6-5 結婚式前夜。
割とショックな出来事があったルークだったが、気持ちを収めることにした。
それから、結婚式前日まで、暇潰しに本を読んでいた。
ちなみに、本の内容は、恋愛物、冒険物などなど、様々だった。
誰の書籍なのか不明だが、十分な暇潰しになった。
そして、夜になって、レイヴンから呼び出しがあり、彼の執務室を訪ねる。
そこには奥さんとなるサーシャの姿もあった。
ミレーナの姿はない。
ルークは、レイヴンとサーシャの対面に座る。
「さて、明日のスケジュールだが、
おそらく聞いていないだろうから教えることにする。
明日正午に、結婚式を催す。
一階の大広間を使うからそこにいるといい。
剣は佩くなよ。
午後は披露宴だ。
食堂で食事会となるから、たくさん食べるといい。
夜は、舞踏会だ。
二階に舞踏会用の大広間があるからそこで執り行う。
そこで、ダンスを踊ることになるんだが・・・」
ここで、レイヴンは一呼吸おいて、続ける。
「ルーク、ミレーナを誘って一緒に踊ってやってほしい。」
「えぇ!?」
さすがにルークは驚く
「あの、いいんでしょうか?
一般人の僕が、貴族のお嬢さんと踊るだなんて・・・」
「かまわん。
それに、ミレーナは踊りが下手くそだ。
みっちり教えてやってくれ。」
レイヴンはウインクをする。
これは、兄の意地悪と見てとってよかった。
サーシャは楽しそうに笑っていた。
「それにだ、まだミレーナに言っていないことだが。
私がクロムワルツ侯爵と縁戚になるということは、
『侯爵に近い存在』として認識されることになる。
そうなると、侯爵に近づきたい貴族からすると、
ミレーナはいい結婚相手というわけだ。
となるとだ、ミレーナは嫌が上でも、今より価値が上がるという訳だ。
・・・まぁ、本人はその重要性に気が付いてはいないがな。」
なんだか、ミレーナがかわいそうに思えたが、こうなっては仕方がないのかもしれない。
「しかしだ。
誰かさんが、皇帝直属の近衛師団にでも入ってくれれば、
ミレーナをもらってもらうという手もなくはない。」
ルークは固まった。
おそらく自分のことだろうとわかったからだ。
「まぁ、そんな方がいらっしゃるんですか?」
サーシャは知らないようだ。
「あぁ、今目の前で固まっているヤツが、一番の有望株なんだ。」
レイヴンは答えを言ってしまう。
「へぇ、そうだったんですね。」
サーシャはおもしろいのか、笑っている。
ルークはレイヴンには敵わないのだった。
「さて、冗談はさておきだ。
明日の日程はこんな感じだ。
それから、言い忘れるところだった。」
「なんでしょうか?」
「ルーク、義父上、いや、クロムワルツ侯爵が、君に興味を持っている。
気をつけるんだな。」
「えっ・・・?」
意味がわからなかった。
何を気を付けるのかも不明なままだった。
結局聞けないまま、レイヴンの執務室を退出するのだった。




