OUTSIDER
Una persona non posso dimenticare
第1章 気味悪いオトコ
私は父の姉、伯母の春恵に呼ばれて家を訪問した。
玄関に入ると、来客者がいるらしく、男物の革靴が置いてあり、笑い声も聞こえて来た。
「伯母さん、こんにちわ、お客様でしたの❓」
「咲ちゃん、いらっしゃい」
春恵は男性に向かって紹介した。
「姪の宮内咲耶ですよ」
私は男性に会釈をした。
「こちらは農協の外商でウチの担当で石坂 徹さん」
「はじめまして」
石坂は笑顔で名刺を差し出した。
私は仕方なく名刺を受け取り、
伯母の余計なおせっかいが、また始まったと思った。
ちょうど其処へ伯母の飼ってる、猫のマロンがやって来た。
マロンは私に懐いており
「にゃあ」
甘えた声を出して
私のひざに乗り寝転んでかまえとアピール。
私は渡りに船でマロンをかまって、
あまり2人の話には、加わらない様な、雰囲氣を出していた。
「猫が好きなのですか」
石坂が話かけて来た。
ホントは猫は好きなのだが、話が続いてしまうのが嫌だったので、
「私に懐いてるこの仔が好きなだけですよ」
とだけ答えた。
石坂は話を合わせようとしていた。
「ホント、懐いてますね。可愛いね」
伯母は
私が石坂を警戒してる事に氣がついて
マロンを外に出そうと手を出したら、
私から離れたくないマロンはシャッと
ネコパンチを繰り出して威嚇していた。
「マロンは賢いわね、オヤツあげようね」
私は席を立ち上がり、隣の居間にオヤツを取りにいった。
すかさず、伯母がやって来た。
「咲ちゃん、石坂さん、貴女にどうかなと思って」
「伯母さん、私はまだそんな氣はないわ」
「私が貴女くらいの時は、もう子供もいたのよ」
「伯母さんの時はそうでも、今は違いますよ」
「咲ちゃん、私は、麻美さんから
咲耶の事、頼みますって言われてるのよ」
『ウソよ❗母が、この人に、そんな事、頼む訳がない‼️』
慇懃無礼な態度で人に接してお節介を押し付ける。
母は、伯母の事が大嫌いだった‼️
父に伯母への不満を、ぶつけてる姿を、何度も見ていた。
竹尾の事件が一段落して、
宙也の母親から、連絡があった。
面倒なので、彼の怪我の事は伏せていたのだが、
『スキーで転倒して入院した』事を知っていた、
そのうえで、クレームを付けて来た。
私は吃驚した。
そして何処まで知っているのだろうと思った。
幸い⁉️竹尾達とのトラブルは知らなかった。
クレームを聞き流しながら・・・
彼が怪我をした事を、毒親に流したのは誰かと考えた。
しつこい、クレームに・・・
さすがに、毒母親の言い分に怒りを覚えた。
『ケガを知っていたのなら、なんで病院に来ないのよ❗』
反撃に出ようとしたところ・・・
『オレがもらうよ』
肩をたたかれ、そうアイコンタクトをして、父が電話を変わった。
宙也の毒親にリークして
こんな騒ぎが大好きなのは・・・
伯母だと思った。
しかし確証がないので黙っていた。
「伯母さん、こういう事は父を通さないで行うと・・・
また父の機嫌が悪くなりますわ」
そう言って切り返した。
私達は石坂のいるリビングに戻った。
「そろそろ仕事に戻ります」
石坂は職場からの連絡が入り、立ち上がって言った。
マロンが、私のひざに寝そべってオヤツを夢中で、食べていたので座ったまま会釈をした。
伯母が、立ち上がって玄関まで、石坂を見送った。
私はマロンが、オヤツを食べ終わるまで、待って立ち上がった。
「私も、そろそろお暇します」
伯母は立ち上がって言って来た。
「咲ちゃん、石坂さんの事、少し考えてみて❗
