6-8 呼び出し。②
「さて、冗談はさておきだ。
ルークよ、魔導士になると言ったな?
なれそうなのか?」
侯爵が話を戻したので、ルークは真面目に答える。
「はい、今は火系統の上級魔術書にて勉強中です。
勉強して実践できるようになったら、魔導士協会で試験を受けるつもりです。」
「そうか。
では、その後のことも考えているのか?」
「その後・・・とおっしゃいますと?」
ルークは、魔導士になった後のことは全く考えていなかった。
単純に、次の系統の上級魔法を勉強をするつもりだったのだ。
「何も考えていなかったのか。
では、どこかに就職しないのか?」
「えっ?
就職できるんですか?」
「それも知らなかったのか。」
レイヴンが呆れた声を上げる。
「魔導士となれば、就職を斡旋される。
例えば、魔導士協会の職員になることもできる。
他に、貴族付きの魔導士になることもできる。
後は、魔法の家庭教師にもなれる。
極めつけは、皇帝直属の近衛師団の入隊だ。」
レイヴンが一つ一つ丁寧に挙げる。
ルークは困った。
「あの、実は、火系統をマスターしたら、
他の系統の上級魔法も学ぶつもりだったんですが、
それではダメでしょうか?」
「「「はっ!?!?」」」
これには、全員驚きの声を上げる。
「ルーク、君は全ての系統の上級魔法をマスターするつもりなのか?」
レイヴンが驚きつつ、質問する。
「あ、はい、その、ダメでしょうか?」
ルークは困りつつ、回答する。
「君というやつは・・・」
レイヴンが頭を抱える。
「はっはっは。
まるで“大魔道士”を目指しているかのような言いぶりではないか。」
侯爵は笑い出す。
「お父様、笑い事ではないですよ。
全系統をマスターした魔導士は、未だかつていないではありませんか。」
サーシャの言葉に、ルークは驚く。
「そうだったんですか。
魔導士というから、てっきり、マスターされている方が多いものだと。」
「ルーク、それは思い違いだ。
私もそうだが、ほとんどの人間は系統が偏る。
例えば、私は水系統の魔法は得意だが、他系統は苦手だったりする。
君のように、全系統が得意な魔法使いは稀な存在なんだ。」
レイヴンの指摘に、ルークは納得する。
そして、自分がおかしいのではないか?と気が付いたのだ。
なんで、自分は全系統が使えるのだろうかと。
ただし、回答はでないだろう、一生かかっても。
「だが、しかしだ。
君が目指すのであれば、それはいいことだ。
四系統をマスターしてみるのも面白い。
やってみるといいだろう。」
侯爵は応援してくれるようだ。
「四系統をマスターした時点で、君は最強の魔導士になる。
それも悪くはないだろうが、皇帝陛下が知ったらどうなるかな。」
レイヴンの言葉に、ルークは困る。
どうも、皇帝陛下が関与すると、よくないことが起こる気がするのだ。
先ほどから「皇帝直属の~」という言葉が出て来たからだ。
誘われた時どうしようとも考えたが、それはその時だ。
今は、目標に向かって前進するのみだった。
その後も雑談は続いたのだが、夕方には解散となるのだった。




