7-6 “大魔道士”
ルークが魔導士協会を去った後、ルードベルゼンは自身の執務室で審査官を集め、会議を行っていた。
今日の試験結果の採点であった。
だが、彼らの中では既に決まっているようだ。
「合格である」と。
「それにしても、まさか、
四つ目と五つ目の魔法を目にすることができるとは・・・
いや、感動した自分が恥ずかしいくらいだ。」
審査官の1人がそう発言する。
「そうかな。
自分が死ぬまでに見ることがないと思っていた魔法を見れたのだ。
感動しても恥ずかしいことではないと思うのだが?」
審査官の1人はその発言を否定する。
「皆、聞かなくてもわかるが、結果を聞かせてくれ。
彼、ルーク殿は、魔導士にふさわしいか否か?」
「まず、筆記はどうだったのだ?」
「問題ない、全問正解だ。」
「そうか、ならば、合格で良いと考えている。
皆はどうだ?」
「私も合格だ。
彼は至宝の存在と言っても過言ではない。」
そして、皆、合格を承認する。
「では、ルーク殿を魔導士試験、合格と判定する。」
ルードベルゼンは一旦そう宣言すると、さらに言葉を続ける。
「皆の者よ、これは戯言として聞いてくれ。
あの少年はもしかしたら、
“大魔道士”の資質を備えた人間なのかもしれない。」
「「「!?!?」」」
“大魔道士”の言葉に、皆が驚く。
「最後の私の質問を覚えているか?
『どのように制御したのだ?』と聞いた時、彼が答えていた内容を。
彼は、魔法そのものを理解していたのだ。
あの難解な魔法を。
恐らく、魔法の制御、魔法の法則、そして、
解放される力も理解している可能性がある。」
「ルードベルゼン殿、それは考え過ぎでは?」
否定意見が出るが、ルードベルゼンは続ける。
「考え過ぎのように思われても仕方あるまい。
だが、彼は、見事にあの難解な魔法を制御して見せたのだ。
そして、完全に使いこなしていた。
これは我らには真似のできぬことだ。
そう考えると、
彼は完全に「魔法」というものを理解していることになる。」
ルードベルゼンの言葉に、皆が黙る。
「天才が現れたと言っても過言ではあるまい。
いや、間違いなく天才なのだろう。
我らに扱えぬ魔法を扱っているのだ。
今、最も“大魔道士”に近いのは彼かもしれん。」
ルードベルゼンの言葉は、皆を納得させるには十分だった。
「では、どうなさるのですか?」
「皇帝陛下にお伝えする。」
ルードベルゼンは決めていたのだ。
このような人物、皇帝陛下の耳に入れておくべきだと。
「しかし、あの少年に悪いことではないでしょうか?
あの少年は素性は不明ですが、どこかの貴族に仕えているとも限りませんし」
「たしかに。
その貴族殿より抗議が来るやもしれませんぞ。」
「その時は、私が謝罪する。
私の責任にしてくれてもかまわん。
だが、このことは、皇帝陛下が知るべき重要な案件だ。
この国を守護する者になるかもしれない少年を放置はできぬであろう。」
ルードベルゼンの決意は固かった。
こうして、審査官の会議は終了した。
ルードベルゼンはすぐさま、皇帝陛下に面会を求めた。
面会が叶ったのは、翌日のことだった。
そして、ルークのことが、皇帝陛下の耳に入るのであった。




