6-2 王都へ向かう。
翌日。
旅支度を用意すると、村長宅に向かう。
そして、ルドマンに留守にする旨を伝えると、“瞬間移動”で王都へと飛んだ。
王都到着後、巨大な門でチェックを受けてから、ミルドベルゼ子爵の屋敷へと向かった。
外から見ると、相変わらず大きな屋敷である。
しかし、またここに来るとは思いもしなかった。
とりあえず、結婚式に自分が何故呼び出されたのか、聞いておく必要がある。
そもそも、貴族ですらないのに、参加しなくても良いのでは?という思いなのだ。
そんなことを考えていると、屋敷の門にたどり着く。
そこには、偶然にも執事のポールがいたのだ。
「おや、ルーク様ではありませんか。
お久しぶりでございます。」
「お久しぶりです、ポールさん。
その、僕、呼び出されたんですが、レイヴン様いらっしゃいますか?」
「レイヴン様なら、執務室にいらっしゃるかと。
では、ご案内致しましょう。」
「ありがとうございます。」
ルークは、ポールの後を追う形で、屋敷内に入るのだった。
ルークは、レイヴンの執務室に通されると、そこにはレイヴンが待っていた。
「随分と早い到着だな。
今頃手紙が届くだろうと思っていたのだが。」
レイヴンはそう言うと、対面のソファにかけるよう、ルークを促す。
ルークはソファに座ると、話し始める。
「はい、昨日手紙を頂きました。
今日、“瞬間移動”という魔法で飛んで来たんですよ。」
「なるほどな。
そんな便利な魔法があるのだな。
知らなかった。」
レイヴンは少し驚いていた。
どうやら、この魔法を知らないようだ。
「子爵位継承、おめでとうございます。
それで、僕が呼ばれた理由はなんでしょうか?」
ルークは本題に入る。
「あぁ、ありがとう。
手紙にも書いた通り、結婚式に参加して欲しいからだ。
それだけだが?」
「えっと、僕は貴族ではないんですが・・・」
「それは知っている。
だが、君は私の命の恩人だ。
恩人である以上、祝い事に呼ぶのは問題ないのではないか?」
「そうなんですか?」
「そうなんだよ。」
ルークは何も言えなくなる。
まるでレイヴンに丸め込まれているかのようだ。
「でも、いいんですか?
僕みたいな一般人が参加しても?」
「構わない。
私が許す。
それだけだ。」
レイヴンは断定した。
これでは、ルークは閉口するしかない。
逃げ道を完全に失ったのだ。
「ということで、結婚式は二週間後だ。
テーブルマナーや貴族の習いを覚えるのに、十分な時間があるな。」
レイヴンはにやりと笑みを浮かべる。
「そ、そうですね。」
ルークは冷や汗をかくしかない。
「とりあえず、こちらに滞在する間、食事と宿泊を許す。
勉強は、メイドと執事に任せてあるからしっかりと学んでくれ。
それから、礼服も用意するから指示に従ってくれ。
すまんが、昼から外に出なくてはならなくてな。
私は一週間程度忙しくてな、あまり構ってやれん。
ということで、あとは執事の指示に従ってくれ。」
「はい、わかりました。
ありがとうございます。」
そう言って立ち上がった時、何故かポールが迎えに来たのだ。
「あれ、ポールさんって、ミレーナの執事じゃ?」
「えぇ、レイヴン様の執事でもあるんですよ。」
これはルークが知らない情報だった。
「ポール、頼んだぞ。」
「はい、レイヴン様。」
ルークは、ポールに従い、レイヴンの部屋を後にするのだった。
それから一週間、ルークはテーブルマナーと貴族の習いを覚えることになった。
無論、服の採寸も行われた。
礼服は一から作るそうだ。
お金を支払う旨を話したら、問答無用で断られた。
理由は、「恩人からお金を頂くわけにはいかない」の一点張りだったのだ。
これには、ルークが折れるしかなかった。
とにかく、ルークは毎日忙しく動き回ることになったのだった。
ちなみにこの一週間、ミレーナやレイヴンと会うことはなかった。