彼ね、まだ若いけれど、出世コースにのっているのよ‼️やっぱり、オトコはバンバン出世しないとね❗」
『出世する人は何処か冷酷な部分を持っているのよ』
私は、そう感じている。
『あのオトコはダメ❗』
特に、あの石坂は何処かアブナイ感じがあった。
私の中の勘が告げていた。
「私はまだ、独身を樂しんでいたいのですわ❗」
マロンはまだ帰らないでと、盛んに鳴いて足元に、纏わり付いていた。
玄関までマロンはついて来た。
「またね マロン‼️」
私は伯母の家を後にした。
しかし石坂の件はコレで終わらなかった・・・
◆◆◆
学生時代の担任教師の糸川桃代から連絡があった。
「久しぶりにお茶でもいかが」
誘われて、彼女の家に出掛けた。
チャイムを鳴らすと桃代が出迎えた。
「咲ちゃん、久しぶり‼️」
「先生、元氣でした‼️」
ふと足元に見覚えのある男物の革靴を見た。
「まさか⁉️」
と思ったが、彼女が声を潜めて
「咲ちゃん、石坂さんの事を知ってたの❓」
「石坂徹さんですか⁉️先日、伯母の家で初めて会いましたが・・・」
どうやら石坂は、私との共通点を探していた様子で、
出身校を調べ、桃代の教え子だと解ったのだろう。
石坂も、別の学校で彼女の教え子だったのだ。
私は固執した其の粘着性に気味の悪さを感じた。
彼女に案内されリビングに通されると
「先日はどうも」
石坂が、立ち上がり声を掛けて来た。
私は会釈をした。
彼女はお盆にティーポットとカップを用意して、
リビングに入って来た。
「実はね、咲ちゃん❗石坂さんが、アナタを氣に入ってね、私を介して紹介してもらえないかと言われてね❗
咲ちゃんを今日、お誘いしたの‼️」
「先生、そういう事はひとこと、言ってほしかったですわ、私は今は独りを樂しんでますので、現在そういう氣持ちは無いですわ」
桃ちんは、高校の頃から裕之と私が、付き合っていた事は知っていた。
さすがに其の処は弁えており
石坂の前ではその事は触れない。
「咲ちゃんは、お父さんと二人暮らしだもんね」
「ええ、まだ父と一緒にいたいですから」
「石坂君、一応は、話はしたからね」
「先生、ありがとうございます❗
咲耶さん、とりあえず友達からでいいですから」
私は友達でも嫌だった。
抗議の意味を込めて少し桃ちんの顔を見た。
彼女も困惑してる様子が分かった。
「友達としてですね、仕事や父の世話とか、父の代わりに行事とか参加する事があるので、ご期待に沿えない事が多いですわ。其れは承知して下さい」
「解りました❗こんな綺麗な咲耶さんと、友達から始められるならこれほどうれしい事はないです」
随分大げさな事を言った。
連絡先を交換して、石坂は仕事に戻っていった。
「ふう」
石坂は停めていた営業車に乗り込み、息を吐いた。
「見てろよ、咲耶‼️其のすましてる顔を❗必ずオレのモノにしてやる‼️」
咲耶を抱いている光景を浮かべ、石坂は冷酷な笑顔になった。
石坂の頼みに、桃代も困ってたのだろう。
「咲ちゃん、すぐ断ってもイイからね」
「桃ちんが紹介とか、そういう事はお断りです‼️って、断ってくれれば、それで済んだのに」
咲耶はそう思っていた。
◆◆◆
私は、幼なじみの優子としのぶ達と不定期で・・・
『女子會』と言う名の、毒吐き會を優子の家に集まって行っていた。
私は父に優子のとこに、泊まるからと言って家を出た。
この冬は宙也が来てた事と、あの滑落事故が遭ったので、
昨年暮に集まった時以来の久しぶりの集まりだった。
3人でワイングラスを持って乾杯をした。
私の浮かない顔をしてるのを見てしのぶが聞いて来た。
「咲、どうしたの⁉️」
私は毎日の様に、連絡をよこす石坂に、イラっとしていた。
