5-8 息子さんと戦ってみた! Part2
翌朝。
寒さが厳しい中、騎士と訓練生たちは外にいた。
目的は、フェイドの決闘を見るためだ。
ちなみに、騎士団長は咎めたりしなかった。
強者の戦いを見るのも、いい勉強になるからだ。
いよいよ、ルークとフェイドの戦いが始まろうとしていた。
その前に、カシスがフェイドに声をかけたのだ。
「フェイド様、一つ申し上げたいことがあります。」
「何だ?
今更、条件を変えようってことじゃないよな?」
「違います。
実はルークは、魔法使いなんです。」
それを聞いて、フェイドは怪訝な表情を浮かべる。
「つまり、フェイド様と同じレベルの魔法使いなんですよ。
ここで、提案なのですが、剣と魔法、
両方を駆使した決闘というのはいかがでしょうか?」
これはカシスの作戦であった。
カシスは、昨日の決闘にて、フェイドの実力を知った。
明らかに互角だったのだ。
となると、ルークが剣で挑んでも、同じ結果になる可能性が高い。
ならば、魔法で優位性が高いと思われるルークに勝ってもらうために、剣と魔法を使った勝負に変更を願ったのだ。
これが功を奏すかどうかは、フェイドの返答次第だ。
「ルーク、お前はどこまで魔法が使える?
初級か?中級か?」
カシスの質問に、ルークは答える。
「中級まで使えます。」
「なるほどな、俺と同じか。」
フェイドは納得する。
「いいぜ、魔法も同程度使えるのならば問題あるまい。
乗ったぜ、その条件で、決闘しよう!」
フェイドは見事にカシスの策に乗った。
カシスは小さく笑みを浮かべると、ルークに声をかける。
「ということだ、ルーク。
魔法も使ってかまわん。
全力でやれ!」
「はい!」
ルークは剣を構える。
フェイドは愉快そうに、左手をルークに向ける。
「剣と魔法で決闘か、面白いな。
こんな戦い、滅多にできないからな。
行くぜ!!」
「では、勝負はじめ!!」
勝負の合図が開始された途端、フェイドが仕掛ける!
「“火炎球”!!!」
火球がルークに襲い掛かる!
だが、ルークはひらりとかわすと、フェイドに向かって突進する。
フェイドも剣を構え、ルークを迎え撃つ!
ルークの後ろで火球が爆発した瞬間、ルークの姿が消える!!
「なっ!?」
突然の出来事に、フェイドは焦る。
そして次の瞬間、大きく振り返り、剣を向ける。
キーンという音が響き、剣と剣が弾く音が響く!
なんと、ルークがフェイドの後ろに転移し、剣を振り下ろしていたのだ。
あと少しというところで、フェイドが防ぎ切ったのだ!
「なんだ、今のは!?」
フェイドは、剣を構え直す。
ルークは答えずに、魔法を解放する!
「“水圧縮弾”!!!」
複数の水弾が放たれ、フェイドに迫る!
「まずい!!!」
フェイドは急いで横に転がる!
水弾は回避され、フェイドの後ろで着弾して、爆発する。
フェイドはすぐさま立ち上がると、目の前に現れたルークの剣を受け止める!
「てめぇ、あぶねー魔法使いやがって!!」
フェイドは抗議するものの、ルークは返答せず、剣で押し返して、引き下がるや、魔法を唱える!
「“火炎矢”!!!」
複数の炎の矢が、フェイドに襲い掛かる!
「またかよ!?」
フェイドは、右方向へ大きく飛んで、炎の矢を回避する!
そしてすぐに立ち上がると、剣を構え直す。
だが、ルークの姿が無い!
「どこへ!?
後ろか!!」
すぐさまフェイドは後ろを振り向き、剣を向ける!
途端、ルークが出現し、大きく振りかぶった剣を振り下ろす!
ギキィーン!!という剣戟音を響かせる!
「やるな!
魔法をうまく使いこなしているようだが、俺は甘くないぞ!」
「そうですね。
僕もあなた様が簡単に倒せるとは思っていません。
だから、手を尽くすのみです!」
ルークは、左手を柄から離し、魔法を唱える!
「“水冷捕縛陣”!!!」
途端、フェイドの足下に魔法陣が描かれ、水の縄がフェイドを絡めとる!
「げっ、なんだ、これ!?」
ルークはフェイドから距離をとる。
「馬鹿め、コイツは、解呪可能なんだよ!
“解呪”!!!」
途端、フェイドを捕縛していた水の縄が消滅する。
ルークは考えていた。
どうすれば、フェイドを倒せるかを。
殺してはダメだ。
強力な魔法は使えない。
ならば、剣を破壊してしまえばいい。
そんな魔法は中級にはない。
剣と魔法を組み合わせたならばどうだ?
そこで気が付いたのだ。
魔法の理論を正しく認識している今なら、実行できると思ったのだ。
だから試してみるのみ!
「いくぞ、“火炎矢”!!!」
フェイドが放った瞬間、ルークも魔法を解放する!
「“氷結矢”!!!」
互いの矢がぶつかった瞬間、キィィーンという音と共に、互いの矢が消滅する!
「消えただと!?」
この現象に、フェイドは驚いていた。
だが、ルークはこの現象を知っていたのだ。
書籍に記載があり、覚えていたのだ。
炎と氷の魔法は、互いを打ち消す効果をもたらすと。
ルークはその隙に、剣に左手をかざす。
そして、魔力を剣に与えるイメージで、魔法を解放する!
途端、剣に火がついたのだ!
いや、正確には、剣に炎がまとわりついたのだ!
「なんだ、その剣は!?」
突然の出来事に、フェイドは叫んでいた。
ルークは剣を構えると、フェイドに向かって突進していた。
フェイドは迎え撃つべく、剣を構える。
剣と剣がぶつかった瞬間、ギキィーン!!という剣と剣がぶつかった音が響いた
だが、次に、フェイドの剣が砕ける音が響いたのだ!!
「なっ!?」
フェイドは驚くより他なかった。
炎の剣が、鋼の剣を砕いたのだ!
二人の決闘を見ていた騎士たちも驚いていた。
無論、カシスも同様だった。
ルークは、剣を止めることなく、フェイドの喉元に剣の刃を突き付けていた。
「これまでです、フェイド様。」
「・・・ああ、俺の負けだ。」
こうして、決闘の決着がつくのだった。




