8-7 騎士団長の感想。
ラウル団長が拍手をしながら、声をかける。
「見事な戦いだった。
さて、約束通り、フェイド様、
明日よりファンブルとレオンを稽古相手にしてもかまいません。
ところで、ルーク殿、貴殿に話がある。」
「はい、なんでしょう?」
皆がいる前なのに、いいのだろうか?とふと疑問に思う。
「我が騎士団に入るつもりはないか?
あれほどの剣術、なかなかいない逸材だ。
どうかな?」
ルークは困った表情を浮かべるしかなかった。
「そいつはダメだ。」
そこで断りを入れたのは、なんとフェイドだった。
まだ座り込んでいたが、声だけは元気だ。
「ルークは魔導士になるって決まっているんだ。
だから、騎士はダメだ。」
「魔導士ですと?」
その言葉に、皆がざわつく。
それもそうだろう、あれだけの剣術を見せられて、魔導士とは納得いかない者もいるに違いない。
「あ、その、フェイド様、実は・・・」
「なんだ?」
ルークは言うべきかどうか迷ったが、正直に話すことにした。
「実は先日、火系統の魔導士に合格したんです。
というわけで、魔導士になりました。」
「マジかよ・・・」
その言葉に、フェイドは固まる。
そして、ファンブルとレオンも驚く。
「おいおい、剣技だけじゃなく、魔導士だったなんて。
こいつ、何者なんだ?」
ファンブルは驚愕していた。
「まさに、天才なのかもしれないな、彼は。」
レオンは率直な感想をもらす。
そして一番驚いていたのは、ラウル団長だった。
「まさか、これほどの腕前を持ちながら、魔導士だったとは・・・
君はまさか、近衛師団の騎士なのか?」
「「「!?!?」」」
その言葉に、皆が驚く。
だが、ルークは慌てて全力で否定した。
「ち、違います!!
近衛師団には所属してませんよ。
ホントです。
ただの魔導士で、一般人なんですよ。」
ルークは困り果てるのみだった。
何故、いつもこうなってしまうのかわからないのであった。
騎士団長の執務室にて、ルーク、フェイド、ファンブル、レオンが集まっていた。
無論、部屋の主である、ラウル団長もいる。
「さきほどはすまなかった。
いや、あれほどの腕前で魔導士と聞いたら、
真っ先に思いつくのは近衛師団だったのでな。
それにしても、魔導士だったとはな。
これは、凄い少年だな。」
ラウル団長は嬉しそうだ。
「そりゃそうだ。
父上が気にいっているんだ、ルークのことを。
その内、ここの騎士団は、コイツの配下になるかもしれないぜ。」
フェイドの発言に、ルークは焦る。
「そ、そんなことはないと思いますよ、フェイド様。」
「いや、無いとは言い切れないな。
そもそも、魔導士になった以上、
近衛師団から誘いがあってもおかしくないだろ。
どうなんだ?」
ルークはこれも話すべきか迷ったが、話すことにした。
「・・・はい、ありました。
近衛師団の方から、勧誘が。」
「そらみろ。」
ルークの言葉に、フェイド以外の全員が驚いていた。
「まさか、近衛師団から勧誘があるとは。
それでなんと答えたのかね?」
ラウル団長が興味本位で質問する。
「いえ、回答はまだしていません。
ただ、その内、正式に勧誘に訪れると言われました。
いつになるのかはわかりませんが。」
「すげーじゃねぇか。」
ファンブルは興奮する。
「素晴らしい。
まさか将来の近衛師団の騎士と巡り合うことになるとは。」
レオンも興奮を覚えたようだ。
「で、ルークはどうするつもりだ?
まさか、近衛師団の話、蹴るわけじゃあるまい?」
フェイドの質問にルークは考える。
そして、ルークは自身が決めていることを話す。
「いえ、今は断るつもりです。
理由はちゃんとあります。」
「ほう、聞かせろ。」
フェイドは先を促す。
「僕は、残り三系統の上級魔法を極めるつもりです。
それを極めた上で、どこかに就職しようと考えています。
まだ、就職先は決めてないんですけどね。」
「「「はぁっ!?!?」」」
これには全員が同時に驚く。
フェイドも口をあんぐりと開けていた。
「・・・おいおい、まさか三系統もマスターするって、マジかよ!?
そんなヤツ、この世界には存在しないんだぜ?」
フェイドは興奮していた。
ありえないことを成し遂げようとする人間が目の前にいたからだ。
いや、成し遂げそうな予感がしたのだ。
このルークという少年が。
「いや、その、そういうのを意識したわけじゃないんです。
ただ、全系統の魔法が使えるなら、
ここは貪欲になってもいいのかなって。
だから、残り三系統の上級魔法も覚えてしまおうって。
実は、水系統の上級魔法もマスターしたので、
あとは試験を受けるだけだったりします。」
ルークはぶっちゃけることにした。
ここで隠してもしかたないのだ。
だから、話して納得してもらおうと思ったのだ。
「水系統もマスター済だと!?
おまえってやつは・・・」
フェイドは呆れたのか、言葉が続かなかった。
そこで、フェイドは決断したのか、ルークに告げる。
「よし、ここは父上に相談することにする。
そして、ルーク、今夜はうちに泊まれ!」
ということで、ルークは、またもや無理やり連れていかれることになるのだった。