其処へ優子がニヤリとして、間髪入れずに言う。
「愛しの彼が、新潟市に、行っちゃったからねぇ‼️機嫌悪いのよね」
「いとこよ・・・・」
『宙也 今頃何してるのかなぁ』
宙也の姿が、頭に浮かんだ。
本来なら、名香ココで暮らしていたのに・・・
彼が怪我した事を、毒親は知っているのに、
見舞いすら来なかった。
そして・・・
「其処にいてはスキーにのめり込むだけだから、新潟市で暮らさせる」
頑として言い張り続けて、要求を飲まないのなら・・・
『大学を退学させる』
そうまでして、脅してきたのだ‼️
コレには、父が激怒した。
しかし・・・
『私達に迷惑かける』
彼はそう考えて、新潟での暮らしを始めた。
父も私もガッカリした。
「麻美と彼の母親が姉妹なのが信じられない」
ふだんはあまり心情を吐露しない父も言い放った。
しのぶも私の反応を診る意味で言った。
「彼、今頃、むこうで合コンしたりして、女のコと樂しくやってるんぢゃあないの」
「そうかもね」
でも、私は内心、自信を持っていた。
『そんな事は無いわ❗だって彼は私に・・・』
二人の手前、モチロン・・・
そんな事は、おくびにも表さなかった。
私は、二人に石坂の話を始めた。
「ぢつはね❗この前、伯母に呼ばれ行ったら、ヘンな男を紹介されてね」
「何⁉️咲、見合いしたの❓」
優子が『紹介』と聴いて、鋭く反応して目を光らせた。
「見合いぢゃあないわよ‼️
続きがあって、其れがね・・・
先日、桃ちんから連絡が有って、行ったら、また其の男がいたのよ❗聞けば、別な学校での、教え子という触れ込みなの・・・
調べたのよね!?きっと何か共通点がないかと、其れが氣持ち悪くてね」
しのぶが目を丸くして
「其れ嫌だぁ‼️」
「だから父を持ち出して、逃げてるのよ、毎日連絡が来て鬱陶しいのよ‼️」
優子が聞いて来た。
「ソイツ名前何て言うの❓」
「農協に勤めてる、 石坂 徹って言うの」
「石坂 徹‼️」
優子の目付きがキツくなった‼️
「優子、知っているの⁉️」
「たぶん2コ上のヤツだ、農協に勤めてるって聴いてるわ、上っ面は爽やかそうな感じだけど・・・
裏の顔を持ってて、ものすごく女癖が悪くてね‼️
クチが上手くて、騙して、何人もと付き合って、
友だちも引っ掛かってね・・・
妊娠させられて堕ろした❗
伯母さんがダマされるのは解るけど、桃ちんも、何でまた⁉️」
「やっぱりね、そんな男だったのね‼️
見てて何か氣味悪い感じだったの❗
オマケに優子が知っているなんて、相当のワルよね」
「ちょっと咲‼️ずいぶんな言い方ぢゃあない❓」
しのぶが、笑いながら口を挟む
「優子は、元氣良く、ハジケちゃったからね‼️」
「しのぶ❗私はいつも大和撫子よ‼️」
「ハイハイ‼️」
優子が咲耶のグラスにロゼワインを継ぎながら、
意味深に言った。
「咲、アタシは1度、石坂にはご挨拶を
したことあるから・・・
折を見て❗アタシの名前出してごらん‼️
たぶん、それで収まると思うよ。」
私は優子の言う"ご挨拶"の意味は・・・
だいたいは想像ができた。
ともかく優子の名前を出せば、
石坂も迂闊には手を出せないだろうと思った。
「優子ありがとう、そうするね」
「咲は素直でイイよね、誰かさんと違って」
「咲が素直❓頑固よ❗私が一番素直よ」
しのぶが言った。
三人は顔を見合わせて笑いだした。
Una persona non posso dimenticare
第2章 優子 動く
私は宙也に電話をかけた。
彼はすぐ出た。
「もしもし、宙也くん、どお、新潟市の暮らしは❓少し慣れた⁉️」
「咲耶さん、雨が多いのですね❗
晴れても、降ってくるのには吃驚です‼️
