4-13 問題解決!
その日、ルークは使用人たちと一緒に食事を摂り、一泊することになった。
翌日、レイヴンの執務室へ向かうと、何故かミレーナもいたのだ。
ちなみに、ポールもお茶くみ要員としていた。
「ルーク、とりあえず、そこに座ってくれ。」
ルークは、レイヴンの対面位置に当たるソファに座る。
レイヴンの隣にはミレーナが座っていた。
「今回は本当に感謝している。
命を二度も救ってもらったのだ。
感謝しきれないくらいだ。」
そう言って、レイヴンは頭を下げたのだ。
「あ、頭をお上げください!
僕は大したことはしていないですよ。」
「ううん、すっごいことしたのよ、ルークは!
ちゃんと、感謝されなさいよ!」
何故か、ミレーナに叱られる。
どうやら、ミレーナも事情を聴いて知っているようだ。
でなければ、ここまで叱らないだろう。
「あ、はい、そうですね。」
ルークは何も言えなくなってしまっていた。
「ミレーナ、あまりルークを責めてやるなよ。
せっかくの命の恩人に対して、失礼だろ?」
レイヴンは笑っていた。
「たった一日だったが、最高の護衛に出会えたと思っているよ。
これはその報酬だ。
黙って受け取ってくれ。」
小さな小袋がルークに渡される。
中身は貨幣だろうとルークはわかっていた。
ずしりと重い。
断る前に、「黙って受け取れ」と言われていたので、断れなかった。
「それには、ミレーナを助けてくれた分も含めてある。
少ないって文句いうなよ?」
「そんなことは言いませんよ!」
ルークは焦って否定する。
その姿を見て、レイヴンとミレーナが笑いだす。
「やはり正直者のようだな。
あの時、私を助けてくれた少年が、こんなに表情が変わるとは。」
「そうよね。
ルークは人が良すぎるのよ。」
何故笑われているのかわからず、ルークは困った表情を浮かべる。
「さて、話は変わる。
ミレーナから聞いたが、魔法使いの師が欲しいと言っていたな?」
「はい、できれば師を持って、魔法を教わった方がよいと考えてます。」
「そうか。
残念だが、紹介することは難しい。
一応、私や妹にも魔法の指導者はいるのだが、
師と呼べるほどのものではないのだ。
どちらかというと、家庭教師程度のものなのだ。
どうしてもというなら、魔導士協会に紹介してもらうといいのだが、
あそこは貴族しか受け付けない。
一般人である君では、師を見つけるのは難しいだろう。」
何となくわかっていたことだが、王都では厳しいようだった。
魔導士協会は、基本、貴族の支援を受けて成り立っている組織だ。
そうなれば、貴族優先になってしまうのは致し方ない。
それに王都にある魔術学院も、貴族の支援によって賄われている。
一般人はあまり歓迎されていない環境だったのだ。
「・・・だが、ツテをたどってみるつもりだ。
それでもダメなら、諦めてくれ。」
「いえ、探して頂けるだけでありがたいです。
ありがとうございます。」
ルークは慌てて頭を下げる。
「なに、命を救われたお返しだと思ってくれ。
これくらいしないと、恩を返しきれないからな。」
レイヴンは笑う。
どうやら、すっかりルークという存在を信じ切っているようだ。
「だったら、兄さんが教えればいいんじゃない?
魔導士の称号もってるんだし。」
ミレーナが突っ込みを入れるが、レイヴンは困った表情だ。
「そうしたいところだが、私は人に教えられるほど魔導を極めたわけではない。
それにだ。
私よりも、ルークの魔法のほうがはるかに凄いと思うよ。」
「へっ?」
ルークはびっくりする。
魔導士の称号を持つレイヴンに褒められたのだから。
「特に、私の命を守った、あの風の結界だ。
あれを呪文も唱えずに制御してみせたのだから、素晴らしいことだよ。」
「えっ?
どんな結界なの?」
「ああ・・・」
レイヴンはミレーナに説明する。
するとミレーナもまたびっくりするのだ。
「ルークって何者なの?
普通、無詠唱でそんな強力な結界なんて、無理なんですけど!?」
「あ、いや、ホント、普通の魔法使いなんですけど・・・」
ルークは返答に困った。
何者と聞かれても、答えは一つしかないからだ。
「そんなわけないでしょ!
そんな芸当、魔導士クラスの人にしかできないってば!!」
「そうだな。
ルークは本当は魔導士なのかもしれないな。」
何故かレイヴンも追撃する。
ルークは困り果てるしかなかった。




