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絹の国  作者: 喜多里夫
第六章 戦時下の活動

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第50話 原点を抱いて

 1960(昭和35)年、内閣総理大臣に就任した川戸絹は、政治家としてその頂点を迎えていた。


 振り返れば、彼女は1928(昭和3)年、我が国初の普通選挙で代議士に初当選して以来、農地改革、教育改革を先導し、第二次欧州大戦後は西欧・アジア・アフリカとの対話に尽力した。だがそれは、華やかな勝利の記録というよりも、むしろ果てしない調整と説得と、時に孤独な決断の積み重ねだった。


 絹には、わかっていた。


 理想だけでは政治は動かず、力だけでは民を導けない。


 第二次欧州大戦中、ナチス・ドイツによる全国主要都市に対するロケット攻撃、さらには連合軍によって解放された強制収容所の映像に胸を塞ぎ、戦後の新しい世代に託すべきものを自問し続けた日々。


 そうして最後には、ついに国会で選出された、わが国憲政史上初の女性宰相として、自身の人生を国に捧げたのであった。


 首相官邸の執務室。

 静かに夜が更ける中、絹は一枚の古い新聞記事を手に取る。

「婦人記者、関東大震災を走る」――まだ二十代の自分が書いた記事。


 あれからもう四十年近くになる。

 あの時、自分が信じたこの国の可能性を、今でも信じている。


 彼女はそっとペンを置き、立ち上がった。

 明日の施政方針演説の草稿が、まだ書きかけだった。


 ……その後のことは、読者諸君のよく知るところである。




               完

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