学校も始まって、吃驚する事だらけですね、
部活の勧誘が盛んでけっこうスゴいです」
「よく選んだ方がイイわよ‼️
入った後が、ブラックだったなんて❗けっこう聞くからね、ねぇ、ゴールデンウィークは、名香に来るのでしょ❓」
「それが咲耶さん❗LEVANTEのCampが、入りそうなんです、日程が解ったら連絡しますね」
『えぇ⁉️そんな・・・』
私は、心の中で思った。
せめてGWぐらいは、以前の様に、彼と父と3人で、
ゆっくり過ごしたいと思っていた。
石坂の誘いを、断る理由を作る意味でも、
彼にはコッチに、来て欲しかった。
この冬、彼がいた事は、私に張り合いが出来た。
私は彼がいてくれると、安心出来た事が、
離れてみて改めて解った。
「宙也くん、お願い❗1日だけでも、イイから、顔出してね」
私は、彼に念を押した。
「努力してみますね‼️」
宙也も、咲耶の願いを、かなえたかった。
其の日も雨だった。
何もする氣にならなくて、ぼんやりしていた。
彼が去ってから、妙に物憂い氣持ちが、
私の全身を捉えていた。
何もしたくない様な憂鬱な日が多くなった。
そんな或る日の午後に、伯母が訪ねて来た。
「咲ちゃん❗石坂さんと同じ先生に教わったの❓
これも何かの縁よね」
お茶の用意をしてた私に声をかけた。
石坂が伯母に言ったのだろう。
あんなヤツの名前も聞きたくもない、そんな縁なんてお断りだわ。
ますます鬱陶しさが倍増した。
「伯母さん、私は石坂さんには、全く興味も無いので、
近いうちに、御断りをしようと思ってます」
「咲ちゃん、そんな性急に考えないで、
じっくり見たら、良い部分も見えて来るわ」
「伯母さん、石坂さんを随分推すけど、何かあるのですか⁉️
彼には、悪い話があるのを私は聞いてますの、
これ以上推すのなら、父に話をしますわ。」
「咲ちゃん、悪い話って何❓」
「其れは、本人から聞いてみて下さい」
私のイライラはピークに達した。
宙也の顔が浮かんでくる。
「咲耶さん❗咲耶さん❗」
笑顔で話かけてくれる。
私は彼がいてくれたら、こんな鬱陶しさは、
無くなると思った。
◆◆◆
宙也は市内にある、LEVANTEの営業所内のCORSEの事務所に呼ばれた。
「宙也、室堂のCampの件だけど、キミは、最終日まで残ってくれ、キミに、頼みたい事あるんだ」
CORSEチームの志賀マネージャーからそう言われ、
彼のGWの休日は無くなった。
「えっ⁉️僕にですか⁉️」
宙也は、ビックリしたのと同時に、
咲耶のガッカリする顔が、浮かんで来た。
宙也の氣持ちは沈んだ。
帰り道
「どうしよう・・・咲耶さんに何て言おう・・・」
歩きながら、そのことを考えていた。
ノドも渇いてきた。
よく考えてみたら、何も食べてなかった❗
しばらくすると一軒の喫茶店があった。
ドアを開けて、入ると
「いらっしゃいませ」
綺麗な顔立ちの女性が、明るい声をあげた。
窓際の席に案内された。
メニューを広げたが・・・
咲耶へ、どう言ったら良いかの事を考えてて、
メニューが、目に入らなかった。
「すいません」
先程の女性に声をかけた。
笑顔で寄ってきた。
「オススメはありますか❓」
「大学生さんですか❓」
「ハイ」
「ぢゃあ、このグラタンセットがオススメ‼️グラタンに、ウチの自慢の塩バタークロワッサンとサラダが付いているの❗」
「ぢゃあ、ソレとカフェオレを下さい」
「ありがとうございます、ちょっと待っててね❗美味しいのを作るから」
素敵な笑顔を見せて、オーダーを取って、厨房に戻っていった。
「アナタ、グラタンセット オーダー入ったわよ」
どうやら、夫婦でこの喫茶店を切り盛りしてる様子だった。
