6-7 舞踏会。
披露宴が終わり、いよいよ舞踏会となった。
ルークは2階の大広間へ移動する。
大広間に入ると、既に音楽隊は準備を済ませていたようだ。
いつでも演奏可能な状態となっていた。
ルークは、とりあえず、レイヴンの依頼をこなすことにした。
ミレーナを探し出し、見つける。
ミレーナは端っこに逃げ込んでいたのだ。
どうやら踊りが苦手なのは事実のようだ。
「ミレーナ様。」
ルークの言葉に、ミレーナがびっくりする。
今は、対外の場所だ。
様付けで呼ばなくてはならない。
「な、なぁに、ルーク?」
少し顔が引きつっているが、ミレーナは返答する。
「よろしければ、私と踊っていただけませんか?」
その言葉に、ミレーナが固まる。
分かりやすい反応だった。
ルークは思わず笑ってしまいそうになったが、そこは堪える。
「わ、私でよければ・・・」
ミレーナは顔を赤くしながら、手を差し出す。
ルークはミレーナの手を受け取ると、ダンスを踊るべく、ダンスフロアへと移動する。
そして、ちょうど音楽が奏で始められたのだ。
ルークはうまくリードしながら、ミレーナと踊り始める。
ミレーナの動きはかちこちだった。
これは、レイヴンにしっかり見られているに違いない。
後でからかわれること間違いなしである。
とりあえず、ルークはミレーナをリードすることで、ミレーナが普通に踊れているように見せた。
ミレーナもそれに気が付いたのか、ルークに任せるのだった。
踊り終わると、端のほうへ移動する。
次踊る方々の邪魔にならないための措置だ。
「あ、ありがと、ルーク。」
ミレーナは顔がすっかり赤くなっていた。
「いえ、こちらこそ、ありがとうございました、ミレーナ様。」
ルークは軽く挨拶する。
そして、こっそり、レイヴンのほうを見ると、見事に目が合ったのだ。
レイヴンは笑っていた。
あ、これはしっかり見ていたなと、判断できた。
「・・・レイヴン兄さんには内緒にしてよ、このこと。」
ミレーナがそう言うものの、既に手遅れである。
「ミレーナ様、残念ですが、子爵様、きっちりと見ていられたようです。」
それだけ言うと、ミレーナの顔が更に赤くなるのだった。
ミレーナと別れた後、ルークは飲み物を手にしていた。
緊張したものの、何とか任務(?)をこなした。
ミレーナはおそらく自室にでも逃げ込んだに違いない。
舞踏会場を抜け出したところまで確認済みである。
さて、あとはこのまま終わるまでのんびりしようかなと思った矢先だった。
「次、踊って頂けませんか、ルーク様?」
「えっ?」
ルークに声をかけたのは、若く美しい女性であった。
ただし、ルークと面識がない女性であった。
「あの、どちらさまでしょうか?」
「ふふっ、それは内緒。
踊って頂けませんか?」
「あ、はい、僕でよければ。」
そして、女性の手を軽く握って、ダンスフロアに移動する。
そして、踊り始める。
ルークがリードしようかと思ったが、この女性は踊りが上手だった。
ルークのリードにうまく乗せて踊っていたのだ。
「お上手ですね、ルーク様。
まるで熟練の踊り手のようですわ。」
「いえ、まだ、覚えたてなんですよ。
それにしても、どうして僕の名前を知っているんですか?」
「それはまだ秘密です。
でも自己紹介しないわけにはいきませんね。
私の名はレヴィ。
よろしければ覚えておいてくださいね。」
レヴィと名乗った女性は、にこりと笑みを浮かべる。
やがて音楽が止まり、二人は踊り終わる。
「いずれ、またお会いしましょう。
そう、遠くないうちに。」
レヴィはそう言って微笑むと、ルークと別れるのだった。
ルークは、何か予感めいたものを感じたが、今は何もわからなかった。




