5-4 騎士が訪ねてきました。
翌日。
朝食を済ませた後、ドアをノックする音が聞こえたのだ。
ドアを開けると、一人の防寒着を着た騎士が立っていた。
「ルーク殿ですか?」
「はい、そうですが。」
「実は、カシス副隊長より手紙を預かっております。
読んで頂いた上で、すぐに出立の準備をしていただきたいのですが。」
「へっ?
出立?」
とりあえず、手紙を受け取って、中身を確認する。
手紙には、簡単なメッセージが書いてあった。
「ウォーザード伯爵が呼んでいるから、クーラクまで来い」と書いてあった。
意味が分からなかったが、ウォーザード伯爵絡みの何かなのだろう。
一体何事だろうか?
ともかく、出かける必要があった。
「すぐに準備を済ませますので。」
ルークは、暖炉の火を消し、防寒用のマントを羽織る。
剣を佩き、念のため、袋にパンと水袋を詰め、準備完了とする。
「お待たせしました。
村長のところへ寄ってから出発しましょう。」
ルークは、そう騎士に声をかけると、村長宅へと向かうのだった。
村長に出かける旨を伝えると、騎士と落ち合う。
「では、参りましょう。」
「あ、ちょっと待ってください。」
歩き出そうとした騎士を、ルークは止める。
「魔法で移動しますんで、肩に触れてもらっていいですか?」
「はい?」
騎士は言われた通り、ルークの肩に手を置く。
「“瞬間移動”!!!」
瞬間、クーラク騎士団の隊舎入り口に移動したのだ。
「えっ、あれ???」
騎士は混乱している。
それもそうだろう。
いきなり隊舎に到着したのだから。
「あ、すいません、びっくりしましたよね?
魔法で移動しただけですので、大丈夫ですよ。
それより、カシスさんと面会をお願いします。」
ルークは、騎士を宥めていた。
「は、はい、了解しました。」
騎士は、未だ信じられない状況だったが、自分の任務を思い出し、急いで隊舎の中へ案内するのだった。
ダーナスの執務室に通されたルークは、そこで、ダーナスとカシスに再会する。
「ん?早すぎないか?
昨日使いを出して、今日の夕方に着くと思っていたのだが?」
「あ、その、魔法で飛んで来たんですよ。
“瞬間移動”って魔法があってですね。」
カシスの言葉に、ルークが正直に答える。
「便利な魔法もあるものだな。
まぁ、いい。
では、用件を話そう。」
カシスは話を流すと、ダーナスを見る。
どうやらダーナスから説明してくれるようだ。
「昨日、ウォーザード伯爵から手紙が届いた。
残念ながら用件が書いてないのでわからんのだが、
カシスとルークが指名されていたわけだ。
それで来てもらったわけだが。」
「用件が書いてないんですか?」
「あぁ、全くな。
察するに、ウォーザード伯爵個人の用件の可能性がある。
でなければ、手紙に用件を書かないということはないだろう。
そんなわけで、おまえたち2人は、
これから都市ラークネスへ向かってもらう。
出立は明日でいい。
ここから3日の距離だ。
多少雪があるから遅延するかもしれないが、準備を済ませておけ。」
「はい。」
急遽、旅の準備をすることになるのだった。
ルークは道具屋に行き、カシスの分も含めて準備を整えた。
カシスは隊舎にある物で、準備を進めていた。
そして、翌日、都市ラークネスに向けて出立したのだった。