しばらくすると・・・
美味しそうな香りが漂ってきた。
ようやく、食欲が沸いてきたようだ。
運ばれて来たグラタンの皿と、パンとサラダが載った、プレートと、なみなみと注がれた、カフェオレのカップがテーブルに置かれた。
「えっ⁉️コレって・・・」
置かれたプレートとカップを見て、宙也は驚いた‼️
◆◆◆
「桃ちん、久しぶり」
「優子ちゃん、元氣ね❗相変わらず」
優子は休日に桃代の家を訪問した。
彼女は石坂の手口を知っていたので、
咲耶が石坂に会う前に
桃代に
彼を呼び出してもらおうと考えて、桃代に連絡をとった。
優子は友達の絵美子が
石坂にムリヤリ関係をさせられ、
挙げ句の果てに、妊娠させて逃げようとした時に
吊し上げた。
石坂も其れがあるから、優子の名前を聞いたら絶対に出て来ないのが解っている。
だから桃代に・・・
『咲耶の事で話がある』
と頼んで石坂を呼び出す手筈を組んだ。
「さぁ、ワナに飛び込め‼️どう追い回してやろうかねぇ‼️」
優子は其の美しい顔に、冷たい残酷な笑いを浮かべた。
「なんだろうな⁉️話って❗」
ワナとは知らない石坂は、急ぎ桃代の家に行った。
玄関の優子の靴を見て、咲耶が来てるのと思った。
『おっ❗咲耶が来てるのかな❓』
テンションが上がった‼️
「桃代先生、お待たせしました。」
そう言ってリビングに入って来た。
石坂の目に優子が入った。
優子は誘い水を掛ける様に石坂を見てニコっと笑った。
『おっ⁉️ちょっと派手だけど、イイ感じのオンナだな‼️』
看護士になって、落ち着きをみせた⁉️優子を、石坂は分からず、鼻の下を延ばした‼️
「石坂君、いらっしゃい今、お茶の準備するからね。」
桃代ほ席を立って、キッチンにむかった。
『チャンスだな❗』
石坂は早速、優子に声を掛けた。
「はじめまして、石坂徹って言います」
優子は、其れまでの、にこやかな笑顔が消えて、
レディースの総長の頃の目付きに戻って、
石坂を睨み付けた。
『えっ⁉️ヤバっ‼️スゲー迫力なんだけど・・・』
「はじめましてぢゃあねぇーぞ‼️久しぶりだな❗石坂‼️
三河優子だよ‼️絵美子の事で、追いかけまわされた事を忘れたか⁉️
今度、また、アタシのダチ咲耶に、何しようとしてんだ❓チョーシこいてんぢゃあねぇーぞ‼️
アン、コラッ‼️またシメたりてねぇーのか⁉️」
桃代に聞こえないように、声のトーンを落として、
石坂にケツまくった‼️
其れを聞いて
石坂はアタマの中が真っ白なった。
「三河優子‼️ウソだろう⁉️咲耶が友達⁉️マジか‼️」
優子は続けた。
「咲耶に、指一本でも触れてみろ‼️
この辺に、居られなくしてやるからな‼️
解ったか⁉️返事は⁉️」
優子の迫力に圧され、石坂はタジタジだった‼️
「はい、解りました‼️」
「アンタの職場にも、アタシの仲間がいるからな❗
全て敵に回す事になんぞ‼️」
ちょうど其処に、桃代が戻って来た。
「お待たせ、石坂さん❗優子ちゃんも知ってたのね❗
世間は狭いのね」
こんな時の桃代の天然さが、いっそう石坂には堪えた。
「石坂さんとは、鬼ごっこして、一緒に遊んだ仲なんですよ❗桃ちん‼️」
優子は、再びにこやかな笑顔に戻る‼️
絵美子を妊娠させた事で・・・
優子達に、散々、追いかけまわされ、
囲まれて、土下座させられた事を・・・
まさかの、『鬼ごっこ』と、にこやかに言われて‼️
石坂は震えが止まらず・・・
このまま、ココに居たら、優子にやられると思った。
「呼び出しが来たので戻ります」
ふたりにそう言って、逃げるように帰っていった。
『もう、コレで咲耶に、チョッカイは出さないだろう❗大丈夫だろう』
