8-3 フェイドに連れていかれました。
ルークは外に出て、袋の中に魔術書を放り込むと、市に向かって歩き出していた。
そういえば、服が欲しいと思っていたところだった。
少し購入しておこうと思った矢先だった。
「おい、ルーク、ルークじゃないか!!」
突然、声をかけられ、振り向くと、そこにはフェイドがいたのだ。
フェイドはルークに近づくと、肩をバシッと叩く。
「何だ、来ていたのか、ちょうどいい!
ちょっと来い!」
「えっ!?」
こうして、ルークはフェイドに捕まり、無理矢理連れていかれることになった。
街から外れ、住宅街に入ったところで、だだっぴろい訓練場が見える。
「あの、ここはもしかして、騎士団の訓練場?」
「あぁ、そうだ。
今から向かうところだ。
ついて来い!」
ルークには断る権利がなかった。
なので、そのままついていくことにする。
やがて、訓練場に入り、騎士団の隊舎にたどり着く。
ここは、ラークネス騎士団の隊舎だったのだ。
「よし、中に入るぞ。」
ルークはとりあえず、理由もわからないまま、中に入るのだった。
騎士団長ラウル=ファルシオンは、フェイドとルークに面談を許していた。
そして今、彼らの目の前に座っていた。
明らかに強者の気配を漂わせている人物だった。
ラウルは考え込んでいたのか、ようやく口を開く。
「殿下、この前の件ですが、了解しました。
いつでも、ここで修行をなさって結構です。
ですが、訓練生や騎士をいじめないでくださいよ。
あなたは今でも十分強いのですから。」
「この前の件」について、ルークは内容を知らない。
だが、話の流れから判断するに、フェイドが騎士団で修行することのようだと判断する。
「いや、俺はもっと強くならなくちゃならんのだ。
そのために、ファンブルやレオンと勝負をさせてくれ。」
ラウルは困り顔だ。
「ファンブルとレオンは今や隊長なのですぞ。
殿下にばかりかまっていられないのですぞ。」
「それはわかっている。
2人が暇じゃない時、コイツと腕を磨く。
それでどうだ?」
コイツと言われ、指をさされるルーク。
ルークとしては、複雑な心境だった。
「まぁ、それなら何とかなりますが。
ところで、この少年は誰なのです?」
ラウルは興味深そうにルークを見る。
「ルークだ。
聞いたことないか?
先の戦争で活躍した若干15歳の少年の話を。」
ラウルは思い出すようにして、ポンと手を打つ。
「あぁ、思い出しました、閣下がおっしゃっていた少年ですな。
ほう、この少年がそうなのですな。」
ラウルはまじまじとルークを見る。
ルークはちょっと困った表情を浮かべる。
「・・・とにかく、2人を呼び出しましょう。」
ラウルは、部屋の外で待機している騎士に、ファンブルとレオンを呼び出すよう指示するのだった。
やがて、名前が挙がっていたファンブルとレオンが現れた。
フェイドの姿を見るや、2人は疲れた表情をする。
「フェイド様、我らはあまり暇ではありませんよ。」
ファンブルが先制して語る。
「大丈夫だ、必要だったら、騎士や訓練生の面倒も見てやる!」
「いや、あれは面倒を見ているとは言えないですから。」
どうやら、何かあったようだ。
ルークは嫌な予感しかしなかった。
「とりあえずだ、一回でいいから、相手してくれ!」
フェイドの言葉に、2人はどうしたものか、頭を痛めている。
そこで、ルークに目が留まるのだ。
「その少年は?」
「あぁ、ルークだ。
先の戦争で活躍した剣士だ。」
フェイドの紹介に、ファンブルとレオンは、じっとルークを見やる。
ルークは恥ずかしいような困ったような表情を浮かべる。
そこで、レオンが何かを思いついたのか、口を開く。
「では、こうしましょう。
彼、ルークが我々に勝てる又は互角に戦える腕前があるなら、
フェイド様の要望に沿いましょう。
それでいかがでしょうか?」
早速巻き込まれ、ルークは困る。
これは回避できなさそうだった。
「よし、それで行こう!」
フェイドが喜んで了承した。
ルークは天を仰ぎたい気分になるのだった。




