5-11 “魔法騎士”
城を出て、城外門をくぐった後、2人は魔法で帰ることにした。
「本屋はいいのか?」
「はい、お金の準備が出来ていないので。
また、ここに来ようと思います。」
「そうか。
じゃ、頼む。」
カシスはルークの肩に手を置く。
ルークは魔法を解放する。
「“瞬間移動”!!!」
瞬間、2人は、クーラク騎士団の隊舎前に着いていた。
「便利な魔法だな。」
そう言いつつ、辺りを確認するカシス。
訓練場では、騎士と訓練生が、訓練を行っていた。
「よし、じゃ、隊長の元へ報告に行こう。」
カシスに促され、隊舎に入るのだった。
「なるほどな。
今回も大変だったな、ルーク。」
ダーナスは事の次第を聞いた後、そんなことを口にしたのだ。
「しっかし、貴族の息子さんが、そんなに剣の腕があるなら、
騎士団に置きたくもなるわな。
うちも同じ条件だったら、置いているかもしれんな。」
「そうですね。
あれほどの使い手、なかなかいませんよ。」
カシスも同じ感想のようだ。
「それにしてもだ、ルークの魔法は凄いもんだな。
剣と魔法の融合なんてされたら、俺たち騎士は、
裸にされたも同然だもんな。」
「そうですね。
まさか剣を砕くほどの威力があるとは、思いもしませんでしたよ。」
ルークはというと、どうしたらいいものやら、困っていた。
その時、ドアがノックされたのだ。
「入っていいぞ!」
ダーナスが声をかけると、入ってきたのは、ミーシャ団長だったのだ。
突然のことに、皆急いで立ち上がり、敬礼をする。
「あぁ、いい、いい。
俺も話を聞きに来ただけだ。
教えてくれないか?」
ミーシャは手で制すると、ダーナスの隣に座る。
「それでは・・・」
カシスがまた最初から話し始めるのだった。
カシスの報告を聞き終わった後、ミーシャが口を開く。
「ほう、そうか。
ルーク、おまえさん、まるで“魔法騎士”みたいだな。」
「「「“魔法騎士”???」」」
これには、ミーシャ以外の三人が驚く。
聞いたことが無い単語だった。
「この大陸のどこかの国に、“魔法騎士”の部隊が存在すると聞く。
その者達は、武器や防具に魔法をかけて強化する力を持つと言われている。
それゆえ、精強無比の部隊とも言われている。
ただ、大昔の話だ。
今もあるかどうかはわからんがな。」
「そのような者たちが実在しているのですか・・・
我らで勝てるでしょうか?」
カシスの疑問に、ミーシャは答える。
「恐らく、普通の騎士では勝てん。
ただ、魔法を破壊することが可能な武具があれば、話は変わるかもしれんが。
ま、そんな武具はほとんどないからな。」
「もし、ルークがその“魔法騎士”となれば、どうなるのでしょうか?」
ダーナスの質問に、ミーシャは考える。
そして、答えを出す。
「これは想像でしかないが、皇帝直属の近衛師団に取り立てられるだろうな。
そんな強い兵器みたいな人間、野放しにせんだろう。」
「皇帝直属ですか!?」
ダーナスとカシスは驚く。
ルークは、話が飛躍していて、もう何が何やらの状態だった。
一応、自分のことだと分かっているのだが、どうしてこう話が飛躍するのかわからなかったのだ。
「さて、ルークが困っているから、もしもの話はこの辺でやめておこう。
しかし、いい知己を得たのではないか、カシスにルークよ。」
ミーシャはにやりと笑みを浮かべる。
「知己ですか?」
「フェイド様のことだよ。
あの方はまだ若い。
おまえたちと同年代の若さだ。
いいライバルができたのではないかな?」
そう言われて、カシスは納得する。
ルークはというと、貴族の知り合いが増えて、びっくりしているくらいだ。
ルークは一応一般人なのだ。
普通に考えれば、貴族と知り合うこと自体がおかしいのだ。
それが毎度毎度起きているのだ。
ルークの人生は奇異に思われた。
「これはこれで、ルークの価値はさらに上がったな。
しかし、これからもルークは伯爵様にいいように使われるかもしれんな。」
そのダーナスの言葉に、ルークはため息をつくしかなかったのだった。




