も聞いた事のない仕事の部類でな」
「ほう。組合ってのはどう作るんだ?」
そう聞くとギルドマスターは懇切丁寧に説明をして墓山に手を貸していた。全ての説明を終えたあと墓山たちはすぐにギルドを後にした。
「いいんですか。ギルドマスター」
「何がだ?」
「身分もおかしいし、変な服着てるし」
「……ふむ。儂の眼がおかしいと?」
「い、いえそんなつもりは!」
「仕事に戻りなさい」
「申し訳ございませんでした!」
涙目でギルド嬢は下の階に降りていった。ギルドマスターのセイリュウは長い髭を触りながら一人でつぶやいた。
「どう生きるのか楽しみじゃわい」
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「おいお前ら、組合申請所にいくぞ」
「へい!」
墓山たちは早速行動に移した。近場にある組合申請所という建物に行き、自分たちの仕事の内容と所属人数を伝え悪どい商売でなければすぐに出来るという事だった。
「ここか?」
「申請者様ですね。申請者様はお名前と身分証をこちらに」
「おう」
すべての内容を書き終えると、受付嬢は渋い顔をしながら色々な担当者と話を交わしている姿があった。墓山は不安になりながらも受付嬢が戻ってくるのを今かと待ちわびた。
数時間後のこと、既に外は夕方になっていた。そして名前が呼ばれる。
「ハカヤマ様〜」
「おう」
「大変お待たせいたしました。お仕事の内容がかなり危ないのではないかと協議をしました。問題があればすぐに私どもから業務停止とギルドの剥奪をいたします。同意をいただければこのまま設立となりますがいかがいたしますか?」
「……まぁいいんじゃねえか。怪しいことはしねえし」
「そうですか。問題行動などなされないようお願いいたします。それでは最後にギルドの名前をお教えください」
「墓山組」
「ハカヤマクミ?」
「あぁそうだ」
不思議な名前に困惑している受付嬢だったが、そのままハカヤマクミで通り念願のギルドが誕生した。そしてセイリュウにそれを報告しようと冒険者ギルドに向かった時だった。
「おーい!」
「あれ、アスガロトじゃねえか」
アスガロトと鉢合わせする。




