5-10 約束。①
都市ラークネスに到着したのは、夕方だった。
そのまま城に向かうことにした。
城はフェイドがいたことにより、すんなりと通される。
そして、応接室にて3人揃って待つことにした。
すると意外と早いタイミングで、ウォーザード伯爵が姿を現したのだ。
「フェイドよ、ようやく帰ったか、この馬鹿息子が!」
「帰って早々、馬鹿扱いかよ!」
ケンカがはじまりそうな勢いだったが、伯爵はソファに座ったことでその懸念は回避された。
「フェイドよ、約束通り、次期領主として教育を受けてもらうぞ。
よいな?」
「あぁ、約束は守る。
領主になるのは癪だが、なってやるよ。」
ケンカ腰は変わらないようだ。
伯爵はカシスとルークに向き直ると、礼を述べる。
「カシス、ルーク、大儀であった。
フェイドを見事連れ戻してくれた。
後で、礼を用意しよう。」
「ありがとうございます、伯爵様。」
カシスとルークは頭を下げる。
「それで、聞かせてくれるか、
どのようにしてフェイドを連れ戻したのかをな。」
伯爵は、カシスとルークに事の次第を聞き出そうとしていた。
そこで、フェイドは立ち上がる。
「俺は部屋に戻る。」
そう一言だけ言うと、あっさりと退席したのだった。
「気にする必要はない、いつものことだ。
それより、聞かせてくれるか?」
伯爵の言葉に従い、カシスは話し始めるのだった。
カシスが話し終わった時点で、伯爵はうなずいていた。
カシスは、フェイドと決闘したこと、その帰りに刺客に襲われたことまで話したのだ。
そして、その刺客が、伯爵に恨みを持つ者だったことも含めて。
「そうか、そのようなことがあったのか。
すまなかったな。
おまえたちまで巻き込んでしまって。」
「いえ、敵である以上、我ら騎士が出張るのは当たり前です。
閣下の責任ではないと考えております。」
カシスの言葉に、伯爵はうなずく。
「刺客の件は致し方あるまい。
私も昔狙われたことがあるからな。
だが、それにしてもだ。
まさか剣と魔法でフェイドを打ち破るとはな。
考えたのは、カシスか?」
「はい、私です。
剣では私と互角でした。
剣だけでは、ルークにも勝ち目はないと思っておりました。
しかし、剣と魔法であれば、ルークに勝ち目があると判断したのです。
その結果、ルークが見事に勝って見せたのです。」
「さすがよな、ルークよ。
しかし、剣と魔法を融合させたとは、初耳だ。
ルークよ、本当に魔導士ではないのか?」
伯爵の問いに、ルークは焦る。
「は、はい、魔導士ではありませんよ。
まだ、魔法使いです。」
伯爵は、ちょっと疑っているようだった。
「とにかく、ご苦労だった。
部屋を用意させよう。
今日は食事を摂ってゆっくり休むといい。
明日、褒美を授けよう。」
これで、お開きとなった。
カシスとルークは食事を摂った後、割り当てられた客室で休むのだった。




