5-1 戦争で役に立つ魔術書を読破してみた。
翌日。
すっかり外は寒くなっているようだ。
朝のルーティンに、暖炉に火をつける作業が発生した。
ある程度貯めてある薪に火をつける作業である。
ここも、魔法で火をつける。
そういえば、外に薪が置いてあっただろうか?
いつもは夏のうちに準備するのだが、今年の分を用意したか確認する必要があった。
夏の頃は、まだ貧弱な体だったから、かなり苦労した記憶がある。
とりあえず、外に出て、小屋隣の薪置き場を確認する。
薪は十分あった。
問題なさそうだ。
暖炉に火を灯すと、暖かくなるまで待つ
その間に、朝食の準備をして、早速頂く。
朝食終了後あたりに、家の中がいい具合に暖かくなる。
さて、魔術書の勉強をしようか。
時間がかかりそうなのは、火系統の上級魔術書だ。
読破するのに、3日はかかりそうだ。
他の2冊は1日あれば覚えられる量しかない。
では、まずは、「戦争で役に立つ魔術書」を読むことにした。
内容としては、戦争で役に立つ魔法一覧が載っている。
無論、理論や説明もきちんと掲載されている。
それでは読み進めよう。
夕方。
数ページを残して、一旦閉じることにした。
戦争で必要なさそうな魔法も載っていたが、役に立つのかなと思った。
とりあえず、使えそうなものを覚えることにしようと思うのだった。
翌日。
残り数ページはすぐに読み終わった。
では、実践だ。
まずは、外に出なくて済む魔法から実行する。
“情報収集”という魔法を試してみる。
これは、対象を指定し、情報を得る魔法だ。
魔力に応じて、範囲が拡大できるらしいが、自分はどこまでできるのか疑問だった。
とりあえず、範囲をペゾスの村に限定し、実行してみる。
「“情報収集”!!!」
途端、頭の中に、村の情報を展開されていく。
しかも、情報量がかなり多い。
例えば、エドガが、この寒い中、薪の準備を行っているのがわかった。
それから、村長が中央広場で、運動しているようだ。
こんな感じで、個人の情報を特定しつつ、何をしているのかといった情報がわかるのだ。
しかも、現在の人口とか、土地の情報までわかるという便利機能である。
これを例えば、全世界で実行した場合、情報過多で頭がパンクするのではという危機感を覚えた。
地域限定で行うべきだな、と使う際に注意する必要があった。
次に、“瞬間移動”を試すため、外に出る。
何故、これが戦争の役に立つのか?
どうやら戦争で負けた場合、この魔法を使って逃げるために役立つのだそうだ。
確かに正しい情報かもしれないが、何か違うんじゃないか?と思ったほどだ。
この魔法は、一度行ったことのある場所や、視認範囲内の場所に移動できる魔法だ。
ただし、高等魔法に属するため、安易に使える魔法ではない。
まずは、視認範囲内の移動を確認だ。
かかしもどきの隣に移動するのを目標とする。
少し離れた位置から、呪文を解放する。
「“瞬間移動”!!!」
瞬間、視界が変わる。
隣を見ると、かかしもどきがあった。
そして、先ほど立っていた位置を確認する。
確かに移動していることが確認できた。
次は、遠くの場所に移動することを試してみる。
行先は、クーラクの街の入り口だ。
「“瞬間移動”!!!」
瞬間、視界がまた変わる。
周囲を確認すると、クーラクの街の入り口にいたのだ。
大成功だった。
「よし、使えるようだ!」
帰りは、無論、“瞬間移動”で戻るのだった。
次の魔法は特殊だった。
使い勝手が難しいのが難点だが、団体戦には十分に使える。
ルークは家よりだいぶ離れた、何もないところへ移動し、呪文を解放する。
「“大規模展開術式・氷結球”!!!」
大きく展開された魔法陣が大地に表示、発光するや、ルークの右手から、桁違いの大きさの氷の球が放たれたのだ!!
それは、明らかに大きすぎたのだ!
「ええっ!?!?」
あまりの大きさにルークもびっくりして叫んでいた。
氷の球は落下すると、落下地点一帯を氷漬けにする。
“大規模展開術式”とは、魔法威力を高めるだけでなく、魔法陣内でのみ魔法効果を高めるのである。
そのため、事前に仕込んで、敵がその位置に到達した時点で、“大規模展開術式”を展開し、攻撃魔法をしかけることで、大規模なダメージを与えることが可能となる。
ただし、使い勝手が悪い点があげられる。
まずは、威力が広範囲かつ威力の肥大化だ。
これは、使う魔法を選ばなくてはならない。
“氷結球”は明らかに悪い例だったのだ。
捕縛魔法なんかは使い勝手がいいと言っていい。
それに、魔法陣が発光するので、目立つのだ。
逃げられたらそれまでである。
そのため、この魔法は、事前に仕掛けておかなくてはならないものだ。
よほど腕のいい魔導士なら、範囲指定し、展開確認後、ささっと逃げて放つなんてことも可能かもしれない。
ルークには難しいと思った。
とりあえず、使い勝手が悪そうなので、これは保留だな・・・と思うのだった。
他に、“軍団魔法”という魔法があったが、術者にはかけられないという欠点があったため、確認のしようがない。
後は、攻撃強化系、防御強化系の魔法があった。
どちらかというと、“軍団魔法”に組み込む魔法として開発されたようだ。
それでも、個人には役に立ちそうなので、確認する。
「“物理攻撃強化”!!!」
淡い光が全身を覆う。
ただ、これ以上の確認はできない。
どうやって物理攻撃が上がったのか、確認する術がないのだ。
他の強化系魔法も使ってみたが、同じだった。
「うーん、これは、実際に確認する方法がないな・・・」
ルークは肩を落とすのだった。
これはもはや、ぶっつけ本番で確認する以外方法がないのであった。




