5-9 奇襲!!
「あんな魔法ありかよ!
剣に魔法を融合させるなんて、聞いたことねぇーぞ!」
決着後、早速フェイドがルークに噛みついてきたのだ。
それもそのはずだ。
これは完全にルークオリジナルの魔法なのだから。
「僕も咄嗟に思いついた方法だったんで・・・」
ルークはたじたじだった。
「それに、いきなり消えたり、系統が異なる魔法を使いこなしたり。
お前、ホントに「魔法使い」なのか?
魔導士じゃないだろうな?」
フェイドは、ルークの魔法の強さに疑いをもっているようだ。
「ホントのホントに「魔法使い」ですよ。
まだ、上級の魔法を使えませんし。」
ルークは嘘はついていなかったが、フェイドはまだ疑っているようだ。
「フェイド様、ルークをあまり責めないでください。
こいつは、別格なんですよ、たぶんね。」
カシスは止めに来たのか、追撃に来たのか、よくわからなかった。
カシスは話題を変えるべく、フェイドに質問する。
「それより、勝負にはルークが勝ちました。
これで約束通り、伯爵家に戻って頂けますね?」
「あぁ、約束は守る!
俺は嘘はつかんからな。」
フェイドは、まっすぐカシスに向かって宣言する。
これで、伯爵の依頼は完了のようだ。
後は伯爵家まで連れ帰るだけだ。
「では、いつ出立なさいますか?」
「そうだな、明日にしよう。
今日は、疲れた。
ルークも疲れただろ?
お互い一泊してからでいいんじゃねーか?」
「では、そのように。」
その日は、ゆっくり休むことにしたのだった。
翌日、旅装束を済ませた3人は、ラークアの街を発っていた。
ラークアの騎士達は、フェイドが居なくなることを寂しがっていたようだった。
なんだかんだ言いながらも、フェイドのことが好きだったようだ。
それはさておき。
都市ラークネスまで、約1日かかるのだが、フェイドはどんどん進んでいた。
最初、ルークが魔法で転移することを提案したが、何故か却下された。
理由は不明なままだ。
フェイドの後ろを、カシスとルークが追っていた。
この辺は平地とあって、雪もあまり積もっていなかった。
だから比較的歩きやすいのだ。
ただ、何故かフェイドはどんどん先を歩く。
カシスとルークは途中、走る羽目になった。
それくらい距離が開いたのだ。
そして、昼過ぎに事件が起きる!
相変わらず、フェイドがどんどん歩くのを、カシスとルークは走って追いかけていた。
フェイドは早歩きしているようだった。
「やれやれ、急がずとも着くというのに、何故、急いでいるんだ?」
「なんででしょうね・・・んっ?」
「どうした?」
「前方になにかいます。」
ルークの言葉に、カシスは目を凝らす。
すると、フェイドの足が止まっていたのだ。
人がいる。
複数人いるようだ。
ただし、手に剣を握っていた。
「野盗か!?」
カシスは剣を引き抜くと、全力で走り出す!
どうやらフェイドも剣を抜いている。
ルークも走り出し、フェイドに追いつく。
「おい、おまえら、刺客らしいぞ。
狙いは、俺らしい。」
「「!?」」
フェイドの言葉に、二人は驚く。
こんな場所で、まさか刺客に出会うことになるとは。
刺客の数は6人だった。
全員、ロングソードを握っている。
ただの野盗ではない、手練れの戦士のようだ。
「おし、おまえら、2人ずつ片付けろ。
それで片がつくはずだ。」
フェイドはそう指示すると、剣を交え始める。
カシスもコクリとうなずくと、刺客に襲い掛かる。
ルークも剣を抜くや、1人の刺客に向けて剣を向ける。
こうして、襲撃戦が開始されるのだった。
ルークは襲撃者と剣を交えた瞬間、弱いと感じ取った。
少し離れた瞬間、すぐさま動き、刺客の1人を斬り捨てていた。
すぐさまもう1人に近づき、隙を見せた瞬間に、上段斬りで斬り捨てる。
2名を立て続けに斬り捨てたのだ。
フェイドとカシスもあっという間に、刺客を斬り捨てていた。
「やるな、おまえたち。
しっかし、こんな寒い中、俺を待ってたのかよ?」
「いえ、違うと思います。
フェイド様がいるラークアの街に向かう途中だったようです。」
「何?」
「実は、“思考読破”という魔法で、彼らの思考を読み取ってみたのですが。
彼らはラークアの街で、フェイド様を襲撃する予定だったようです。
たまたまここで出会ったため、ここで戦うことになっただけですね。」
「なるほどな、やっぱ、狙いは俺か。
恐らく父上絡みなんだろうな。」
「たぶん。
そこまでは読み取れませんでしたが。」
フェイドの父である伯爵は、戦争で連勝している猛者だったのだ。
そんな伯爵に恨みを持たない者がいないわけがない。
そこで、伯爵の実子に危害を加えて復讐を果たそうとしたのだろう。
ただ、カシスとルークが居たことにより、失敗に終わったのだった。
「ただ、読み取れた中で、彼らはこの国の人間ではないということです。
恐らく、隣国ラインクルド王国の手のものかと。」
ルークの言葉に、カシスがうなずく。
「ありえない話ではないな。
伯爵様は、ラインクルド王国との対戦が多いからな。
恨まれていてもおかしくないか。」
フェイドは何か考えていたが、すぐにやめたようだ。
「まっ、いいさ。
それより、死骸を片付けよう。
道のど真ん中に死骸を置きっぱなしにするのはまずい。」
フェイドの言い分は最もだった。
この後、3人は、死骸を道外れに捨てると、都市ラークネスへと向かうのだった。




