第一話──裁きの刻
初めまして、鬼崎柊と申します。
本作『少年オートクチュール〜異端のお嬢様は貴族学園で裁きを受ける〜』は、貴族社会を舞台にした学園×陰謀×バトルの物語です。
少し不思議で、華やかで、どこか切ないこの世界を、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
第一話、どうぞお楽しみください。
「貴様の存在は、この世界にとってあまりに禍々しい。」
広間に響く冷徹な声。
水色の髪を持つ少年が、一歩前に進み出る。
「“蒼氷の王”の名において、ここで裁きを下す。」
ヴィクトール・アズレウス。
貴族社会において、最も名誉ある六つの称号の頂点に立つ者。
その彼が、まるで虫けらを見るかのような目で私を見下ろしていた。
私は、静かに息を吸った。
何か言い返さなければならない。
この場で沈黙することは、罪を認めることと同じ。
だが――
「……っ！」
言葉を発するよりも早く、首に鋭い痛みが走った。
ヴィクトールの手が、冷たい氷の鎖のように私の喉を締め上げる。
「っ……！？」
一瞬にして視界が歪む。
足元がふらつき、息が詰まる。
「お前は、革命の亡霊だ」
ヴィクトールの水色の瞳が、氷の刃のように冷たく輝いた。
「貴族社会に背いた血を引きながら、何事もなかったように生きていることが、そもそも間違いなのだ。」
意識が薄れていく中、私は必死に彼の腕を掴んだ。
だが、その力は微動だにしない。
広間を取り囲む五人の称号持ちたち――
ルディ・スカーレット、オーリック・ゴールドウィン、シルヴァン・アルジェント、ヴェルナー・エメロード、ライオネル・アメジスト。
彼らもまた、私を断罪するためにここにいる。
――このままでは、本当に殺される。
視界の端が暗くなり始めた、その時だった。
「お嬢様に指一本触れさせはしない」
鋭く、しかしどこまでも静かな声が響く。
広間の空気が、一瞬で凍りついた。
「……ルメリア」
私の声は、かすれていた。
黄金の髪を結い上げた女性が、堂々とした足取りで広間へと入ってくる。
貴族の者でなくとも、彼女の名を知らぬ者はいない。
伝説の侍女――ルメリア・シュヴァリエ。
彼女がただそこに現れただけで、称号持ちたちの表情がわずかに揺らぐ。
「貴様……まだ生きていたのか」
ライオネル・アメジストが、低く呟く。
その声音には、恐れが滲んでいた。
ルメリアは、一切表情を崩さない。
ただ、ヴィクトールの腕を見据え、静かに告げた。
「その手を離せ、ヴィクトール・アズレウス。」
ヴィクトールの眉がわずかに動く。
「……この場に貴様のような異端が出てくるとはな」
「異端かどうかは、関係ありません。」
ルメリアは、ただ一歩前へと進み出る。
そのたった一歩で、広間の空気が変わる。
「この場で決まるべきことは、ただ一つ」
紫の瞳が鋭く光る。
「お嬢様が、裁かれるべき存在なのかどうか――です」
ルメリアの言葉に、広間が静寂に包まれる。
称号持ちたちがそれぞれの思惑を抱えながら、沈黙する中――
「貴様に、裁きの資格があるとでも？」
ヴィクトールが冷ややかに言い放つ。
ルメリアは、まるで氷すら貫くような鋭い視線で答えた。
「資格の有無ではありません。
お嬢様が裁かれるべきか否か――それを決めるのは、貴族社会ではなく、“本人” です。」
その言葉が意味するものを、私はまだ理解できなかった。
だが、ルメリアがそこにいるだけで、私は――「まだ終わらない」と確信できた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました！
本作は、AIの助言や文章補助を受けながら執筆しています。
人とAIが協力して物語を作る、新しい創作の形を楽しんでもらえたら嬉しいです。
今後も少しずつ投稿を続けていく予定です。どうぞよろしくお願いします！