ホウホウの体で逃げ出した❗
石坂の其の姿をみて優子は思った。
◆◆◆
宙也から電話があった。
「咲耶さん、ごめんなさい❗
GWは、最終日までCampに、残ることになっちゃいました」
「え-、コッチに来られないの❓」
「ごめんなさい❗残ってくれと言われて・・・
ホントごめんなさい‼️」
私は、ひどくガッカリした。
彼とお茶したり、大学や、むこうでの暮らしや、何氣ない話をしたりして、ゆっくり過ごしたいと、思っていたから・・・
電話を切ってから
また何もしたくない憂鬱な氣持ちに襲われた。
暫くおいてから
また電話のベルが鳴った。
「名香に行ける様になりました」
彼からの電話だと、期待して私は電話に出た。
「もしもし、咲」
電話の主は優子だった。
私は氣落ちした。
「なんだ、優子か」
「咲、随分なご挨拶ねぇ、さては愛しの宙也とケンカでもしたの❓」
「違うわよ❗どうしたの❓」
「GW最終日休みが取れたから、久しぶりに咲と過ごそうかと思って」
私は彼と過ごそうと思ってた「GW最終日」を優子と過ごす事に決めた。
「いいわね、何処行こう❓」
落ちた氣持ちを取り直した。
Una persona non posso dimenticare
第3章 打ちのめされる
宙也は、11時にLEVANTEのCampが打ち上げになった。
彼は下山を急いだ。
正午に室堂発の美女平行きのバスに飛び乗った。
バスは混み合っていた。
13時発の美女平驛からのケーブルカーで立山驛に到着。
パーキングに停めてあったCELICAにギアを載せて、
慌ただしく北陸道立山ICに向かった。
GWの最終日とあって所々で渋滞していた。
「ぢゃあ、お父さん、優子と出かけて来ます」
咲耶は洋二に声を掛けた。
「うん、優子さんによろしくな」
彼女はクルマに乗り込み走らせて、
優子との待ち合わせ場所に向かった。
「さてと・・・」
走り去るクルマを見送って洋二は、家に入り受話器を持った。
姉である春恵に電話を掛けた。
春恵はすぐに電話に出た。
「佐野でございます」
「洋二です、姉ちゃん、話が有るのだけど、
ちょっとコッチに、来てくれないかなぁ」
立山から北陸道に乗った宙也。
遥か昔から交通の難所だったこの地方
北陸道は全部で52本のトンネルが在るが、其のうちの半分が立山~上越JCTの間に集中していた。
GWとともなって、断続的な渋滞が続いて
思う様に進まず、過ぎる時間に彼はイライラした。
優子と待ち合わせ場所で落ち合った。
私は優子のクルマに乗り換えた。
私達はリゾートホテルのランチプランを予約していた。
美味しいものでも食べて、エステティックで施術して
温泉を樂しもうと申し合わせていた。
海に向かってクルマを走らせて
海岸沿いのリゾートホテルのパーキングにクルマを停めた。
エントランスから入り、
フロントで受付を済ませるとホテルスタッフが出て来て、
私達はまずレストランに案内され予約席に座った。
海鮮フレンチのコースを予約していた。
スープやサラダそしてメインの海老料理が運ばれて来て、
ナイフとフォークを動かしていると優子が話出した。
「咲、其の後、石坂は、何か言って来たの❓」
「全然、不氣味なくらい静かで、返って氣味悪い」
「そう、ぢゃあアタシのご挨拶が効いたみたいね」
優子が笑って言った。
「ご挨拶って⁉️」
「GWにヤツが、何かするだろうと思ってね、
桃ちんに連絡取ってもらって、呼び出したのね」
其の言葉で、私は優子が石坂に、『何をしたのか‼️』
理解できた。
「優子、ありがとう‼️凄い氣味悪かったから、本当に助かったわ」
「咲の伯母の方は、どうするの」
