1-9 弓が使えるようになりたい。
その日の夜。
汗をかいた体を水で濡らしたタオルで拭き取り、人心地つく。
剣が使えるようになったのだ。
嬉しい事この上ない。
ただ、これで満足していてはいけないのだ。
日誌に今日の結果を記載すると、閉じる。
「明日は、何をしようかな・・・」
そんなことを考えつつ、眠りにつくのであった。
翌日。
朝食を食べながら、考える。
その時に気が付いたことがある。
パンが残り少ないのだ。
あと1つのみとなった。
購入しなくてはならない。
ルークは朝食を済ませると、お金を置いた棚に移動する。
「えっと・・・」
ルークは銅貨を数枚手に取ると、家を出る。
村に唯一ある購買店に出向くことにしたのだ。
「いらっしゃい。
いつものパンかい?」
店主はルークの顔を見るや、声をかける。
「はい、いつも通り、7本ください。」
「ちょっと待ってな。」
店主は奥に行くと、固いパンを7つもってくる。
ルークは柔らかいパンを食べたことが無い。
だから、いつも固いパンを食べていた。
固いパンはそのままでは口にできない。
水やお湯にふやかしてから食べるのだ。
無論、これがこの世界では一般的な食べ物だった。
柔らかいパンは貴族しか食べないのだ。
「野菜は足りてるのかい?」
「はい、畑に植えたものが、まだありますので、大丈夫です。」
「そうか。
はい、これね。」
ルークはパンの入った袋を受け取ると、お金を差し出す。
「ちょうどだね、まいど」
店主は軽く頭をさげる。
ルークはパンを持って、自宅に戻ろうとした。
その時、弓矢を所持した若者たちがいたのだ。
顔見知りだ、声をかけてみることにした。
「今から狩りですか?」
「おお、ルークか。
あぁ、これから狩りだ。
おまえも来るか?」
突然の誘いに、ルークはおもわず「うん」と言ってしまう。
「おいおい、待て待て。
ルークは弓矢もってないだろ?」
「あっ・・・」
別の若者の言葉に、ルークは思い出す。
確かに、弓矢は持っていない。
しかし、狩りには行ってみたいと思ったのだ。
「じゃ、家に戻って弓矢を取ってきます。
だから、弓矢の使い方教えてもらえますか?」
そのルークの発言に皆が驚く。
というのも、ルークは基本人見知りで、おとなしい少年だったからだ。
今日のルークはいつもと違うと感じたのだ。
「・・・あ、わかった。
教えるから、弓矢持って来いよ。」
「はい、じゃ、すぐ持ってきますんで。」
ルークが走り出す。
「・・・あいつ、あんなに元気だったけ?
それに、やけに足早くないか?」
若者の一人がそんなことを言っていたが、ルークには聞こえていなかった。
今のルークは、狩りが出来ることに嬉しさをこらえきれなかったのだった。
家に戻るや、急いでパンを片付ける。
そして、すぐさま弓と矢をイメージする。
途端、若者たちが持っていたものと同じ、弓と矢が出現する。
弓と矢を背負うと、急いで若者たちがいる広場に向かって駆けだしたのだった。
ルークが広場に戻ると、若者たちが待っていた。
「よし、ルーク、まずは弓矢の使い方を教える。
それが終えたら、森の中に入るぞ。」
まずは、基本的な使い方を教わることになった。
経験者から教わることは、一番良い学習である。
「まずは、弓に矢をつがえる。
そうだ。
次に、まっすぐ引くんだ。
そうそう。
で、放つ。」
若者は、ルークに実践形式で教えてくれた。
ルークが矢を放った瞬間、まっすぐ飛び、木に突き刺さる。
「やった!?」
「そうそう、それでOKだ。
獲物を見つけたら、今のような手順で獲物を狙って放つんだ。」
「ありがとう。
これで仕留められたらいいんだけどね。」
その言葉に、皆が笑う。
「少なくとも、当たれば仕留められるよ。
いい筋だったし、問題ないと、俺は思うぜ。」
どうやら合格点をもらえたようだ。
「よし、弓矢の使い方も覚えたということで。
森の中に入ろうか。」
こうして、ルークら4名の狩人は、森の中へと入っていくのだった。