「うん、其れも今頃、父が伯母に話していると思ふわ、
あぁ、何かスッキリした‼️氣持ちがね・・・
此処のところ、ずっと暗雲が架かった様に、どんよりしてたから」
「良かったね、後は宙也の事だけだね」
「あのコって❓」
私はわざと惚けた。
「しのぶの言う通り、ホント頑固なんだから」
優子は苦笑した。
◆◆◆
「ピンポ-ン」
春恵は洋二の家のチャイムを鳴らした。
洋二が出て来た。
「姉ちゃん、まぁ上がってくれ」
春恵は靴を脱いで、スリッパを履いて
リビングに入ってソファーに座った。
「洋二、話ってなぁに❓」
洋二はお茶の用意をして、彼女の前に緑茶の入った茶碗を置いた。
「咲耶に紹介した男の件だけど・・・」
洋二は話を切り出した。
「石坂さんの事❓彼、農協の幹部候補なのよ❗」
「姉ちゃんが推してるその石坂だけど、
若い時から、女癖が悪いウラの顔持ってて、
騒ぎ起こした話は、知っているの❓」
「知らないわ⁉️」
「ムリヤリ女の子と関係持って、妊娠させて、逃げてるんだよ、そんな男を咲耶に薦めるのか❓」
「えっ、そうなの⁉️」
「咲耶の友達で、優子知ってるよな❗
其の優子の友達が、ヤツの犠牲になってるんだ‼️
悪いけど、この件は、もう終わりにしてくれ」
「・・・」
とんでもない男を紹介したんだと・・・
春恵は、石坂の話を聞いてショックを受け、答えられなかった。
「ゴメン、ちょっとトイレに行って来るわ」
そう言って洋二は席を立った。
ちょうど其の頃、
宙也は名立谷浜のSAにCELICAを停めて
公衆電話から咲耶の家に電話を掛けた。
「もしもし」
聞いた事の無い女の人が出た。
「もしもし、宙也です、従弟の宙也です❗
咲耶さんは居ますか⁉️」
春恵は洋二から指摘された石坂の事でイライラしていた。
そして彼女は宙也を捌け口として其の矛先を向けた。
「あぁ宙也君ね、アタシは伯母だけど、
咲ちゃんは出掛けてるの❗
宙也君ね、
咲ちゃんも、お年頃でお見合いしたりとか忙しいのよ❗
其れでね、あまり君がウチを出入りすると、変な噂も立つから、もう来ないでほしいのよ❗
咲ちゃんの幸せも少し考えてね❗
アナタが咲ちゃんの、幸せの邪魔してるんだからね‼️
よく考えてね❗ぢゃあ切るからね」
「えっ⁉️」
彼はショックを受けた。
“オレが咲耶の幸せを邪魔してる”と言われて
打ちのめされた。
ショックで
其の場に座りこみそうになった。
洋二がトイレから戻って来た。
「あれ⁉️姉ちゃん、電話鳴ってなかった⁉️」
「アタシが出たわよ、ヘンな勧誘の電話よ」
「そう、ぢゃあ姉ちゃん、あまり咲耶を、刺激しないでほしいんだ」
「ごめんね、解ったわ」
洋二は冷めた緑茶を呑んだ。
Una persona non posso dimenticare
第4章 OUTSIDER
エステティックで施術を受け終わり
私達はジャグジーに入った。
優子が切り出した。
「ねぇ咲、ホントのとこ、宙也の事どう思ってるの⁉️」
「・・・」
「もうアタシにはいとこは無しよ‼️
彼が、滑落して運ばれた時の、咲を見てるとね。
もう従弟の感情を超えてると思ふのよ❗
「あのコは咲のカレシだよね」
ナース達の間にも話が上がってね。
アタシ、咲を見てて、
何があっても、大切な人を護るって、
思ひが見てとれたのよ。
アタシは宙也が現れて、咲が前に進む氣に、
なったのなら・・・
良い機會だと思ふの。
他の男と違って、
宙也は咲に一途だからね。
アタシは、見てて安心出来るのよ。
幼なじみとして、咲やしのぶには、幸せになって欲しいと思ふし、ふたりだってアタシが、幸せになって欲しいと、望むでしょう」
「ありがとう、優子、
でももう少しだけ待って欲しいの❗
まだ自分の氣持ちを説明出来ないの‼️」
「解ったわ、其の時を待ってるね」
宙也はCELICAを走らせていた。
もうすぐ上越JCTに差し掛かる。
まっすぐ走れば、其のまま新潟市に向かう。
左に入れば、咲耶の住む名香に向かう。
「オレは、何処に行っても、結局、邪魔者なんだ、
なぜにこの世界に、産まれてきたのだろう⁉️」
そう思ふと涙が溢れそうだった。
このまま、新潟に帰ろうと思った。
「宙也、私が、待っているのだからね‼️」
滑落事故で意識不明から目覚めた時に
咲耶が泣きながら宙也に言った言葉が蘇った。
「行こう‼️最後に、ひと目だけでも、いいから咲耶に会いたい」
宙也は左にステアリングを切って咲耶の住む名香に向かった。
宙也は彼女の家の近くのコンビニにCELICAを停めた。
会いたいと思ふ氣持ちと同時に・・・
『もし言われた事が本当だったら』
そう思ふと彼女の家に行く勇氣がでなかった。
電話を掛けたらと考えたが、またさっきの、伯母とやらが出たら、どうしようと思ひが、堂々巡りして纏まらなかった。
MOMOのステアリングにアタマを付けて悩んでいた。
「コンコン」
ガラスの叩く音がした。
ドライバーシートの窓を見ると
彼女が笑顔で立っていたのだ。
宙也は窓を開けた。
「宙也くん、来てくれたの‼️ゴメンね‼️
私、優子と出掛けていてね、帰る前にコンビニに入ったら、宙也くんのクルマが、停まってたから、吃驚したの‼️
ありがとう❗うれしい‼️
ウチには寄ったの❓まだなのね❗
明日は学校早いの❓
ぢゃあ今から新潟市に、帰るのは大変だから、今夜は泊まっていって明日、早く帰った方がイイわ、美味しいもの作ってあげるからね❗
Campの話も聞きたいから、父も歓ぶわよ」
ポンポンと歯切れよい彼女の言葉が宙也の心に響く。
-何も言えなかった・・・
「お父さん、宙也くんが来てくれたわ」
玄関を開けてリビングに向かって声を掛けた。
洋二が笑顔で出迎えた。
「よく来たね、泊まっていくよね」
既に彼が泊まると決め付けていた。
「お父さん、お風呂わいてるの❓」
「うん」
「ぢゃあ、宙也くん。お風呂入って、其の間に、夕飯作るからね」
「宙也くん、呑れるんだよね、風呂上がりは、まず麦酒だね」
洋二は樂しそうに乾杯の真似をした。
「お父さん、其ればっかり‼️
明日学校なんだから、あまり呑ませちゃあダメよ」
二人を見てても、自分を邪魔にしてるとは、とても思えなかった。
宙也は勧められお風呂に入った。
室堂の山小屋の狭い風呂に暫く入ってた
彼には久しぶり手足を伸ばせてのんびり出来た。
お風呂から出て、ダイニングに座り
「乾杯~」
3人はグラスを持ってビールを飲んで、夕食が始まった。
並んでる料理は、彼の好きなモノばかりだった。
食卓は、ついこの間まで3人で過ごしていた、光景に戻った。
咲耶も洋二もにこやかな笑顔で、宙也に接して来る。
『ココでの、最後の晩餐‼️咲耶さんの幸せを邪魔してはいけない‼️甘えてちゃあ、いけないんだ‼️暖かな温もりに背中を向けろ‼️オレはアウトサイダーなんだ‼️』
彼は、自分に言い聞かせ続けていた。
早朝、宙也はふたりを起こさない様に
静か起きて出掛ける準備をした。
レポート用紙に
咲耶宛てに、最後のお礼を書いた。
足音を忍ばせて階段を降りて、靴を履き玄関を出た。
合鍵をポストに入れてCELICAに乗り込んだ。
『行き先は何処もないんだ‼️もう振り向いてはいけない‼️咲耶さん、ありがとうございました』
そう、こころに言い聞かせて、エンジンを掛けて走り出した。
Continuare